新生児の病気(しんせいじのびょうき)

出産によって起こる特有の変化や病気があります

　新生児とは、出生した日を日齢0とし、日齢28未満の赤ちゃんのことをいいます。ただし一般的には大まかに、出生してから1か月未満の赤ちゃんのことをさします。
　新生児は子宮から産道をとおって生まれ出るときに、頭部や神経などに損傷を受けることがあります。また、生まれたあと自分の力で呼吸し、栄養をとり、肝臓で老廃物の処理を行うという、劇的な体の変化が待ち受けています。この出生前後の変化をうまく乗り切れればいいのですが、ときには呼吸障害や重い黄疸（「生理的黄疸」）など、さまざまな病気を引き起こしたりします。
　このように新生児には、分娩や体の生理的な激変によって起こる特有の病気がみられます。

新生児の在胎週数と出生体重による分類

　新生児は、在胎週数や出生体重、生まれた時期によって、いろいろな分類のしかたがあります。何週めで生まれたか、それが早産かそうでないか、体重はどのくらいあるかという観点から新生児を分類することは、出生後の病気を予想し、適切な新生児管理を行ううえで大切なことです。
グラフ「胎児発育曲線上からの新生児の分類」

低出生体重児

　2500ｇ未満で生まれた赤ちゃんを低出生体重児といいます。低出生体重児であっても、正期産（在胎37～42週未満）かそれに近い週数で生まれれば臓器は成熟しているので、早期産（在胎37週未満）の場合より特別な手当てが少なくてすみます。
　早期産の低出生体重児は、体が小さく、臓器も未熟な場合が多いので、その程度によって救命措置の方法や予想される病気の種類が大きくちがいます。
　なお、1500ｇ未満の新生児を極低出生体重児、1000ｇ未満を超低出生体重児といい、小さいほど出生後の管理がより大事になります。
　現在では未熟児という言葉は正式には使われていませんが、一般的には、低出生体重児または早（期）産児のどちらかであれば、未熟児と呼ばれます（「未熟児の健康とケア」）。

巨大児

　4000ｇ以上の新生児を巨大児といいます。体が大きいだけで成熟度に問題はありませんが、その大きさのために分娩による損傷を受けたり、仮死産になることもあります。
　また、母親が糖尿病（真性もしくは妊娠性）で胎児が巨大児になった場合は、出生後、呼吸障害や心不全、低血糖症になることも心配されます。

不当軽量児

　在胎週数から予測される標準体重より、体重が10パーセンタイル以下の胎児のことをいいます。発育不良の原因としては、多胎である、母親が重症の妊娠高血圧症候群で胎盤機能が不全である、または胎児が染色体異常などの病気をもっているなどが考えられます。
　また、不当軽量児の場合、出生後、低血糖症などの病気にかかりやすいといえます。

相当重量児

　在胎週数から予測される標準体重内の胎児のことをいいます。通常の満期産の赤ちゃんの多くは、相当重量児になります。

不当重量児

　在胎週数から予測される標準体重より、体重が90パーセンタイル以上の胎児のことをいいます。おもな原因としては、母親が糖尿病にかかっている、または病気で全身がむくんでいるなどが考えられます。

早産（早期産）児

　在胎37週未満で生まれた赤ちゃんを早産（または早期産）児といいます。どのくらい早産であるかにより、各臓器の未熟の程度が異なります。
　在胎28週未満では自力で呼吸するのも困難なことが多く、32週未満では呼吸ができてもときどき息を止めることがあり、口から自力でほ乳するのは困難です。

正期産児

　在胎37週から42週未満で生まれた赤ちゃんを正期産児といいます。正期産児は臓器が成熟し、母体からの免疫の移行がすんだ状態で生まれるので、病気にかかる率がもっとも少ない新生児といえます。

過期産児

　在胎42週を超えた赤ちゃんを過期産児といいます。在胎週数が長くなると、皮下脂肪が少なくてやせた、皮膚がシワシワの新生児が生まれることがあります。これは42週をすぎると胎盤の機能が衰えてしまうために、胎児が胎内で栄養不良になったためです（胎盤機能不全症候群）。過期産になると胎盤に梗塞（部分的に血管がつまる）が起こることがあり、胎盤の機能が低下するため、分娩中に胎児が仮死状態におちいりやすくなります（「過期産」）。