子宮腟部びらん(しきゅうちつぶびらん)

注意したい年代


20代、30代、40代。
 とは、子宮の先端の、腟の中に飛び出している部分です。その子宮の入り口付近が、ただれたように赤く見える状態を、子宮腟部びらんといいます。
 通常、びらんとは「ただれ」のことを意味しますが、子宮腟部びらんでは、実際に子宮の入り口の上皮が傷ついたり、炎症を起こしてむけている真性びらんはまれで、ただれたように見える仮性びらん偽びらん)であることがほとんどです。
 この仮性びらんは、月経のある女性の60~70%にみられる生理的な現象です。病気ではありませんから、自覚症状がなければ、とくに治療する必要はありません。
 ただし子宮腟部びらんは、子宮頸部の悪性病変(おもに子宮頸がん(子宮がん))が含まれている場合があるので、検査・診断をして区別をつけることが大事です。検査では、子宮腟部を拡大して観察するコルポスコープ診や細胞診、組織診(子宮頸がんの「検査と診断」参照)を行います。

症状


 仮性びらんは、ホルモンの影響で、子宮頸管組織が子宮の外側にはり出している状態です。
 真性びらんは、腟内避妊具やタンポンを挿入した際や、セックスなどで子宮口付近が刺激されたことにより、その部分に炎症が起こります。

治療


 仮性びらんの場合は、一般的に治療の必要はありません。ただし、びらんのために出血が起こっていたり、おりものが多くなっているときは、治療したほうがよいでしょう。
 炎症そのものは、抗生物質の投与でおさまりますが、びらんをなくすことはできません。根治療法としては、電気やレーザーでびらんを焼く焼灼凝固療法があります。かんたんな局所麻酔で行えるので外来で治療ができます。
正常な子宮(点線)より、子宮の位置が下がってしまったものを子宮下垂、さらに進行したものが子宮脱で、全子宮脱は、子宮が膣口(赤線)から外へ出てしまった状態です。

あなたへのひとこと


 発がん予防のためにも治療を勧める説がありますが、びらんがすべてがんになるわけでなく、治療でがんを予防できるかどうかもはっきりしていません。
 出血やおりものの増加など、気になる症状がなければ、治療よりも、少なくとも年に1回、定期的に検診を受けるほうがよいでしょう。
 ただし、セックスのたびに出血をする場合は、抗生物質などによる治療をしたほうがよいこともあります。主治医に相談しましょう。

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掲載された情報を参考に、気になる症状などがあれば、必ず医師の診断を受けるようにしてください。

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