受動喫煙対策が「マナー」から「ルール」へ
喫煙が肺がんや心臓病・脳卒中、喘息などのリスクを高めることはよく知られていますが、タバコを吸わない人も「受動喫煙(他人のたばこの煙にさらされること)」により健康を害する場合があります。これは、喫煙者が吸い込む煙(主流煙)だけでなく、喫煙者が吐き出す煙(呼出煙)やタバコから出る煙(副流煙)にも有害物質が多く含まれているためです。
2002年に健康増進法が制定され、受動喫煙対策が「努力義務」として記載されると、公共機関やオフィスなどで禁煙・分煙の取り組みが進んでいきましたが、受動喫煙を完全に防ぐことはできませんでした。
こうした背景から、2018年7月に「健康増進法」の一部が改正(「健康増進法の一部を改正する法律(改正法)」が成立)され、受動喫煙防止が義務化されました。これにより、受動喫煙を防ぐための取り組みが「マナー」から「ルール」へと変わります。
改正法のポイントは以下の3つです。
1.「望まない受動喫煙」をなくす:「屋内」での喫煙が原則禁止に
2.受動喫煙の影響を受けやすい子ども・病人への配慮:学校・病院などの敷地内は原則禁煙。20歳未満の子どもは喫煙可能な場所へ立入禁止に。
3.施設の種類や場所にあった対策の実施:施設の種類・場所ごとに禁煙エリア・喫煙場所の規定を明記
施設の種類・場所ごとの禁煙対策をチェック
改正法では、施設の種類・場所ごとに禁煙エリアが指定され、喫煙禁止の場所で喫煙した場合には、30万円以下の罰金が科される罰則規定も設けられました。一般的な「紙巻きタバコ」はもちろん、急速に普及している「加熱式タバコ(アイコス、グロー、プルームテックなど)」も規制対象となっています。
・多くの人がいる施設や鉄道、飲食店、オフィス・事業所などの施設→原則として屋内禁煙(喫煙場所のみ喫煙可)
・学校・病院・児童福祉施設、行政機関、バス・航空機など→屋内は完全禁煙で、喫煙室を設けることもできない(特定屋外喫煙場所のみ喫煙可)
飲食店などが屋内に喫煙場所を設けるときには、法律で定められた基準を満たさなければなりません。また、喫煙場所があることを施設の出入口と、喫煙場所の出入口に標識(ステッカー、プレートなど)で掲示することが義務化されました。
経過措置として、客席面積が100平方メートル以下で、個人または中小企業が運営している飲食店は、例外的に今回の法規制の対象外(新規店は規模に関わらず規制対象)となりますが、店内で自由に喫煙できる「喫煙可能店」には、20歳未満の子どもは入店できないことに注意が必要です。
2019年7月から一部施行→2020年4月に全面施行
これらの規制は準備期間を考慮して、敷地内禁煙の学校・病院・行政機関などで2019年7月1日から一部施行、それ以外の施設では2020年4月からの全面施行と段階的な施行となっています。
今回の改正法によって、受動喫煙対策が「マナー」から「ルール」になり、罰則規定も設けられます。2020年夏には東京オリンピック・パラリンピックも控えています。社会全体の動きとして、さまざまな場所で受動喫煙対策が進んでいくといいですね。
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