子どもをスポーツによる障害から守るために(こどもをすぽーつによるしょうがいからまもるために)

練習方法や練習量をチェックする


 子どもを野球やサッカーのチームに入れたり、スイミングなどの教室に通わせているときは、ときどき、見学にいき、指導者が適切な指導を行っているかをチェックしておく必要があります。
 練習に入る前に、水分の摂取をしているか、きちんとウォーミングアップをしているか、運動後に徐々にゆるやかな運動に変えていくクーリングダウンを行っているかをチェックし、年代に合った練習方法や練習量をしているかをみます。
 たとえば、11歳以下では、さまざまな運動やスポーツを体験させて、基本的な動作を身につけることがポイントになります。同じ運動を、一定のスピードで20分以上も続けさせたり、重量を加えるような運動をさせるのは早すぎます。また、根性論だけをふり回すような非科学的なトレーニングをする指導者もいるので、その点もみておきましょう。
 子どもの運動するようすをみて、楽しそうにしているかもめやすになります。
 また、指導するときに、子どもに理解できる言葉で話をしているか、子どもの心を傷つけないような、むしろ子どもの可能性を引き出すような話し方をしているかについても注意します。

運動する環境や用具をチェック


 運動施設や練習のようすなども見ておきましょう。かたいコンクリートの上で運動をしていないか、用具の安全性は確保されているか、定期的に点検されているかなどについても、気になるところは、指導者と保護者が集まって話し合っておく必要があります。
 また、子どものくつやヘルメット、バットなど、個人で使用する用具は、ときどき破損がないかを点検します。とくにくつは底がすり減っていたり、破れていたり、足が成長して、サイズが合わなくなっていないかを調べます。

子どもとルールを話し合っておく


 ルールは、プレイヤーの行為を審判が判定して、ゲームを楽しくするための基準です。子どものスポーツの場合も、ルールは、勝敗を競ったり、ゲームに白黒をつけるものではなく、みんなで楽しくスポーツをするときのマナーといってもいいでしょう。
 同時に、ルールはスポーツ事故を予防するためにあります。野球で投手がバッターを目がけてボールを投げれば危険なので、デッドボールはルール違反とされています。サッカーで相手をけったり、つまずかせたりすれば危険なので、罰せられます。このようにスポーツによる事故はルール違反をおかしたときに起こるといってもいいのです。
 テレビなどで観戦しているときに、ルール違反のケースがあったときはとくに、そのようすが画像で確かめられるので、子どもにもわかりやすいでしょう。こんな機会をつかまえて、ルールについて、子どもとよく話し合っておきます。
 そのほか、練習中にふざけながらやっていれば事故につながること、フォームなども、正しいフォームでやれば事故は防げるということ、同じ動作や体の一部だけを使うと事故やけがにつながることも話しておきます。

練習中や練習後に子どものようすをチェック


 練習後、体の一部をかばっていたり、痛そうにしている、顔色が悪い、大汗をかいてぐったりしている、動きが鈍い、「疲れた」を連発する、呼吸が荒くなって、なかなか正常にもどらない、などのようすがないかをよく観察しましょう。
 また、だんだんに元気がなくなり、練習にいきたがらなくなったり、練習から帰ってきてもつまらなそうな顔をしていたり、仲間とうまくいっているようにみえない、やたらに勝敗にこだわり、仲間を攻撃的な口調でなじるなどのようすがみられたら、子どもと話し合いましょう。
 子どもどうしのけんかやわだかまりは、時間がたてば解決しますが、指導者や親などまわりの大人が熱中して、子どもの競争心をあおり、子どもを追いつめているケースもあります。その結果、スポーツが嫌いになり、やめてしまう子もいます。親として反省すべき点はないかを考え、態度をあらためる必要もあります。

障害が生じたらスポーツドクターを受診


 けがや故障をしたら、スポーツを専門にしているスポーツ医を受診しましょう。ここでは治療だけでなく、スポーツマンの健康管理や、けがの予防などスポーツに関する医学的な指導を行っています。また、症状によっては、脳外科、小児科などに手配もしてくれるでしょう。指導者に聞けば、専門医を紹介してくれます。
 受診するときは、けがをしたときの状況やスポーツ歴などを記録したスポーツ障害連絡票、練習のときにはいていたくつなどを持参すると、けがや障害の原因がはっきりし、診断の助けにもなります。
 けがや障害があるときは、運動は中止します。自分でかってな判断をしないで、練習の再開などは医師と話し合います。けがの再発防止やけがを重傷化させないためにも、完全に治療してから復帰させるようにしましょう。

家庭でのケア


 とくに傷めやすい腰や太もも、膝や肘などのストレッチは、筋肉を伸ばし、柔軟にして、全身の動きをなめらかにします。関節などにも負担がかかりにくくなり、けがや故障を回避できます。練習の前にはかならず行いますが、家でも、朝、起きたときや寝る前にストレッチをして、筋肉をやわらげるのを習慣にします。ストレッチの解説本もたくさんでているので、参考にしましょう。
 筋肉痛が生じたら冷湿布をして安静にしましょう。痛みが強いときやなかなか痛みがとれないときは、肉離れ(「肉離れ」)を起こしている場合もあるので、受診しましょう。
 また、かたよりのない食生活は子どもを健康にし、事故やスポーツによる障害を防ぎます。朝食はけっして抜かず、3食を規則正しくとりましょう。
 頭と体をはたらかせるエネルギーになるごはんやパンなどの糖質や肉、魚、大豆などに含まれる動・植物性の脂肪を適量とりましょう。成長期には筋肉のもとになるたんぱく質、骨に必要なカルシウムやビタミンD、血液のヘモグロビンをつくる鉄分など、どの栄養素も欠かせません。バランスのよい食事をとりましょう。
グラフ「おもなスポーツ外傷・障害の頻度」

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