依存症(いぞんしょう)

●依存症とは?


 たとえばアルコールや薬物など、それなしではいっときもがまんできない状態。これらの依存症は、単に精神的にとりこになる「精神依存」だけでなく、摂取をやめるとからだがふるえるなどの症状がでるために摂取をくり返す「身体依存」がセットになっています。
 また、なにかに依存するということは、本当に求めるものが得られないために、かわりのもので満足を得ようとするものです。そのため根本的な問題が解決されないかぎり、心がいつまでも満たされず、依存をやめられません。回復には、専門家の手助けが必要です。

アルコール依存症


どんな病気?


 アルコールをくり返し摂取するうち、いつしか1日じゅうアルコールを求めるようになります。アルコールは脂肪に吸収されにくいため、男性より体脂肪の多い女性は、そのぶん血中アルコール濃度が高くなります。また、女性ホルモンはアルコールの代謝を妨げます。こうした複合的な理由から、女性は男性にくらべて短期間でアルコール依存症におちいりやすいので注意が必要です。アルコール依存症には、つぎのようなタイプがあります。

●問題飲酒型


 いわゆる酒乱と呼ばれるタイプ。飲酒すると、極度に興奮し、大声でわめいたり暴力をふるいます。

●怠業型


 飲酒時に問題行動はほとんどみられませんが、二日酔いのため、仕事に遅刻したり欠勤をくり返します。キッチンドリンカーと呼ばれる主婦のアルコール依存症もこのタイプです。

●渇酒型(渇酒症)


 ある一定期間、発作的に大量のアルコールを飲みつづけます。その後しばらく落ち着きますが、また、大量飲酒発作をくり返します。

症状


 身体的症状としては、アルコール性肝炎、肝硬変、動脈硬化などが起こります。精神的症状には不眠のほか、重症になると、幻覚被害妄想などが現れる場合があります。
 また、アルコールの身体的依存ができると、節酒・禁酒をしたとき、手指のふるえ、けいれん、幻視(小動物の群れが見える)、幻触(虫がはいまわる感じ)などの離脱症状が起こります。

治療


 まず、アルコールを断ち、離脱症状や身体的な治療をします。その後、精神療法を行いますが、本人だけでなく家族療法が重要になります。回復期には、抗酒剤(アルコールを飲むと気分が悪くなる薬)を服用する場合もあります。自助グループへの参加も立ち直りの助けになります。

家族の方へ


 患者さんは病気だという自覚がうすいので治療を拒みます。はじめは内科を受診するのも一つの方策です。アルコール依存症は意志の力で治るものではありません。精神科医など、専門家の手助けが必要です。


薬物依存症


どんな病気?


 ある種の薬物を使用して、その快感をくり返し経験したいという欲求が起こり、薬物を使用せずにはいられない状態になります。依存性薬物は、中枢神経に直接作用するため、重度の依存におちいりやすいものです。
 現在、日本で乱用される薬物は、シンナートルエンなどの有機溶剤と覚せい剤が大半を占めています。それぞれの特性と症状はつぎのとおりです。

●有機溶剤


浮遊感や酩酊感があります。幻覚が起きたり、自分が攻撃されているなどと、周囲の状況を誤ってとらえるため、突然、暴力をふるったりします。足元がふらつく、ろれつが回らないなどの身体的症状も現れます。

●覚せい剤


使用後すぐに、疲労や不快感が消えて恍惚状態になります。使用をつづけるうち、突然、意味不明なことを口走ったり、暴力をふるうようになります。一度に大量に使用すると、呼吸困難や全身けいれんを起こし、死亡することもあります。

治療


 薬物を断つために、入院治療が原則です。はじめに体内から薬を抜く治療(解毒治療)を行ったあと、精神面の治療にうつります。おもに集団(グループ)療法(同じ病気の患者さんが小グループをつくり、そこに治療者が参加します。患者さんは、自分の悩みなどを自由に話し、苦しんでいるのは自分だけではないことを実感します)や家族療法が行われます。

家族の方へ


 薬物に関する悩みがあれば、地域の精神保健センターなどへ相談を。各種の自助グループも力を貸してくれます。

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掲載された情報を参考に、気になる症状などがあれば、必ず医師の診断を受けるようにしてください。

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