パーキンソン病(ぱーきんそんびょう)

どんな病気?


 中脳にある黒質(黒い色素を含む細胞が集まっているところ)の神経細胞が変性するために、手足のふるえ(振戦)、筋肉のこわばり(固縮)、動きの低下(無動)などの症状(振戦・固縮・無動をパーキンソン病の三徴候という)が現れてくる病気です。発症は50~60歳前後に多く、とくに男女差はありません。

原因


 脳は、神経細胞のいろいろなシステムが連携することで機能しています。ある神経を伝わってきた命令が、つぎの神経に伝わるときに必要な物質を神経伝達物質といいます。黒質からはドーパミンという物質が大脳の線条体に送られ、アセチルコリンという物質とバランスをとって、手足などの筋肉に運動の指令がだされます。
 黒質が変性すると、ドーパミンが減少してバランスがくずれるため、からだをスムーズに動かせなくなってきます。なぜ黒質が変性するのかはわかっていません。
 多くは、左右どちらかの手、足のふるえなどからはじまり、徐々に両手・両足に広がります。また、筋肉がかたくなり、表情も乏しくなります。動作をはじめようとすると、動きだすまでに時間がかかり、動作も遅くなります。
 受診したとき、医師が腕などを動かそうとすると、歯車がかみ合うように、がくがくとした動きになるのが特徴です(歯車現象)。
 言語障害(語尾が聞きとりにくいなど)や咀嚼・嚥下障害(飲食物をかみくだいたり、飲み込んだりしにくい)、便秘、発汗過多、起立性低血圧(低血圧症)などの自律神経障害をともないます。進行すると、歩行が困難になり、からだが棒のようになって、車イスや寝たきりの生活を余儀なくされます。

治療


 ドーパミンを補う抗パーキンソン剤を使い、運動機能を改善したり、病状を軽くする治療が基本です。薬の効果が低下して症状がすすんだり、吐き気、めまいなどの副作用が現れたり、長期間使用中の人が中止すると重い副作用を起こすことがあるため、薬は、医師の指示どおり使います。姿勢や歩行を矯正するリハビリも必要です。
 進行して歩行障害などがある場合は、脳内に電極を留置して刺激するなどの手術が行われることがあります。

あなたと家族の方へ


 転倒して骨折などを起こさないよう、家の中は整理整頓しておきましょう。
 嚥下障害がある人は、やわらかい食べものにしたり、細かく切って食べやすくします。にぎりやすくくふうされたスプーンなどの食器もあるので、介護用品店や患者の会などに相談してみましょう。便秘になりやすいので、意識して水分を補給するようにします。
 本人ができることは、手助け程度にとどめて、見守ることも必要です。

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掲載された情報を参考に、気になる症状などがあれば、必ず医師の診断を受けるようにしてください。

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