どんな病気?
エイズ(AIDS)は、「後天性免疫不全症候群」という病気で、HIVウイルスの感染により起こります。名前のとおり、人間に必要な免疫力が著しく低下してしまう病気で、発症するとふつうでは考えられない重篤な病気を引き起こします。潜伏期間が約10年間もあり、感染していると知らないままセックスをして感染を広めてしまいます。発症するまでのこの時期の人を「HIV感染者」といいます。
ここ10数年で、世界中で性行為により4000万人以上の人が感染するという驚異的な広がりをみせ、日本でも性体験の若年化にともない、若者のHIV感染者が目だってきました。
症状
感染から1~3週間ごろに、頭痛や微熱など軽いかぜ症状や、70~80%の割合で、頭痛や高熱をともなうインフルエンザのような症状が現れることもあります。仮にこの時点でHIV感染を疑って検査を受けても、この時期は陽性判定がでないことや、こうした症状も1~2週間で消滅してしまうため、ほとんどの人が見すごしてしまいます(HIV感染の確実な判定は感染後、約6~8週間以降)。その後10~15年ものあいだ、無症状のまますぎます。のちに、抗体ができ、病気を発症させない役割をするTリンパ球が激減し、エイズを発症します。
発症するとカリニ肺炎、サイトメガロウイルス感染症、化膿性細菌感染症、食道、気管、肺、口腔などのカンジダ症、トキソプラズマ脳症、カポジ肉腫などの日和見感染(免疫力が弱くなったときだけ感染症を起こすこと。エイズを発症すると免疫力が極端に低下するため、ふつうでは問題にならない微生物が増殖して病気を発症します)や、脳がおかされ認知症のようになることもあります(HIV脳症)。日本では、カリニ肺炎で発病することが多いといわれていますが、HIV感染が不明の場合、診断が特定できないことも少なくありません。
原因
HIVウイルスが血液、精液、腟の分泌物、リンパ液などの体液を介して感染。麻薬や覚せい剤の回し打ちなどで感染しますが、もっとも多いのは性行為です。
治療
「不治の病」とされていましたが、現在は発病を遅らせる薬剤の多剤投与が研究され、治療が大きく前進。1977年に強力な抗HIV薬であるプロテアーゼ阻害剤が認可され、HIV感染者に、この薬と2種類の逆転写酵素阻害剤という薬を併用する3剤併用療法が行われるようになってから、免疫力の低下が抑えられ、日和見感染の発症頻度が著しく低下しています。
一方、感染を知らないHIV感染者は、エイズを発症してしまいます。新薬が認可されてからは、検査を受けて早期治療をしている人と、検査を受けない感染者の予後の二極化がすすんでいます。感染の心配があるなら検査を受け、感染が認められたらすぐに治療をはじめることがたいせつです。
あなたへのひとこと
もっともHIVが感染しやすいのが「血液」。アナルセックスをすると感染しやすい理由は、肛門が切れて出血しやすいためです。また、ほかの性感染症に感染しているときも粘膜組織が弱っているため感染しやすくなります。ちなみにクラミジア(性器クラミジア感染症)に感染している場合で3~4倍、梅毒では2倍以上も感染率が高くなります。コンドームをつけることが身近にできる予防策ですが、アナルセックスなどの危険なセックスはしないことも予防につながります。知らずにかかっている場合も多いので、積極的に検査(全国の保健所では無料で相談、検査(無料・匿名)を予約制で行っています。エイズが確認された場合も、保健所などで適切な医療機関を紹介してくれます)を。万が一感染がわかった場合は、すぐに専門医にかかり治療を開始します。
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