「警戒レベル」で避難のタイミングが直感的にわかるように
2019年9月8日(土)の夜から9日(月)午前にかけて、関東地方に記録的な暴風雨をもたらした台風第15号の脅威は記憶に新しいですが、8月〜9月にかけての台風シーズンは、水害に特に注意が必要な時期。水害から身を守るためには、防災情報をチェックして、早めに避難することが大切です。
昨年発生した「平成30年7月豪雨(西日本豪雨)」では、1府10県に大雨特別警報が発表され、避難が呼びかけられていたにも関わらず、200名を超える死者・行方不明者が発生するなど、各地で甚大な被害が出てしまいました。その原因として、警報や注意報、避難勧告、避難指示など防災情報の種類が多すぎて、災害発生の危険度や避難のタイミングがわかりづらいという点が指摘されました。
そこで、災害発生の危険度を直感的に理解し、的確に避難行動ができるように、2019年からは防災情報を5段階の「警戒レベル」で伝えることになりました。発令・発表される情報の内容はこれまでと変わりませんが、5段階のうち現状がどの段階なのかを直感的に明示したのが特徴です。
乳幼児・高齢者のいる家庭は「警戒レベル3」で避難を
今回の台風15号でも、ニュースなどで「警戒レベル」の表記を多く目にしたのではないでしょうか。「警戒レベル」は1〜5の数字で表され、数字が大きくなるほど災害発生の危険度が高くなります。警戒レベル1・2は気象庁が発表し、警戒レベル3〜5は市町村が発令します。
それぞれの警戒レベルに紐づく避難情報の種類と住民が取るべき行動は以下の通りです。
・警戒レベル1:早期注意情報
災害発生の危険性はまだ低い段階。最新の防災情報に留意するなど、災害への心構えを高めましょう。
・警戒レベル2:洪水注意報、大雨注意報
災害発生に対する注意が高まってきた段階。避難に備えてハザードマップなどで避難場所や経路を確認しておきましょう。
★警戒レベル3:避難準備・高齢者等避難開始情報
避難に時間がかかる人(高齢者、障がい者、乳幼児など)とその支援者は安全な場所へ避難しましょう。そのほかの人は避難の準備を。
★警戒レベル4:避難勧告・避難指示(緊急)
対象地域の住民は全員速やかに避難しましょう。公的な避難場所までの移動が危険と思われる場合は、近所や自宅内のより安全な場所へ避難を。
★警戒レベル5:災害発生情報
すでに災害が発生している状況。命を守るための最善の行動を取りましょう。
「★」をつけた警戒レベル3〜5は、状況に応じて避難すべき段階となります。注意したいのは、「警戒レベル5」ではすでに災害が発生しているため、安全な避難が難しい状況ということ。「警戒レベル4」が全員避難のタイミングですが、乳幼児・高齢者がいる家庭では避難準備の「警戒レベル3」の段階で、安全・確実に避難することが大切です。
「警戒レベル」と「警戒レベル相当情報」の違いは?
災害発生のおそれがある場合に発表される防災情報は、市町村が出す「避難情報」と気象庁や都道府県などが出す「防災気象情報」の2つに分けられます。
「避難情報」はその名の通り、住民に災害の危険性を伝えて、避難行動を促す情報で、市町村から発令されます。危険が高まっている地域を絞り込んで発表することが多いのが特徴です。
一方「防災気象情報」は、気象・河川・土砂災害などについて、災害の発生する危険性が高まってきていることを段階的に知らせる目的で、気象庁や国土交通省、都道府県などから発表されます。基本的には市区町村や河川などを対象とした広域情報として発表されます。
今回の変更で、地域を具体的に絞り込んでいる「避難情報」については「警戒レベル」が採用されましたが、同じように広域情報である「防災気象情報」も「警戒レベル相当情報」として発表されるようになりました。
▼警戒レベル相当情報の例
・警戒レベル3相当情報:氾濫警戒情報、洪水警報など
・警戒レベル4相当情報:氾濫危険情報、土砂災害警戒情報など
・警戒レベル5相当情報:氾濫発生情報、大雨特別警報など
避難の際は「警戒レベル相当情報」も参考にしよう
「警戒レベル相当情報」も「警戒レベル」同様に、レベル3:高齢者などは避難、レベル4:全員避難、レベル5:災害発生と、レベルごとに住民が取るべき行動は同じですが、広域情報であるため住民が自主的に避難行動を取るための「参考情報」という位置付けです。
市町村の防災担当部署では「防災気象情報」のほか、天候の状況や地形など、さまざまな情報を踏まえて地域ごとに「避難情報」を発令する…という流れで進行します。そのため「防災気象情報」が出てから「避難情報」が出るまでタイムラグがあるのが通常です。「警戒レベル4相当情報」が出ても、「警戒レベル4」の避難勧告が同時に発令されるわけではありません。
避難すべきかに迷った時は「自分の命は自分で守る」という意識を持ち、避難情報だけでなく防災気象情報も参考にして、早めの避難を心がけましょう。
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