立て続けに流れる虐待のニュース。子どものことを思うと胸が締め付けられ、事件になる前に解決する方法はなかったのだろうかと、だれもが思うのではないでしょうか。
そんな中、政府は実親が育てることができない子どもが対象となる「特別養子縁組」の制度を見直す改正案を閣議決定しました(平成31年3月15日)。より多くの子どもが恩恵を受けられるよう、対象年齢を「原則6歳未満」から「原則15歳未満」に引き上げるための見直しです。
どんな制度?
「特別養子縁組」とは、子どもの実親(生みの親)との法的な親子関係を解消し、血縁関係のない親と、実の子と同じ親子関係を結ぶ制度です。戸籍には、実親の名前は記載されず、養子の続柄は「長男(長女)」 等と記載されます。
虐待、貧困、望まない妊娠などで、生みの親が育てることができない子どもが対象です。
少ない「特別養子縁組」の件数
平成24年度の児童相談所の児童虐待の相談対応件数は、平成11年度の5.7倍の66,701件。全国の児童養護施設では約3万人の子どもたちが生活しています。
一方で、特別養子縁組の成立件数は、平成24年度では339件。平成26年度は542件まで増えていますが、児童養護施設で暮らす子どもたちの人数を考えると、とても少ないと言わざるを得ません。
また、虐待を受けた子どもの年齢構成は、以下のようになっています。
- 0歳~3歳未満…18.8%
- 3歳~学齢前…24.7%
- 小学生…35.2%
虐待者は実母が57.3%と最も多く、次いで実父が29.0%となっています。(参考/厚生労働省 児童虐待の定義と現状)
「特別養子縁組」の養親になるには?
特別養子縁組は、実親との親子関係が解消され、養親のみが法律上の親となるため、養親の条件が普通養子縁組よりも厳しくなっています。条件は以下のとおりです。
- 養親は夫婦共同でならなければならない
- 養親は少なくとも一方が25歳以上、他方が20歳以上でなければならない
ほかにも、実親の同意が必要(※)だったり、縁組成立前に親子で一緒に暮らしたり(半年間の看護)しなければなりません。そのうえで、家庭裁判所が特別養子縁組の成立を決定します。
※ただし、実父母による虐待、悪意の遺棄などの場合は、実父母の同意が不要となることがあります。
どこへ問い合わせればいいの?
「親になりたい」という希望があれば、最寄りの児童相談所に連絡をします。相談やあっせんは、NPOや病院など民間でも行われています。
また、思いがけない妊娠に悩んでいる場合も連絡先は同じです。相談の秘密は守られます。
厚生労働省のHPには、特別養子縁組に関わるNPOや病院なども掲載されています。
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