どんな病気?
外見は自分が男性または女性であるのに、それが本来の自分であると認められない状態をいいます。症状
自分が男性(女性)としての性に不快感や違和感をいだいており、反対の性になりたいと思い続けている状態です。子どものころは、男児ならオチンチンがなくなればいいといったり、男らしい遊びを嫌います。女児なら立って排尿したり、思春期に入って乳房がふくらむのを極端にいやがり、男っぽい遊びを好みます。いまの自分の性からの脱皮を真剣に望みます。
原因
女性ホルモンであるエストロゲンが強い男子、男性ホルモンのテストステロンが強い女子に起きたり、小さいときに、同性のモデルとなる父親や母親とのかかわりが乏しいか、自分と反対の性の、親との密着が強いなどの原因があげられますが、はっきりしません。
治療
子どもが自分と反対の性に関心をもつのは、2〜4歳ころといわれ、性同一性障害も早ければこの時期から兆候が表れます。家族がそれを受け入れ、理解することは困難ではありますが、決して頭から否定せず、体と心の不一致に悩んでいる子どもの側に立ってあげることが大切です。学校で集団生活を送るようになると、トイレの問題など、周囲との違いが表面化しやすくなります。それぞれの子どもに合った環境を整えるためにも、時機を見て医師に相談し、診断を得ることが必要になってきます。
日本精神神経学会のガイドラインによると、医師による治療は、精神療法のほかに、ホルモン療法、外科的治療があります。精神療法は医師との面談の中で、自分の性に対する違和感、精神的、社会的、身体的苦痛について十分な時間をかけて聞き取り、いずれの性別で生活するのが本人にとってふさわしいかの決定・選択を援助します。性同一性障害の確定診断には精神科医師2名の診断書が必要とされています。
精神療法を行っても反対の性になりたいという願望が強く、身体的特徴を少しでも希望の性に近づけたい場合、18歳以上では、自分と反対の性ホルモンを投与するホルモン療法に移行します。最近行われるようになったホルモン療法のひとつに、第二次性徴期にこれを抑制するホルモンを投与するものがあります。通常のホルモン療法にくらべて、開始年齢が早くなるのと可逆性がある(投与をやめると再び第二次性徴が進む)のが特徴です。ホルモン療法に進むには、診断書に加えて精神科医師2名の意見書が必要です(2017年3月現在、保険適用外)。
20歳以上では、第3段階として外科的治療があります。男性→女性なら陰茎切除、睾丸摘出、乳房、膣の形成などで、女性→男性なら逆に膣の閉鎖、卵巣、子宮の摘出、乳房切除、陰茎形成などを行います(2017年3月現在、保険適用外)。しかしホルモン療法や外科的治療を行うということは生殖機能を失うということで、元には戻れません。また、いずれも副作用、合併症の可能性があります。大きな環境の変化にともなう精神的負担も軽視できません。性同一性障害かと思われた子どもが、成長するにつれて自分の性に対する違和感が消え、結局生まれた性のまま生きる例も少なくありません。従って、性同一性障害の診断、治療には相当な慎重さが求められます。精神科医2名による診断書や意見書が必要なのもそのためです。特に外科的治療にあたっては、精神療法、ホルモン療法が十分行われたという医師の証明に加え、手術後の変化、起こりうる問題に対処できる人格と周囲の環境が求められるなど、厳しい条件をクリアする必要があります。
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