鼻の病気(はなのびょうき)

鼻は、さまざまな空洞からなっています


 鼻というと顔の前に突き出た部分を思い浮かべますが、これは鼻のごく一部分でしかありません。この部分は医学的には外鼻と呼ばれるもので、鼻の大部分は、顔面のほぼ3分の1を占めるさまざまな空洞からなっています。
 外鼻孔を入り口として、左右に分かれ、ほぼ左右対称に広がっている空洞を鼻腔といいます。鼻腔はその中央を、鼻中隔という骨と軟骨で構成されている仕切り壁で左右に分けられています。
 一般に小鼻と呼ばれている鼻翼の奥の鼻腔の壁側には、鼻甲介と呼ばれる三つの棚状の骨でできたでっぱりが、カーテンのようにぶら下がっていて、肺に行く空気が鼻粘膜にふれる面積を大きくしています。
 鼻腔を取り囲むようにある、いろいろな大きさと形の空洞は副鼻腔と呼ばれます。

温度と湿度を調節する鼻のはたらき


 鼻は、吸い込んだ空気からほこりや細菌を取り除いたり、加湿加温して、気道や肺を守るはたらきをしています。鼻から入った空気は、鼻毛によって大きなごみを取り除かれます。その奥の粘膜の部分には細かい線毛が生え、鼻腺からたえず粘液が分泌されています。
 小さなごみやほこり、細菌などの微生物は、粘液に付着し線毛の運動によって鼻腔の奥へ運ばれ、のどから痰となって出されたり、食道を通って胃へ運ばれます。
 鼻腔に入った空気は、こうしてほこりや細菌が取り除かれるだけでなく、三つの鼻甲介のあいだを通るときに、鼻腺から出る粘液によって湿気が与えられたり、粘膜に流れている血液によって適度にあたためられて、肺に送られます。
 鼻の粘膜が乾燥すると、不快な症状だけでなく、鼻の重要な防御作用が十分にはたらかなくなります。そこで、鼻の粘膜がつねに湿っているように、鼻腺から粘液が、1日に約1lも分泌されています。
 鼻の病気でいちばん多くみられる症状は鼻づまりです。これは、鼻中隔が曲がっていたり、鼻甲介が腫れたり、鼻の中にできものができていたりして起こります。鼻づまりなどで口で呼吸しつづけていると、この鼻の重要な役割が生かされず、細菌などが取り除かれないまま、からだの中に入ってきてしまいます。からだを守る意味でも、鼻で呼吸をするということはたいせつなことなのです。

においを感じ、声を共鳴させる役割も


 においを感じるのも鼻の役割です。文明の発達にともない、人間の嗅覚は退化したといわれています。しかし、生活していくうえで嗅覚が重要な感覚であることには変わりがありません。
 においがわからなくなると、食事もおいしくなくなります。ガス漏れやタバコの焼け焦げなどに気づかず、事故につながることもあります。
 そのほか、鼻には声の共鳴器としてのはたらきがあります。鼻をつまんでしゃべってみるとわかりますが、ことばがモゴモゴとこもって聞き取りにくくなります。楽器には共鳴器がついていて、すばらしい音色が出るように、人間の声も共鳴器がないと聞き取りにくくなるのです。鼻の大部分を占める空洞が、声の共鳴器の役割をはたしてくれているというわけです。

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