妊娠中の貧血、赤ちゃんへの影響&外出時の対処法は?
妊娠初期(1~4ヶ月)の相談
Q4115:妊娠中の貧血、赤ちゃんへの影響&外出時の対処法は?
これまで血液検査で貧血を指摘されたことはないのですが、妊娠してから急に立ちくらみや動悸・息切れを感じることが増えました。妊娠により貧血になることはありますか?貧血により赤ちゃんに何か影響があったらと不安です…。
先週は電車に乗っているときに急に目の前がチカチカして立っていられなくなり、その場にしゃがみこんで、どうにか倒れることは免れました。電車から降りて少し休んだら症状がおさまったので、また電車に戻ったのですが、外出先で急に貧血になったときには何か食べたり飲んだりすることで、症状を軽くすることはできるのでしょうか?
妊婦用のサプリメントを飲んだほうがいいのかなど、次の健診のときに先生に聞いてみようと思うのですが、健診が少し先なので、注意すべきことなどがあれば教えてください。 2019-03-26 15:29

妊娠貧血は、妊婦さんに比較的多くみられるマイナートラブルの一つで、全妊婦さんの20~30%に見られます。
妊娠中は、胎児の発育のためにお母さんは多くの鉄分を供給する必要があり、このためにお母さんは赤血球、循環血液量がともに増加して生理的に水血症と呼ばれる状態になります。
妊娠貧血の診断基準は、ヘモグロビン11.0g/dl未満、またはヘマトクリット33%未満で、その大部分は、妊娠に起因する鉄欠乏性貧血、葉酸欠乏性貧血または両者を合併したもので、無症状のことがほとんどです。ただし、貧血の程度が高度のときは、胎児発育にも影響を与えることがありますので、妊娠中は初期、中期、後期の最低3回は血液検査で貧血の有無を調べます。
お尋ねになられた症状、立ちくらみや動悸・息切れ、目の前がチカチカして立っていられなくなりしゃがみこんでしまった、などは貧血により生じている可能性もありますが、空腹時や食後、疲労や緊張、姿勢などにより誘発されている“貧血様症状”の可能性もあります。今後の妊娠の進行とともにこうした症状が取れてくるようであれば、妊娠による体の変化に徐々に適応してきていると考えてよいし、逆に頻度が増えるようであれば外出を控えて主治医に相談されるとよいと考えます。
妊娠貧血の治療は、不足した鉄分を鉄剤内服の形で補うのが基本ですが、ビタミンB12、ビタミンB6や葉酸は、血液を作るために鉄分の吸収を補完する働きがあり、こうした栄養素を含んだサプリメントは、積極的にとってかまいません。一方、コーヒ―や緑茶に含まれるタンニン酸、玄米や食物繊維に含まれるフィチン酸は鉄分の吸収を妨げる作用がありますので、鉄分接種を意識した食事をとられている方は、30分以上ずらした状態で食べるなどの工夫をしてみてください。
先生のプロフィール
順天堂大学医学部卒業後、関東労災病院産婦人科・日立総合病院産婦人科・国立霞ヶ浦病院産婦人科などに勤務した後、米国コロンビア大学医学部へ研究留学。帰国後は、社会保険中央病院医長、愛育病院産婦人科部長を歴任し、1996年11月に秋葉産婦人科病院の第4代院長に就任。2009年8月、WHO/UNICEFより「赤ちゃんに優しい病院」、BFH ( Baby Friendly Hospital ) の認定を受け、2014年には「ぽっかぽかクラブ(育児サークル)」や産後ケアセンターを設立するなど、幅広いサービスで地域の女性たちの妊娠・出産・育児をサポートしている。-
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