流産後の妊娠について
妊活・妊娠前の相談
Q3601:流産後の妊娠について
今年5月に流産してしまいました。
流産後の妊娠は、生理が2〜3回きたら、可能と聞きます。しかし、子宮腺筋症があり、出血が多く、貧血傾向があります。(ヘモグロビン11,フェリチン20)
貧血の数値が改善するまで、妊活はお休みした方が良いのでしょうか。
もしお休みするなら、薬(ディナゲスト)を使って、生理をとめ、腺筋症の進行を抑えようと思っています。
2018-07-15 15:57

流産後の妊娠は、血液中のhCG(妊娠ホルモン/妊娠することで産生されるホルモン)がゼロになればいつでも可能です。最短で1ヶ月、通常は1ヶ月半ですが、最長で半年程度かかる場合もあります。
ですから、生理が2〜3回くるまで待つ必要はなく、次回の生理がきた段階で、hCG採血を行っていただければ、どの程度時間がかかりそうか予測がつくと思います。また、子宮腺筋症については、どの程度の腺筋症があるかによりますが、ヘモグロビン11,フェリチン20でしたら、妊活される際に鉄剤を使う必要はないでしょう。
Hg(ヘモグロビン)は11.0以上が基準値とされていますが、フェリチンの基準値については賛否両論があり一致した見解は得られていません。最新の論文では、12.0 ng/mLあるいは15.0 ng/mL以上が良いのではないかとしています(Transfus Med 2017; 27: 167、Am J Clin Nutr 2017; 106: 1634S)。栄養学的な立場での基準値もまた違って当然だと思いますが、大事なことは「その方の目的にあった基準値」で判断することです。
妊娠を目指すご夫婦は、栄養学ではなく妊娠治療の基準値で判断して欲しいと思います。フェリチン減少と不妊症の関連を示す根拠はありません(むしろ鉄は悪影響)ですのでご注意ください。チョコレート嚢腫からの卵巣癌発症に鉄が関わっているとする多くの医学的研究も報告されています。
また、治療に対する夫婦の温度差、周囲からのプレッシャーといった「不妊症の心のケア」にも取り組み、さまざまなメディアで取り上げられている。
先生のプロフィール
慶應義塾大学医学部卒業後、アメリカインディアナ州メソジスト病院生殖移植免疫センター研究員、東海大学医学部産婦人科准教授などを歴任し、2013年に「男性と女性を同時に診療する」コンセプトで設立した不妊センター、リプロダクションクリニック大阪院長に就任。1人でも多くの方が子どもを抱けることを目指して尽力している。また、治療に対する夫婦の温度差、周囲からのプレッシャーといった「不妊症の心のケア」にも取り組み、さまざまなメディアで取り上げられている。
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