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子宮口を縛る手術のリスク

妊娠後期(5~9ヶ月)の相談

Q2545:子宮口を縛る手術のリスク

妻が切迫早産の為、入院しております。 まだ妊娠20週目にもかかわらず、子宮頸管の長さが30mmより短くなったためです。 点滴により長さは40mmほどに回復しましたが、点滴の塩酸リトドリンを少なくすると、お腹の強い張りが再発し、長さもすぐに30mmを下回ってしまいます。 担当の医師は手術(シロッカー)をすると言っていますが、根本的な原因であるお腹の張りが無くなるわけではないし、手術を受けることで子宮が刺激されそのまま陣痛につながってしまう可能性もあるようです。また、「手術をすれば長さが確保できるので今よりも母体に負担のかからない点滴(塩酸リトドリンの少ない点滴)が使える」とも言われましたが、お腹が張れば縛っている子宮口をはじめ他の部分に負担がかかる訳ですから、そちらの方が悪影響に思えて仕方がないのです。 手術をするリスク、手術をせずに今まで通り点滴による治療のみを続けていくリスク、どちらを取るべきでしょうか?どうか皆様のご意見をお聞かせいただければと思います。 よろしくお願い致します。 2017-06-12 19:32
堀口貞夫先生
子宮口を縛るシュロッカー手術 に関するご相談の件について産婦人科医として私より回答いたします。 シュロッカー手術が広く行われるようになったのは昭和30年代の半ば以後です。 当時、妊娠初期の自然流産の危険なる時期を過ぎた「妊娠4ヶ月過ぎた頃から妊娠中期の終わりころの流早産で子宮口が開き気味だったり、頚管が短縮した状態では子宮口を縛る手術が有効」と言われても、産婦人科医の私も半信半疑でした。 しかし、シュロッカー手術は極めて有効な治療法で、手術をすることによる機械的刺激、感染の危険、破水の危険(一時的あるいは継続的に子宮の収縮を強くする、胎児への感染など)を乗り越えて、妊娠を持続させることが可能でした。 胎児は妊娠18週には200グラムくらいですが、妊娠22週頃には500グラム、妊娠26週には900グラム、妊娠30週1.5キログラム、妊娠34週には2キログラム超と重くなります。この重さが子宮口にかかるのです。子宮頚管が短縮し始めるとこの増加する重さで短縮は促進され、子宮口は柔らかくなり、子宮口は開いてきます。この変化が子宮の収縮を強め陣痛に移行したり、卵膜の感染を起こしたり、自然破水の原因になったりします。破水はさらに胎児の感染や子宮収縮を促進する危険が高まります。 シュロッカーの手術は子宮口をしっかりと引き締めているのでこのようなマイナスを減らすことができるのです。 この手術が導入されるまでは、子宮頚管の短縮、子宮口が開いてくる、子宮口の軟化などの変化が出てくると入院安静するほかなかったのです。安静にしていても収縮が強くなったり破水したりで、流早産になってしまうことが多かったのです。妊娠20週から妊娠37週くらいまで入院しているというのは、そのこと自体もストレスになります。 この手術によって「少しずつでも体を動かすことができる」ようになったのは、流早産を防ぐとともにとても大きなメリットと感じています。 nerima さんがご心配されているように、医師も手術をすることの「機械的刺激、感染の危険、破水の危険(一時的あるいは継続的に子宮の収縮を強くする、胎児への感染など)」を常に考えた上で、手術の適応になるかを決めています。手術を行った場合と行わなかった場合のどちらがマイナスが大きいかを常に比較して判断しているのです。 「どちらを選択すべきか」ですが、厳密に言えば、診察していない私には判断できません。 もちろんそれは、手術をしない場合、十数週の入院が必要になる可能性があるということについて、ご夫婦と相談しながら方針を決めるという手順がなければ判断できないという意味を含めてのことです。

先生のプロフィール

元愛育病院院長、元東京大学医学部講師。妊婦が安心して、自分が納得のいくお産をするために、のべ4万人という妊・産婦をあたたかく見守ってきた。「妊婦のことを親身になって考えてくれる」と評判が高い。JR四ツ谷駅前の「主婦会館クリニック からだと心の診療室」(主婦会館プラザエフ4F)元院長でもあり、女性のからだと心を両面からサポートしていた。著書に『あなただから だいじょうぶ』(赤ちゃんとママ社)、『改訂版 夫婦で読むセックスの本』(電子出版)など。
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