ベビカムトップ
>
妊娠後期(5~9ヶ月)
> 無痛分娩と和痛分娩の違いは?

無痛分娩と和痛分娩の違いは?

妊娠後期(5~9ヶ月)の相談

Q1682:無痛分娩と和痛分娩の違いは?

産院によって無痛分娩、和痛分娩とありますがどちらが良いのでしょうか?無痛=痛みがない、和通=痛みを和らげるという意味ですよね?これってどういった違いがあるのでしょうか?私の勝手な解釈は無痛の方が痛くないのかな?と思ったのですが・・ またメリットやデメリットも併せて教えていただけると助かります。 2016-09-08 20:04
堀口貞夫先生
まず、なぜ赤ちゃんを産むのに「痛みを経験しなければならないか」「どうして痛みがあるのか」の理由を説明しましょう。

体重が3000g前後、頭の横幅9〜10cmの赤ちゃんが、10ヶ月子宮の中で過ごすことができるように、子宮はしっかり出口を閉めて頑張っています。分娩予定日近くになると子宮口が柔らかくなり、子宮の収縮で子宮口を少しづつ開きます。

あまり早く柔らかくなってしまうと、赤ちゃんの体重を支えきれずに子宮口は開いてしまいますよね。子宮口が開くことが刺激になって子宮収縮が強くなったり、破水してしまったりすると早産になってしまいます。早産にならないように子宮が頑張ってくれているから、早産になってしまうのは3〜4%くらいで止まっているのです。

さて、逆に子宮口の軟化がゆっくりだと、硬い子宮口を開くために、強い陣痛が必要ですし子宮口は強く広げられるために痛みを伴うのです。

便秘をしていて溜まって硬くなった便をいきんで出そうとすると、お尻が痛いですよね。またゲンコツを口の中に入れようとすると、手の小さい人、あるいは口の大きい人でないと口が痛いですよね。これが無理矢理、子宮口が押し広げられる時の痛みです。

陣痛(子宮収縮による)の痛みは、月経痛の強いものあるいは下痢の時に腸の内容物を早く押し出そうと腸が強く収縮(蠕動運動)したときと同じようなメカニズムです。

それでも、できるだけ痛みを感じないような巧妙な仕組みを人間は身につけています。

痛そうだなと思っていると、痛みを強く感じるということをご存知でしょう。精神予防性無痛分娩とかラマーズ法とかアクティブ・バース(active birth)とか言われるものはこの自然の痛みを和らげるメカニズムを利用したり増強しようというものです。

さて、医学の進歩で手術や怪我の痛みを和らげる麻酔法も安全性の高く有効性も十分な安定したものになってきています。これらの薬を使わない方法以外に、鎮静剤・鎮痛剤・注射の麻酔剤や吸入麻酔も1950年代から使われています。

痛くないお産を目指して産婦人科医は努力を重ねてきました。手術ができるくらいの強力な麻酔法はありますが、
・陣痛を弱めたりしない
・胎児への影響が少ない
・安全な麻酔のためにあらかじめ産婦さんの身体の準備をしておくのが難しい
などの条件があるために、「無痛分娩」というのはおこがましいと、「痛みを和らげる」あるいは「痛みを減少させる」という意味で、「和痛分娩」とか「減痛分娩」という呼ばれ方もされてきたのです。

しかし、あくまでも限りなく無痛に近い麻酔方法を目指そうという気持ちで、そこに目標をおくという心意気から、今も「無痛分娩」という言葉が使われることが多いのです。麻酔の方法が違うということではありません。

麻酔は一つの技術ですので、麻酔を使う医師が最も使い慣れた方法を使うのがいいのです。薬品を使うのですから、マイナスが全くないわけではありません。陣痛を弱めたり、血圧が下がったり、一番痛みが強い時に麻酔がの効き目が薄れてこないように、分娩時間が長引かないように、胎児への麻酔の影響が及ばないように等、注意しながら3時間、5時間、時には10時間という長い時間も安定した麻酔を維持できるようにという注意を払うのです。

無痛分娩をしなくても、安全に、お産はできるところを痛みを無くすというのですから、マイナスは限りなくゼロに近づけるという責任が医療側にはあるのです。

これらみんなを、手術のようにあらかじめ何時から始まり何時に終わるという予定なしに、とりかかるのが無痛分娩です。

産科医は少ないと言われる中で、お産をされる方が「いいお産ができた」と思っていただける目指しているのです。

妊婦さんは一人一人の条件が違います。お産をされる施設でよく相談されて納得して出産に望まれるようにしてください。

先生のプロフィール

元愛育病院院長、元東京大学医学部講師。妊婦が安心して、自分が納得のいくお産をするために、のべ4万人という妊・産婦をあたたかく見守ってきた。「妊婦のことを親身になって考えてくれる」と評判が高い。JR四ツ谷駅前の「主婦会館クリニック からだと心の診療室」(主婦会館プラザエフ4F)元院長でもあり、女性のからだと心を両面からサポートしていた。著書に『あなただから だいじょうぶ』(赤ちゃんとママ社)、『改訂版 夫婦で読むセックスの本』(電子出版)など。
  • キーワードを入れて、その他の相談を検索!

関連の質問

関連の動画

からだと心の相談室お役立ち情報

powerd by babycome