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2016-02-12T00:00:00+0900 2016.02.12

Q.出産時のこと

出産時のことがどうしても納得がいかず、フラッシュバックして産後うつのようになっています。





特に問題なく妊婦生活を送っていましたが、予定日を超過し、4日目に誘発分娩でバルーンを入れました。しかし、前駆陣痛のようなものが4時間続いただけで、子宮口も1センチ、お産にはつながりませんでした。予定日超過5日目になると、また2回目のバルーンを入れました。しかし、効果なく子宮口1センチのままでした。わたしが出産した病院で、以前、予定日超過1週間で胎内死亡した例があったということもあり、私も赤ちゃんも元気なうちにと予定日超過6日目に帝王切開という判断になりました。が、後々気づいたのですが、破水もしてなかったこと、正産期まであと1週間あったことを知りました。





いま、無知だった自分を責め続けてます。本当に帝王切開で出産してよかったのか、バルーンを入れてよかったのか、と。いまだに不満で、産科医を訪ねて医師に説明を求めているのですが、


「あのとき、あなたから、まだ根気強く待つことお願いされていたとしても、私は待ちません! 赤ちゃんの命を守るためです」と言われます。





私の帝王切開の決断は早かったのではないのかと、考え過ぎて混乱し、おかしくなりそうです。どのように考えたら、この気持ちがすっきりするのでしょうか。


(30歳女性・産後3ヶ月)

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終わったことを「あの判断は間違っていたのではないか?」と悩んでもしかたないことではないでしょうか。正しい判断をしてやり直すことはできないからです。経過を追って書いてみます。



1)40週4日:バルーン挿入。前駆陣痛様の収縮4時間、子宮口1cm。

2)40週5日:バルーン再挿入。子宮口1cm。

3)40週6日:帝王切開を選択。理由はこの病院で41週0日で胎児死亡の例があったから。

4)破水もしていなかったし、正産期まであと1週間もあったことに後々気が付いた。それなのに帝王切開をしてしまった自分の無知を責めている。



これらの事について考えてみます。

1)妊娠37週0日から41週6日までを正期産といいます。これより早いと、成長が未熟の可能性がある。保護された子宮内の環境から出てしまうと未熟であることのマイナスを新生児が背負う可能性を否定できない。一方これより遅いと、胎盤の老化が進んで胎児への酸素供給が悪くなり、胎児の酸欠の心配がある。このことから、妊娠37週0日から41週6日までを正期産ということにしたのです。36週6日までは、早期産(早産)。42週0日からは過期産です。予定日を越えると、胎盤の機能が低下して2週間を越えると羊水の混濁(胎便を漏らすため)を起こすことが多くなり、胎児心拍数曲線に異常が現れ、胎児仮死non-reassuring fetal statusと判断されることが多くなります。それで、41週6日を過ぎないうちに分娩を終わるように、努力されるようになりました。それで、まだ子宮口が開いていない場合には、子宮口を柔らかくして開きやすいように、バルーンを使用するのです。



あなたが出産した病院では3)に書かれているように「胎児死亡を起こしてしまった」という苦い経験をしているために陣痛誘発のタイミングを早めたものと思われます。



「あのとき、あなたから、まだ根気強く待つことお願いされていたとしても、私は待ちません! 赤ちゃんの命を守るためです」と言われます。

とありますが、「あのとき」とは私の挙げた1)~4)のうちどの時点を指しているのでしょうか?「胎児死亡を起こしてしまった」という苦い経験があるため、子宮口が1cmしか開いていないところから出産するまでは、平均14時間くらいはかかると考え、バル-ンを2度挿入しても1cmしか子宮口が開かないということは、より長い時間かかる可能性が考えられるために胎児を長い時間陣痛のストレスに晒さないように主治医は考えたものと思います。



以上のように考えることはできないでしょうか?

2016-02-12T00:00:00+0900
  • ▼ 堀口 貞夫先生のプロフィール

    • 元愛育病院院長、元東京大学医学部講師。妊婦が安心して、自分が納得のいくお産をするために、のべ4万人という妊・産婦をあたたかく見守ってきた。「妊婦のことを親身になって考えてくれる」と評判が高い。JR四ツ谷駅前の「主婦会館クリニック からだと心の診療室」(主婦会館プラザエフ4F)元院長でもあり、女性のからだと心を両面からサポートしていた。著書に『あなただから だいじょうぶ』(赤ちゃんとママ社)、『改訂版 夫婦で読むセックスの本』(電子出版)など。

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