Q.年末年始の帰省を前に、姑からのプレッシャーを思うと憂うつです。
結婚して4年目、34歳、ベビ待ちです。仕事を続けていきたいという気持ちもあり、結婚当初は積極的に子作りを考えていませんでした。そんな雰囲気も察してくれていたのか、義理の両親も2年くらいは何も子どものことを口にしなかったのですが、昨年あたりから姑が
「そろそろあなたたちの子どもの顔を見たい」
「子どもを育ててこそ、女は一人前」
「年をとってからの子育ては大変よ」
などと口に出すようになりました。
その無神経な物言いは、帰省のたび毎回で気がめいります。夫は気にするなといいますが、それでいてかばってくれる感じもありません。
私だって、妊娠したいって思っているんです。それなのに、なかなかできない…。年末年始には帰省しなくてはなりません。姑からのプレッシャーを思うと憂うつです。帰省どころか、姑の顔をまともに見れなくなりそうで怖いです。どうしたら、いいでしょうか。
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私の母は明治の生まれの女性ですが、その母からたった1度だけ、こっぴどく叱られたことがあります。それは、私が5月に出産予定だった子どもを流産で亡くしたときのこと。「風薫る1番いい季節だと思って子どもを作ったのに…」と泣く私に「何を言ってるの。そんな不遜なことを言うから、こういう目にあうんじゃないの? 子は授かるものよ。子を作るなんて、人の命が自分の思うようになると思ったら間違いよ」と。
とても厳しい物言いでしたが、私は、そのときはっきりと目がさめたことを覚えています。母は「人間が人間を作るなんて、不遜な考えだ」ということを私に教えてくれた。子どもは自分たちの意思だけで作れるものではないと、私はそのとき思い知ったの。
あなたの質問に「子作り」という言葉があったものだから、まずはそこからきちんとお話をしたほうがいいと思い、私の母のエピソードを紹介しました。
子どもは「授かるもの」。子を作るという気持ちではなく、「授かるもの」だという意識を持てば、気持ちの焦りも薄らぐはずです。そして、あなたたち夫婦がそういう気持ちで「赤ちゃんを待っている、待ち望んでいる」ことを、はっきりとお義母さんにも言うべきでしょう。黙っていたら、お義母さんはあなたの気持ちになんか、気づきやしないわよ。
あなたのお義母さんが言っていることは、たしかに無神経だけれど、世の中、大半の姑はそんなものです。もし、お義母さんがずっと家庭に入ったままの人だったら、仕事もがんばっていこうというあなたの気持ちは、なかなか理解できないでしょう。流産したり子どもを亡くしたりしたことがなく順調に子育てしてきた人ならば、自分の言葉で、あなたを傷つけていることも知らずに、大して悪気もなく言っているだけよ。だからこそ、あなたの気持ちをお義母さんにしっかりと伝えることが必要なの。
それから、女だって母親になるのが大変なのに、自分で子どもを産まない男は、ナイーブな女性の気持ちに気づけないわよ。だから、ご主人だってあなたを思いやっていないのではなく、それが精一杯なのかもしれない。自分の立場をよくしていこうと思ったら、周囲の人を大事にすることが大切です。そうすれば、あなたのことをもっと大事に思ってくれるものよ。
他人なんて、変えようと思って何か言っても変わるもんじゃありません。だから、何かつらいことがあったときは、相手をどうこうしようとせずに、まずは自分が変わってみましょうよ。私はいつもそうやって生きてきました。きっと気持ちも少しは落ち着くはずよ。憂うつな気分は向こうへ逃げていくんじゃないかしら。
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▼ 金澤 直子先生のプロフィール
妊婦・親子水泳教師の草分け的存在として80歳過ぎまで現役で活躍後、プールの中での指導は卒業。現在は妊婦卒業生の強い味方として、指導に当たっている(東京アスレティッククラブ中野/月1回カンガルークラブ、年に2回親子コンサートの主催)。栄養士の資格と経験を生かし、スイミング教室の後は、お手製のおかず持参でお食事会を毎回ひらき、妊婦の悩みに答える、人呼んでヤンババ。その由来については、著書『ヤンババの出産・子育て知恵袋』(築地書館)をご覧あれ。著書に、堀口貞夫・金澤直子共著『ゆっくりきっぱりお母さんになる』(赤ちゃんとママ社)。
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