薬の種類(くすりのしゅるい)

 薬には、内服薬(飲み薬)と外用薬(口から飲まず、貼ったり塗ったりする薬)、注射薬の3つのタイプがあります。

内服薬(飲み薬)


 口から飲む薬を内服薬(経口薬)といい、粉薬(散剤)、顆粒、ドライシロップ、水薬、錠剤、カプセルなど、いろいろな形状に加工されています。内服薬は、おもに腸で吸収されて肝臓をとおり、血液の流れに乗って、病気を起こしている部位まで運ばれて効果を発揮します。
 子どもの飲み薬は胃を荒らすことが少ないため、もっともよく使われます。

粉薬、顆粒、ドライシロップ


 年齢や症状に応じて、薬の量を細かく調節できるため、子どもによく使われます。
 湿気に弱く、湿気を帯びると変質するので、缶や密閉容器に入れて冷蔵庫で保管します。粉がかたまっていたり、変色した薬は使わないことです。

粉薬(散剤)


 細かい粉状の薬です。錠剤やカプセルにくらべて体への吸収も速いのですが、味が悪かったり飛び散りやすく、飲みにくいのが欠点です。口に水をすこし含んでから飲むのがよいでしょう。
 赤ちゃんの場合は、少量の湯ざましで練って、上あごにつけ、水や湯ざましを飲ませます。

顆粒


 粒状の薬で、飛び散りやすい粉薬の欠点を改良したものです。香りや甘みをつけて飲みやすくなっています。
 かんだり、つぶしたりしないで飲ませます。

ドライシロップ


 細かい粒状の薬で、水にとかして飲ませます。ピンクやオレンジ色がつけてあり、飲みやすいように甘みやイチゴ味、ヨーグルト味がついています。
 とかしたまま置いておくとききめが落ちるので、飲ませるたびに1回分ずつ、湯ざましでとかして与えます。

水薬(シロップ)


図「無題」
 薬を水やアルコールでとかした剤形で、内服薬のなかでもっとも体への吸収がよく、薬の効果が早く現れます。
 飲みやすいので、多くは乳幼児に使われ、甘く味つけしてさらに飲みやすくなっています。飲む前に容器をよくふり、目盛りにそって適正な分量をはかり、別の容器に移して飲ませます。水薬は、一度開封すると空気中の雑菌が混入して、成分が変化したりカビが生えやすくなるため、長期保存は困難です。冷蔵庫で2週間がめやすです。

錠剤


 薬を圧縮して同じ形にしたもので、飲みやすく、成分が変化しないように表面が糖などでコーティングされています。薬が胃や腸の中でとける時間を計算して、効率よく作用するようにつくられています。医師の指示がないかぎり、割ったりつぶしたりしないで飲ませましょう。
 粉薬より飲みやすいので、最近では子どもに使えるものも多くなりました。小学生くらいになるとほとんどの子が飲み込めるようになります。
 そのほか錠剤には舌の下に入れて、粘膜から吸収させる舌下錠や、トローチのように、なめて口内やのどの炎症を改善するものなどがあります。服用法をまちがえないようにしましょう。保管は室温で1年くらいがめやすです。

カプセル


 ゼラチンを材料にしたカプセルの中に薬がつめられた剤形で、とくににがみや、においが強い薬に適しています。最近では、小さなカプセルがふえてきたため、小学生くらいになると飲み込める子が多いようです。
 カプセルは、薬が胃や腸でとけ出す時間を計算に入れて、薬のききめが考えられています。カプセルをはずさないで、かならずそのままの形で飲ませましょう。中の薬だけを取り出して飲むと、治療効果が不安定であったり、胃腸障害を起こすこともあります。
図「無題」
 また、水なしで飲むと食道などに炎症や潰瘍を起こすこともあります。たっぷりの水で飲ませることが大切です。保管は室温で1年くらいがめやすです。
 子どもによって薬の好みはいろいろです。粉薬でも錠剤でも水薬でも、ききめに大差はありません。味や形が合わなくて飲めないときは、子どもが飲みやすい剤形を、受診の段階で医師にリクエストしましょう。

外用薬


 口から飲むのではなく、皮膚や粘膜など体の表面に使う薬を総称して外用薬といいます。
 軟膏、クリーム、ローションなどのように皮膚の表面に用いるものと、目にさす点眼薬や肛門に入れる坐薬などのように粘膜に用いるものがあります。

軟膏・クリーム・ローション


 皮膚に直接塗って、湿疹などの皮膚病の治療や筋肉痛などの炎症をおさえるのに使われる剤形です。
 軟膏は、多少べとつきますが、塗りやすく保湿性にすぐれており、子どもにもっとも多く使われています。
 クリームは、よく伸びるので塗った感じがさわやかです。ただ、皮膚が乾燥しやすく、塗ったとき肌にしみて痛むことがあります。
 ローションには乳液状と水状があります。さっぱりした塗り心地で、体の広い範囲に使うことができるのが利点です。ただ皮膚が乾燥しやすく、塗ったときにしみて痛むことがあります。
 いずれも使用するときは、決められた量と回数を守りましょう。
 薬の容器に処方された日付を書き、冷暗所に保管します。一度使ったものは雑菌がつきやすいので、病気が治ったら、使い残しをしないで処分します。

貼付剤(パップ剤)


 打撲やねんざのときの冷湿布や温湿布がおもですが、インドメタシンなどの痛み止めや気管支拡張剤にも活用されています。効果が強すぎるときには、すぐにはがせるのが利点。ただ、月齢が低い赤ちゃんや皮膚が弱い子には使えないことがあります。冷暗所で保管し、6か月程度がめやすです。

坐薬


 子どもの場合ほとんどが、肛門から直腸に挿入して使用する直腸坐薬です。
 直腸の粘膜から吸収されるため、胃や腸などの消化管をとおらないぶん、吸収が速いのが利点です。
 うまく薬が飲めないときや吐きけのあるときなどに適用されますが、子どもの場合は解熱剤によく使われます。
 そのほかにも抗生物質、ぜんそくの発作止め、熱性けいれんの予防、便秘薬、痛み止め、吐きけ止めなどの坐薬があります。冷蔵庫で保管して半年ぐらいが限度です。

噴霧剤・吸入薬


 液剤を口の中にスプレーして粘膜から吸収させます。大きく息を吐き、吸い込むと同時に噴霧吸入器を強く押します。子どもの場合、ぜんそくの発作止めに使う気管支拡張剤が代表的なものですが、ほかには花粉症やアレルギー薬、せきをおさえたり、痰を取り除く鎮咳去痰薬などがあります。
 保存法と保存期間は、室内保存で1年間くらいです。

点眼薬(目薬)


 開いている目か、下まぶたの裏側に滴下します。1~2滴程度で効果は十分です。雑菌が混入するので、容器の先がまつ毛につかないように注意しましょう。目薬をさしたあと痛みが起こるときは、目に傷がある可能性があります。目を水で洗って、薬を洗い流し、眼科医を受診します。
 薬の変質を防ぐため、光を遮断する袋に入っているときは、この袋に入れて冷蔵庫に保管します。2週間くらいがめやすですが、処方されたものは期限がすぎたら処分したほうが安心です。

点鼻薬


 鼻の中に滴下したりスプレーして、鼻の粘膜から薬を吸収させます。
 鼻づまりなどの血管収縮剤や抗ヒスタミン剤、抗炎症剤などに使われます。
 低年齢の子どもは、頭をうしろに傾けて、口で呼吸させながら使用します。
 薬の容器に鼻汁が入らないように注意しましょう。保存法と保存期間は、薬の種類によって異なります。医師や薬剤師に確認しましょう。

点耳薬


 耳の中に滴下して、炎症をおさえたり殺菌するために使用します。
 使うときは、子どもの頭を横にして寝かせ、耳の穴の壁にそって薬を滴下します。滴下した薬がたれないように10分ほどそのままの姿勢で安静にします。保存法と保存期間は、薬の種類によって異なります。医師や薬剤師に確認しましょう。

うがい薬(含嗽剤)


 口の中やのどの炎症をおさえるために使われます。錠剤や顆粒、液体を薄めて使用しますが、決められた分量をきちんと守ることが大切です。
 うがい薬は、じょうずにうがいができるようになる3歳くらいから使えるようになります。分量どおりに薄めれば多少飲み込んでも支障はありません。
 保存法と保存期間は、薬の種類によって異なります。医師や薬剤師に確認しましょう。

注射薬


 注射薬は、急を要するときや重病で薬の効果を早く得たいとき、下痢や嘔吐などのために飲んでも薬がうまく吸収されないとき、予防接種のように胃や腸から有効成分が吸収されない薬などに使用されます。
 注射は、薬が注入される部位によって、皮下注射、皮内注射、筋肉注射、静脈注射などにわけられます。ただ、注射は子どもに恐怖心や痛みを与えるため、最近小児科ではほとんど行わない傾向になってきています。子どもの場合は、アレルギーの抗原診断や予防接種などに皮下注射や皮内注射が用いられます。また、水分やブドウ糖などの栄養分を体内に補給するための点滴や、抗生物質の効果を高めるために静脈内注射が使われます。これは、おもに気管支炎や肺炎、ぜんそく、脱水症状などに適用されます。筋肉注射は小児科では原則的には行いません。

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