哀悼・やなせたかしさん〜「手のひらを太陽に」をいつまでも〜

  • 2013-11-22 16:44
  • 一般公開
  • テーマ:詩
「アンパンマン」の生みの親、やなせたかし先生(94歳)がお亡くなりになりました。
毎年行われる先生の童謡祭では、独特な衣装で舞台に立たれ、即興で歌を歌いながら、
大きな楽しい絵を描かれていたお姿を思い出します。
最近、お見かけしないと思っていたところでしたが、訃報に接しても、
やはりあのお元気な楽しいお姿しか思い出せません。
けれど、亡くなられた直後に発売された「詩とファンタジー」秋栞号
(やなせたかし責任編集)を開くと、最初の扉のページと巻頭には
「えっ!」と驚くような三つの詩が掲載されています。


その内容を引用いたしましょう。

編集前詩
いつも/これが最後と/おもって書いています 
一世紀近く/生きてきましたから/もうおしまいです 
あっというまでしたね/すぎてしまえば/あっけない 
ぼくは/未熟の生まれ/死ぬ時も/未熟のままで 
かえって/よかったような/気もします
ところであなたは?


チャーリー  
チャーリーの/古い昔の/コマ落としのリズムで
ぼくの人生喜劇/シリーズ/ついに全巻の終り
これからはじまる/チャーリーみたいな
自作・自演の/おわかれコンサート 
無料サービス/死ぬほど面白がらせて/みせるから

天命 
見おぼえのある/絶望の岸
ここまで何度か/追いつめられ/助からないと思ったが
奇跡的に/九死に一生/なんとか/生きのびてきた
生きとしいけるものには/天命がある 
もはや/無駄な抵抗はせぬ 
ゼロの世界へ/消えていくでござる 
拙者覚悟は/できているから 
あせらず/しばらく/お待ちくだされ


(上記3編とも、やなせたかし・作/『詩とファンタジー』2013年秋栞号より)

「チャーリー」と「天命」の2篇には、やなせたかしさんの個性的な楽しいタッチの絵が
描かれているのですが、この三つの詩は辞世の詩のようで、胸が塞がる思いです。
多くの子どもを夢中にさせている「アンパンマン」の原点は、
正義と自己犠牲と言われています。みんなと同じ気持ちを持ちたいという願いが
創作に現れ、ユーモアあふれる豊かな人間観察が、子どもだけではなく、
みんなの心をとらえて、やなせたかしの世界は広がっていきました。
この心は忘れられることなく、永遠に残っていくことでしょう。
みんながお世話になった、やなせたかし作詞の「手のひらを太陽に」を歌い続けて、
私は哀悼の意を表したいと思います。
ぜひ、みなさんも歌詞の言葉をかみしめて、お子さんとともに歌ってください。

手のひらを太陽に やなせたかし作詞・いずみたく作曲

ぼくらはみんな 生きている 生きているから 歌うんだ
ぼくらはみんな 生きている 生きているから かなしいんだ
手のひらを太陽に すかしてみれば まっかに流れる ぼくの血潮(ちしお)
ミミズだって オケラだって アメンボだって
みんな みんな生きているんだ 友だちなんだ

ぼくらはみんな 生きている 生きているから 笑うんだ
ぼくらはみんな 生きている 生きているから うれしいんだ
手のひらを太陽に すかしてみれば まっかに流れる ぼくの血潮
トンボだって カエルだって ミツバチだって
みんな みんな生きているんだ 友だちなんだ

ぼくらはみんな 生きている 生きているから おどるんだ
ぼくらはみんな 生きている 生きているから 愛するんだ
手のひらを太陽に すかしてみれば まっかに流れる ぼくの血潮
スズメだって イナゴだって カゲロウだって
みんな みんな生きているんだ 友だちなんだ


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