【第9回】出会い

山本智美:助産師日記

ベビカムマガジンと連動している無料登録のホームページ・ベビカムを通して、ベビカム会員の妊婦さんや子育てママたちは、いろいろな方と出会っています。このホームページを通じて、私にもすてきな出会いがありました。今回は、そんな個人的な経験をお話しさせていただきましょう。

ベビカムコミュニティで会ったKさん

Kさんとの出会いは、ベビカムのコミュニティの中でした。メールのやりとりのみで、未だに顔も知りません。私たちのやりとりは、Kさんからの「出産施設でよいところはないか」というメッセージから始まりました。私はKさんが前向きに自分のお産を考えていることにうれしくなって、できるだけ協力したいと思い、施設情報誌を紹介しました。その後の私たちのやりとりはこんな感じでした。

Kさん

「本の紹介ありがとうございました。おすすめのいい病院ってありますか?」

山本

「Kさんは、どのようなお産をしたいですか。何にこだわりたいですか。それを考えてその条件に合う病院を選んでみてはいかがですか」(みんなどうして、おすすめ病院を聞くのかなあ。もう少し具体的に考えてほしいな)。

Kさん

「○△医院に決めたけど、どう思いますか? 何だか私が望むものとは違うようにも思う」

山本

(いいぞ、いいぞ。その調子)「自分で違うと思うのなら、病院は替えていいと思う。Kさんのこだわりをもう少し具体的に考えてみましょう。病院なら他にもあるから」

メールのやりとりをしているうちに、Kさんは、どのような希望があるかがはっきりしてきたようでした。

Kさん

「休みの日に、何カ所か施設を見学してきました。それで決めました。満足です」

山本

「よかったですね」(やったあ、Kさん! 自分で主体的に決められたね。これからも、何があっても自分で納得するまで行動できそうだね)。

Kさんが、前向きにお産に取り組む姿勢が、メールを通して、手に取るように伝わってきました。自分で納得するまで考え、行動できたことで、一つの自信につながったのではないでしょうか。

Sさんと病院で

私が勤務している病院でのできごとです。当直勤務で夕方出勤すると、日勤の助産婦から、入院しているSさんがとても時間を気にしており、少し神経質になっているようだと言われました。私は、Sさんがお産についてどのように学習し、お産をどう思っているのか知りたくなりました。

山本

「勤務交代でこれから朝まで担当させていただきます助産婦の山本です。よろしくお願いします」

Sさん

「昼から陣痛がきていますが、今何センチくらいでしょうか? あと何時間くらいですか?」

山本

(まだ辛そうではないけど、どうして時間にこだわるのかな)「あまり時間にこだわると、かえって時間がかかるよ。それよりも、赤ちゃんからのメッセージを体で感じていきましょう。そうすると時間の経過や痛みよりも、赤ちゃんが降りてきたようだ、ということが感じられるから…。ところでSさんは、母親学級は何カ所行きましたか?」(古典的な母親学級を受けている方の中には、陣痛が何時間くらい経つと、何センチくらい開くと理解してしまう方がいるのです)。

Sさん

「2カ所行きました。1つは市の母親学級で、もう1つは新宿まで講演を聞きに」

山本

「新宿のどこですか?」(どうして詳しく聞きたいと思ったのか、わからないのですが、引きつける何かがあったのかもしれません)

Sさん

「インターネットでベビカムというのがあるんですが、そのベビカムが行った講演です。私、ベビカムが大好きで」

山本

「えっ!ベビカム? 私も入っているよ」

Sさんは、渋谷を新宿と記憶違いしていたようでした。昨年11月に、ベビカム主催無料参加のイベントが渋谷で開かれ、そこでのセミナーで私も話をしていたのです。

Sさん

「えっ、もしかして、あの山本さん? 感激~!」

これには、私も感激でした。偶然にもベビカム会員の方に会えたのですから…。こうして私たちは、ベビカムつながりの劇的な出会いをし、今までの関係がぐっと近いものになった感じがしました。Sさんの経過は順調で、満足なお産だったようです。

私がインターネットを始めたきっかけは、このベビカムのお手伝いをするためでした。自分の認証番号を忘れたり、なかなかコミュニティに参加できなかったりしましたが、事務局の方に教えていただきながら少しずつ覚えていきました。そして、ちょっとの勇気と積極性で、いろいろな人と出会えることもできました。  これからもベビカムを通じて、いろいろな方と出会いを求めたいと思っています。

(1999.10)