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山本智美:助産師日記
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【第33回】助産師って、どこでなにをしている人?

山本智美:助産師日記

助産師という仕事があることさえ知らない人も

現在、助産師は女性のみが就ける職業です。しかし、数年前から男性助産師を導入するという話が出ています。かつて、ベビカム会員のみなさんを対象に男性助産師導入についてアンケートを実施したことがあります。そのときの結果は、男性助産師導入への賛成が30%、反対が70%と、圧倒的に反対の意見が多く見られました。

ただし、アンケートを読んでみると、「男性でも女性でも構わない。大切なのは人間性」「男性医師が多いから気にならない」「助産師が誰かわからない」などの回答も寄せられており、助産師は妊婦さんに長時間つき添い、母乳マッサージをすることもあるという事実が伝わっていないんじゃないか、と考えさせられました。それどころか、「助産師の存在さえ知られていない」「助産師の仕事が理解されていない」「助産師の仕事についてのPRが足りない」ということを実感しました。

そこで今回は、助産師の仕事についてお話をしたいと思います。

助産師はどこで働いているのでしょうか

助産師とは、国から正式に認可された助産教育課程を履修し、国家免許を取得した者のことをいいます。平成16年には2万5000人くらいの助産師がおり(編集部注=平成15年度では2万5724人)、そのうちの69・4%は病院に勤務しています。残りの30・6%はクリニックや助産院、性教育や母乳相談などを開業している助産師です。

みなさんは病院の中で、どの人が助産師なのか分かりますか? 助産師と看護師を見分けるのはなかなか難しいことと思います。私の勤めている病院では助産師は看護師と同じ白衣を着ていて、名札に「助産師」と記入されています。神戸市には助産科といって助産師が独立した部門をもっている病院があります。最近は「病院内助産院」を設ける動きも全国に広がっています。

助産師はどんな仕事をしているのでしょうか

『保健師助産師看護師法』という法律には、助産師の仕事の範囲として「正常なお産の取り扱いと妊婦さんの指導やお母さんの育児支援や赤ちゃんのお世話」と明記されています。

具体的には、妊娠中は妊娠経過が順調かどうかを判断し、日常生活への指導や、妊娠・出産に関するメンタルな面の相談にも乗っています。病院では、外来や母親学級などを担当しています。

出産時はお産が正常かどうか判断し、からだをマッサージするなど、産婦さんに寄り添ってお産の介助をします。産後は子宮や会陰の状態の観察、おっぱいの観察、授乳の手伝いなどを行い、退院後には母子訪問をしたり育児相談に乗ります。不幸にも赤ちゃんを亡くした方のケアも助産師の仕事です。

そのほかに、不妊治療で悩んでいる方の支援や思春期の方の性教育、更年期や老年期の女性の援助・相談なども受けています。つまり助産師の仕事とは、新生児から老年期まで“女性の一生”に関わり続ける仕事なのです。

あなたのサポーター助産師を活用してください

助産師は女性にとってのサポーターといえます。からだに関する悩みや、妊娠・出産・育児のこと、子どもへの性教育、家族のことなどの相談役になるはずです。病院で「助産師に相談したい。誰が助産師ですか」と聞いてみましょう。また日本助産師会に問い合わせれば、地域の助産師を紹介してくれます。あなたを応援してくれる助産師を、ぜひ探してみてください。

(2005.8)

ゲスト

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