ベビカムトップ
>
山本智美:助産師日記
> 出産までに知っておいてほしい施設の選び方、情報選択の仕方

【第30回】出産までに知っておいてほしい施設の選び方、情報選択の仕方

山本智美:助産師日記

紅葉の美しい季節を迎えましたが、みなさんいかがお過ごしですか?

先日、妊娠25週目程度の方を対象とした母親学級を実施しました。その時、妊婦さんから「私は母乳で育てたいと思っているが、糖水をあげることはいけないのですか? なぜ、あげない方がいいのですか?」という質問がありました。私はこの質問を聞き、お母さんなら当然知っていると思われているような妊娠、出産、育児についての基本的かつ普遍的なことを知らない方が多いのではと感じました。

妊娠中は漠然と、自然なお産をしたい、母乳で育てたいと思っている方が多いようです。しかし、そのために何をしなければいけないのか、どのような準備が必要であるのか。情報はたくさんあるようでも、なかなか必要な情報は得られていないのが実情なのではないかと思います。すべてのことに対して、必要な情報が産院などの施設や母親学級などから得られることが望ましいのでしょうが、なかなか難しいことです。少しでも自分に必要な情報を手に入れることができたならば、それは安心の材料にもつながるのではないでしょうか。

そこで今回は、出産までに知っておいてほしい施設の選び方、情報の選択の仕方についてお話します。

妊娠中に通う施設を選ぶためには

妊娠が分かったら、まずどこに行くのかを選ばなくてはなりません。総合病院なのか、個人病院なのか、クリニックや助産院なのか……。それぞれに長所・短所があります。ご自分が何を重視するか、たとえば病院の設備であるのか、ご自宅から近いことであるのかなど、十分に検討してください。また、妊娠期間は長く、緊急で診てもらう場合もあるということも考えて選びましょう。私が勤めている病院には「夜間や休日になると、通院しているクリニックに電話しても通じないので困っている」という妊婦さんからの相談の電話がよくきます。緊急時は特に余裕がなくなりますので、夜間や休日でも診察を受けられるかどうかを確認することは重要なことです。

また、妊娠中はいろいろと不安や疑問が出てくるものです。ちょっとしたことでも気兼ねなく、安心して相談できる場所であることも大切です。

必要な情報、信頼できる情報

妊娠すると、それに関連する雑誌が目につきますね。その種類の多さにびっくりされることでしょう。どの本や雑誌がいいのか、迷うこともあります。体験談は、イメージするにはよいと思いますが、自分なりに知識を得て、考えるための本もお読みになることをお勧めします。

医療のなかでは、EBM(根拠に基づいた医療)という言葉がよく使われています。感覚や慣例で行うのではなく、その行為は本当に有効なのかどうか、データを集計し、証明しているものです。きちんとした裏付けがあることが分かると、医師や助産師からの助言に対しても、納得できるのか、信用できるのか否かを判断しやすくなると思います。しかし、すべてのことにEBMがあるわけではなく、専門家によっても、施設によっても多少違ってくることも事実です。

総合病院や個人病院など、施設ごとの特徴については、一般の妊娠出産関連の本に載っています。実際に施設を選ぶためには、地域別の情報誌がいろいろとあり、選択条件を決めて、それに近い施設を選びます。また最近では、ホームページを作成している施設も多いので、そこからでも情報は得られます。妊娠、出産、育児に関する知識のために選ぶなら用語について解説している本や、データに基づいて書かれている本がよいでしょう。次回は出産、母乳育児について、お話ししたいと思います。

山本助産師 推薦図書
すべてEBMによって書かれていて、とても読みやすいと思います。
『WHOの59カ条お産ケア実践ガイド』
WHO、戸田律子(著)農山漁村文化協会
『お産選びマニュアル』
河合蘭(著)農山漁村文化協会
『WHO勧告にみる望ましい周産期ケアとその根拠』
マースデン ワーグナー(著)、Marsden Wagner(原著)、井上裕美(翻訳)メディカ出版
フリーダイヤル
9129-27-6591

(2004.11)

ゲスト

powerd by babycome