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山本智美:助産師日記
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【第3回】自分のことだもの。きちんと聞きたい―医療者への質問のコツ―

山本智美:助産師日記

こんにちは。このコラムを担当する助産婦の山本智美です。

ベビカムコミュニティ*1で、妊婦さんから「脈拍が多くなったけど」「おなかが張るのですが」「逆子で不安」などの質問が寄せられています。夜、自宅に帰ってからホームページを開け、助産婦としてお答えできる範囲でメッセージを入れていますが、メッセージを入れながら「やっぱり直接尋ねにくいのかしら」と感じるこの頃です。そこで今回は助産婦として、医者と妊婦さんの間にいていろいろ相談を受けてきた経験から「こうしたらどうかしら」という案を考えてみました。

信頼関係を築くためにはどうしたら

医者や助産婦に心配なこと・不安なことを聞くのは、勇気のいることです。何か忙しそうでつい、「あとでいいや」とか「やっぱりやめよう」と尻込みしたり。思い切って聞いてみると、「えっそんなこと!」と冷たい言葉にかえって落ち込んだりした経験はありませんか?

よく信頼関係を築くように言われるけど、なかなか難しいこともありますよね。たまには医療者の態度に頭にくることもあるかもしれません。医療者の中には、「患者さんとは、対等な関係だ」と言っている人もいますが、妊婦のみなさんにとっては、診てもらっている・何かされては、一大事。そのような感覚ではないでしょうか。だからこそ、私たち医療者は、謙虚にみなさんの声に耳を傾けるべきなのですが、できないことが多いのも事実のようです。 では、どのようにしたら、スムーズに医療者に聞くことができるのでしょうか?

なかなか聞けない人は…

妊婦検診などで聞きたいことも聞けずに、ベルトコンベアーに乗せられたように診察を受け、一方的な説明を聞き、帰ってからこれが聞きたかったのに…という方がいます。

そのような方は、診察の前に聞きたいことを紙に書き、診察の前に「今日このことについて心配なのでお願いします。」と言い紙を渡すのは、どうでしょうか。 また、あらかじめついている助産婦や看護婦に「今日先生に聞きたいことがあるので、お願いします」と伝え、口添えしてもらうように頼む方法もあります。 帰ってから電話で相談されるより、実際の場面の方が、はっきり答えやすいのですよ。

納得するまで聞きたい人は……

究極は、自宅で診てもらい話を聞くことができると一番リラックスできると思いますが。自分が自分らしくリラックスしていることが実感できるような環境を作りたいものです。そういう意味では、「自宅出産」*2はそれを実現するひとつの手段かもしれません。だけど、これは、可能な人とそうでない人がいますからね。 医療行為を施す側と受ける側と立場は違っても、人間同士ですから、波長が合わないこともあるかもしれません。何かのきっかけで、ピッタリすることも。

いずれにしても、何かアクションを起こさないと相手には通じないものですし、確認すれば誤解が解けることもありますよね。

私は、助産婦として産婦さんと、とても素敵な出会いを何回も経験しています。 逆に言えば必ずあなたの周りのどこかに、話を聞いてくれる人はいます。さがしてみましょうよ。素敵な出会いがあることをお祈りしています。

*1ベビカムコミュニティ:ベビカムOnlineの中にあり、会員同士で相談や意見交換ができます。山本さん(ベビカムネーム:MW智美)も参加しており、彼女から直接アドバイスなどをもらえることも…。

*2自宅出産:医者や助産婦に来てもらい、自宅のなれ親しんだ環境でお産をすること。妊娠中前もって、自宅出産を受け入れる医師や助産婦と密なコミュニケーションをし、自己管理をする必要があるが、最近注目されている出産スタイルの1つではある。

  • 「ここが知りたい産科・産院データブック」
  • 講談社刊
  • 1,400円(税込み)

北海道から九州まで、全国の産科・産院200カ所以上にアンケートを依頼しまとめたデータブック。自分の住む街の近くや、里帰り先にどんな病院・産院があるのかを知ることができるほかお産に際するいろいろな選択肢について、コラムや用語解説で情報が得られる。

施設を変える時は、施設によって分娩予約の期限があるものや、妊娠後期は受け入れないものもありますので注意をしてください。それでは、施設を探すためにはどうしたらいいでしょうか?電話帳が手っ取り早いですが、電話帳だけでは情報不足です。最近、出産施設の情報誌が出ています。これは情報としてはありますが、たまに、こんなこと書いてなかったよ!ということも…。いずれにしても電話をしたり、訪問して話を聞いて、施設を決めた方がいいかもしれません。あとは口コミがあります。実際に出産した方から聞くことをおすすめしますが、「よかったよ」「おすすめ」だけではダメです。どのようなところがよくて、すすめたいのか。自分の条件については、どうだったか。ということをきちんと聞くことが大切です。

ベビカムコミュニティを見ていると、引っ越しして周りに知っている人がいない方も多いようです。そういう時は、このようにインターネットの中で相談できるコミュニティを利用したり、保健所の保健婦に相談したり、育児サークルなどの自主グループ(最近は全国的にあります)に相談したりするのもいいと思います。最近は妊婦さんや子育て中の方を対象にしたイベントが多くあります。そこには必ず、みなさんの役に立ちたいと思って来ている助産婦がいるはずです。思い切って声をかけてください。助産婦って、根っから世話好きが多いから、何らかの情報が得ることができます。出産施設は色々あり、それぞれに長所・短所があります。自分の性格・出産に対する思い・妊娠中の経過を加味して、自分に合った施設を選びたいものですね。しかし、これが実際にないのも事実なんですが、自分が選んだところです。自分を信じて医者や助産婦と信頼関係を築くのも、1つの方法かもしれません。

*ベビカムコミュニティ:「ベビカム」 の中にあり、会員同士で相談や意見交換ができます。山本さんも参加しており、彼女から直接アドバイスなどをもらえることも…

助産院で出産を、とお考えの方のガイドブックとして「全国助産院マップ 1997年度版」などもある。この本の発行元の社団法人 日本助産婦会では、あなたの近くの助産院(全国)の紹介などもしてくれます。 (問い合わせ電話 03-3262-9910)

(1998.8)

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