【第27回】出産のお見舞い

山本智美:助産師日記

日に日に寒くなっていますね。インフルエンザも流行ってきています。小さいお子さんや妊婦さんは、うつらないように気をつけてほしいなと思っている今日この頃です。

さて、今回は出産のお見舞いについて、日ごろ思っていることを書きたいと思います。

産後の入院中って?

出産後の入院中というのは、なかなかイメージできず、出産が終わったら、暇で眠れると思っている方も多いですね。実はそうではなく、意外と忙しく、大変なのです。それは、赤ちゃんは24時間関係なく、お母さんのおっぱいをほしがったり、抱っこして!と甘えて泣きます。

施設によっては、お母さんの疲労を考え、授乳を時間で決め、それ以外の間は新生児室で預かるようにしているところもありますが、赤ちゃんとお母さんにとっては、よい環境とは言えません。お母さんの疲労もあまり関係ないという研究データもあります。

現在は、母子同室が主流の考え方です。

母子同室をしていると、時間に関係なく、赤ちゃんがほしがっている時にすぐおっぱいをあげます。意外と赤ちゃんは、よく泣くのです。ずっと泣いている子も多く、お母さんは、抱っこしてあやしたりします。

その他にも、助産師や看護師の子宮や悪露(おろ*1)の観察、退院後の生活についての話しやおっぱいの説明などがあります。

入院中のお母さんは、いろいろやることがあり、そこにお見舞いの人達の面会がくると眠れるタイミングを逃してしまうこともあります。

休みたいけど、帰ってとはいえない複雑なお母さんの気持ち

よく入院中のお母さん達から、面会の人が多くて疲れてしまうということを聞きます。お見舞いの人たちは、赤ちゃんの顔を見たい、お母さんを労いたいと思いお見舞いにいらっしゃると思いますが、度がすぎると迷惑になってしまうこともあります。

「面会人に気を使い、休みたいけど休めないので、ある程度の時間になったら、声をかけてもらっていいですか」と言われることもしばしばあります。

また、小さいお子さん連れで、大勢でお見舞いにくる方がいます。さながら、ママ達の集まり会になっている時もあります。ママ達が話に夢中になり、子ども達は病院内を走り回っているという光景を見かけます。私は見かねて注意をしますが、「何が悪いのよ」みたいな感じで言い返されることもあるのです。(最近、公的な場でのマナーが問われていますが病院でもそうなんです。寂しいことです。)

施設(特に総合病院)は、産科以外で入院している方もいますし、お見舞いの方は配慮していただきたいものです。

また病院は、とても感染しやすい場所です。

できれば、小さなお子さんは連れてこない、風邪や流行性の病気の場合は連れてこないことが望ましいと思います。

私の葛藤

家族にとっては、出産後はとても大切な時間です。特に上にお子さんがいる方は、上のお子さんのためにも赤ちゃんに会ってもらい、赤ちゃんを迎える準備をしてほしいと思っていますので、できれば、お父さんや上のお子さんの面会は自由にさせてあげたいと思っています。しかし、面会の制限が厳しいとその時間は難しいでしょうし、制限がないと誰かが感染してしまうことや、お母さんや赤ちゃんを疲れさせてしまうことにもなりかねません。様々なことを配慮して、施設によって面会の制限は違います。

お見舞いのマナーとして、お母さんや赤ちゃんのことを一番に考えて、入院中にお見舞いに行くべきかどうかを考え、行くとしたら短時間にしたいものです。

また、入院しているお母さんも、休みたい時には、はっきり意思表示をして自分で時間を見つけて休むように心がけてください。

*1:悪露(おろ)
分娩後、5~6週間にわたって子宮および膣から出る分泌物。リンパ液・血液・粘液・細胞組織片などからなる。おりもの。

(2004.2)

ゲスト

powerd by babycome