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山本智美:助産師日記
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【第26回】産後の暮らしを助けてくれる味方を増やそう!

山本智美:助産師日記

私は以前にベビカム会員の方に協力していただいて、「インターネット相談の実態」について、調査したことがありました。

妊娠初期から子育て中を通じてみると、ネットあての相談が一番多い時期は、育児中だったことがわかりました。育児期は、期間が長いこともありますが、妊娠やお産の時は、産院との関わりがありますが、退院するとそこで終わってしまうことも原因のひとつでした。気軽に聞ける相手がいなくなる育児期は、自分のことだけではなく、お子さんのことが中心になり、さらに不安や心配になるのです。

そこで今回は、育児中の力強い味方について、ご紹介します。

産院でのフォローどんなものがある?

お母様方にとって施設のサービスは、妊娠中よりも産後に充実していた方に満足度が高いというデータもあり、産院もいろいろな取り組みをしています。

産院によってもさまざまではありますが、まず一般的なのは、電話相談です。心配なことや困ったことがあった時に、産院に電話をすることができます。また、産院の方から、「いかがですか?」と電話で訪問する施設もあります。最近は、産院のスタッフが自宅に出向き、おっぱいや赤ちゃんの状態をみる家庭訪問を実施している施設も増えてきました(家庭訪問は、有料の場合が多いです)。

他には、産後の集団クラスや母乳外来、産院でお産後のお母様方を対象にしたイベントを開催しているところもあります。

余談ですが、私が勤めている病院では、年に2回コンサート等のイベントをしているのですが、「里帰りした気分でホッとする」という声などが聞かれます。

これから産院を探す方は、産院選びのポイントとなりますし、今通院している方は、ぜひ産院に何ができますかと聞いてみてください。

無料はやっぱりありがたい。公的機関も活用しよう

国や地域でも子育て支援については、力を入れています。

退院してまず、助産師や保健師の家庭訪問が受けられます。お子さんの体重を測ってもらったり母乳指導を受けられます。申し込みによる意思表示が必要なので、出生通知ハガキは、必ず郵送しましょう。

他には、お子さんの健診やお母様自身の検診もありますし、地域によっては育児教室などもあります。基本的に無料ですので、自分の地域ではどのようなことをしているのかを知り、活用してください。そのためには、地域に目を向け関心を持つことが大切です。

また、産院と保健所の間でも、連携をとっている場合が増えています。もちろんお母様ご本人の承諾の上でですが、例えば、病院から保健所に「このような方が家に帰られますので、フォローしてください」といった情報伝達をして、お母様がその地域でひとりで困らないようなシステムつくりを努力していく方向にあるのです。

まわりをみまわして!ちょっとの勇気を出して…

いくら施設や公的機関があっても、やはり仲間にはかないません。気軽に相談できる、安心できる友人を持つことも必要なことです。友人とまでいかなくても、ちょっと「助けて!」と勇気を出して声をかけると、近くには力になってくれる人がいるはずです。

そして助けてもらった人との関係は大事にし、先方にも喜んでもらえる心遣いをしていきたいものですね。

今は、“自己決定”という言葉をよく聞きますが、「なかなか自分だけでは決められない」「考えられない」というお母さんもたくさんいらっしゃいます。自分で決めることをする能力を身につける機会が今までに少ないのも事実です。しかし、「自分で決める」「自分で調べる」「自分で行動してみる」……。そのような態度で関わると確実にお子さんもその能力は磨かれていきます。

「ちょっと自分で考えて、たくさん他人の助けを借りて」それが、育児のコツでしょうか。

(2003.11)

ゲスト

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