赤ちゃんのおもちゃ、たくさん必要?
先日、4人目のお子さんが7カ月になる助産婦の友人の家に遊びに行ってきました。その子は、マクドナルドでもらった木のおもちゃと、洋裁用の木の輪で遊んでいました。その光景を見ながら、友人は「昔は、いろいろなおもちゃを買って与えたよ。だけど、結局は親が一緒に遊んであげないと子どもは遊ばないし、出来上がったものは、子どももあきるんだよね。この子は、この2つがとても気に入っているみたい」と言っていました。
いろいろなおもちゃが売られていますが、この友人の話には、考えさせられました。
創造性を養うためには、手作りのものがいいと言われていますが最近は手作りおもちゃのキットも売っているそうです。それは手作りなの、と頭を抱えてしまいます。手作りというのは、あるものを応用したりして作り上げていくものだと思うのですが…。
ものがあふれる時代になり、私自身も便利なものばかりを求めてしまいます。しかしそればかりだと、応用する力が養われないし、想像する力も生まれないように思うのです。今の時代こそ、「これはぜったい必要なものなのか?」を見極める力が必要でしょう。
そこで今回は、「ぜったい必要なものってなんだろう」ということを考えていきます。
沐浴バスって必要なの?
ある友人の生活スタイルは、割とシンプルなほうです。沐浴バスは、プラスチックの衣装ケースを使っていました。これは、台所のシンクの大きさに合わせてサイズを選べるし、赤ちゃんが大きくなったらオムツや洋服入れに早変わりするのだそう。
「とても便利だなあ」と思い、たまに妊婦さんに勧めると、「実際、子どもの沐浴バスを衣装ケースで代用するのは、かわいそうな気がする。ましてや初めての子は…」という人もいます。初めてだから一応のものはそろえてあげたい、ということもわかりますが、赤ちゃんが大きくなって沐浴バスの置き場に苦労したという話もよく聞きます。さて、どちらがよいのでしょうか。
買いものカゴいっぱいのベビーグッズ
私は、「赤ちゃん本舗」にたまに行きます。自分や家族のものを買うためではなく、助産婦という職業柄か、ベビーグッズなど、どんなものが売られているのかを見に行くのが好きなのです。そこには、たくさんのものが安く売っています。お腹の大きい妊婦さんたちや子どもを連れたお母さんたちがたくさんいらっしゃいます。
以前、妊婦さんが育児用品を買っていて、母乳パックに手をだしたとき、私は思わず「これは必要ないと思いますよ」と言ってしまいました。「あなたは誰?」という妊婦さんに、自分は助産婦であることを告げました。妊婦さんが言うには、育児雑誌に「母乳パックは必要」と書いてあった、とのこと。母乳パックはぜったいに必要ない、ということはありませんが、妊娠中から買わなくてもいいものです。母乳で育てるのならほとんど必要ありません。しいて言うなら、赤ちゃんを残して退院したときや、お母さんだけが外出するときに必要だと思いますが…。そのことを妊婦さんに言ったものの、「母乳で育てたいけど、初乳以外は栄養ないんでしょ。あとのおっぱいは絞ってとっておいたほうがいいって聞いた」とわけのわからないことを言い、あまりピンと来ない様子でした。そして周りを見ると、他の妊婦さんやもうすぐパパとママになるカップルの買いものカゴにも、いろいろなものがたくさん入っていました。「本当に使うのでしょうか? そして使ったあとはどうするのでしょうか?」と考えてしまいます。
初めての育児では、子どもを育てるために役立つ、よい、と言われると、つい買ってしまうでしょう。しかし、ちょっと考えてみてください。さきほどの妊婦さんの場合は、もう少し母乳についての知識があり、よりステキな先輩ママの話を聞いていたら違っていたかもしれません。育児中でも、今回ご紹介した友人のように子どもと向き合いしっかり様子を見ていれば、その子が興味あるおもちゃは何かを見極めることができるのかもしれません。
何か代用できるものはない?
しかしそんな私も、よく料理器具を買って失敗してしまいます。料理が得意ではないので(笑)、鍋や料理器具にすぐ頼ろうとしてしまうのですが、結局、使うものは限られています。使わないことがわかってから、「ああ失敗した」と反省しきり。私自身もものを揃えて満足しているんですね。最近やっとものを買うときに、これは本当に使うものか、必要なものか、何か代用できるものはないかと考えるようになりました。
妊娠した、育児だからと特別に考える必要はありません。妊娠・出産・育児は、その人の生活の中にあるのです。「ぜったい必要なものは何か?」は、自分の生活そのものを振り返って考えてみることで見極められるようになるのではないでしょうか?
(2001.10)