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山本智美:助産師日記
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【第13回】マタニティ・リフレッシュツアーに参加して

山本智美:助産師日記

毎日、真夏の暑い天気が続いていますね。こんな時には、どこかに出かけたくなりませんか?

7月1、2日に、静岡県の伊豆でマタニティリフレッシュツアーというユニークなイベントがあり、私もこのイベントに参加してきました。そのレポートがてら、イベントを通して感じたことをお伝えしたいと思います。

マタニティ・リフレッシュツアーって?

静岡県の伊豆天城湯が島に“踊り子”という名前のペンションがあります。このペンションのオーナーが、妊婦さんとパートナーが安心してゆったりとした時間を過ごせるためにと、今回のマタニティ・リフレッシュツアーを企画したのです。

実は、そのペンションのオーナーは、元・新生児室の看護婦。私の友人でもあり、この企画を聞いた私は「何か楽しそうだな」と、喜んで参加を決めました。

ツアー当日は、ドキドキワクワク

当日は、「妊婦さんたちとどんな話をしようかな」「ツアーに参加する妊婦さんたちはどんな方たちなんだろう」と思いをめぐらせたり、「ペンションで急にお腹が張ったり、出血したらどうしよう」と心配になったり(オーナーは近くの産院などを確認しており、いざというときの対応は考えていました)、緊張しながら電車に乗り、ドキドキワクワクしながらペンションに到着しました。

ツアーに参加された人たちは、妊娠8カ月の初産婦さんのカップルと、小さな男の子と一緒に参加した妊娠6カ月の経産婦さん。ペンションに到着すると、おいしいおやつが用意されていました。出てきたのは、妊婦さん向けにカロリーを抑えたタルトやケーキなど。初産婦さんは、「ケーキは大好きだけど、太るのでいつも我慢していました。こんなに気を使わないで食べられるなんて、うれしい!」と、おいしそうにほおばっていましたよ。

「ペンションに泊まりに来たら、たまたまそこに他の妊婦さんと助産婦がいた」。このツアーは、まさにそんな感じで、かしこまった雰囲気はぜんぜんありませんでした。参加者同士のおしゃべりが始まると、雑談のなかから徐々に心配なことや不安に思っていることなどの話が自然に出てきました。初産婦さんのご主人は男の子がほしいらしく、もっぱら来ていた男の子の遊び相手をしながら、「男の子は、よく動いて大変ですけど、かわいいですね」と実感していたようでした。

夕食は、妊婦さん向けの特別メニュー

お待ちかねの夕食は、カロリーや栄養素を考えて作った妊婦さんのための特別メニューです。おいしいものに舌つづみをうっている間、オーナーから塩分の使い方やレバー料理の工夫について解説があったりして、楽しくてためになる食事となりました。

食事の後には、離乳食のレトルトと手作りの食べ比べをしてみました。私を含めた3組ともレトルトと手作りの区別がわかりました。手作りのものはちゃんと自然の味がするのです。この時には、どうしたら手を抜いた手作り離乳食ができるのかに話がはずみました。

夕食後は、ロビーに集まって「いま通っている病院では、なかなか具体的に質問できない」「いろいろな人から、アドバイスされるけど、人によって言うことが違ってとまどう」などといった話題になりました。

私自身は、助産婦としてこのツアーに参加したものの、特に何かしたわけでもなく、私の知っていることを話していただけなのですが、妊婦さんお二人とも、お腹の赤ちゃんの位置がわからないとおっしゃるので、おなかの上から、おしりや頭・足などを触ってもらったりしました。

2組の方に、今回のツアーの参加理由をたずねてみたところ、「どうせどこかに行くのなら、妊婦友だちもできるし、助産婦や看護婦がいるという安心感があって参加してみようと思った」とのこと。経産婦さんは、「同じテーブルで肩を並べて助産婦と話ができて、とても身近に感じられてよかった」と言ってくれました。「もっと、人が集まると思っていた」と、このマタニティ・リフレッシュツアーがとても期待された企画だったことがわかりました。

翌日、朝食をとった後、現地で自由解散となりました。

ツアーに参加してみて

はたして、このツアーで私は何をしてきたのかなと思うくらい、自分自身も楽しんできたのですが、自然な形で話ができたことがよかったかなと思いました。

このツアーに参加し、自然な雰囲気でおしゃべりしてみて思ったことがあります。それは、自然体で接する関係の心地よさ。最近、お母さんサークルがたくさんできていますよね。サークル自体は、とてもよいことだと思いますが、そのサークルを維持しようとして、かなりのエネルギーを使い果てている人もいます。肩に力を入れず、自然な形でいられたら、疲れ果てることもないかもしれません。妊婦さんと助産婦の関係も、そうでありたいなと思ったのです。

先日、ツアーに参加した初産婦の方からお手紙をいただきました。「あのような機会があると、知識も増やせるし、リフレッシュできます。“ペンション踊り子”のような場が増えるといいなと感じました」と書いてありました。

今回のツアーに参加された2組の方は、偶然にも同じ静岡からいらしていました。そう遠くない場所であっても、いつもと違う環境で過ごすとリフレッシュできてよいのかもしれません。

ただし、妊娠中に遠出するときは、あくまでも自己責任であることを念頭においてください。保険証と母子健康手帳は必ず持っていたほうがいいので、お忘れなく。

(2000.8)

ゲスト

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