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妊婦さんに性教育?

山本智美:助産師日記

毎年、高校生の性教育を行っているのですが、実際高校生では遅すぎると思っていました。実は、子どもより親の問題なのではと思っていたので、ベビカム主催で「妊婦さんのための子どもの性教育」というセミナーを企画してみました。
「えっ、どうして妊婦に・・・?」と思われるかもしれません。しかし、妊娠中のほうがゆっくり考えることができますし、また生まれてすぐ実践できます。その時期にこそ考えてほしいと思いました。それでは、そのセミナーの内容を少し紹介したいと思います。

子どもから始めたい性教育

セミナーの講師は、カナダ出身のメグ・ヒックリングさんです。性教育の大切さを世界中に広めている看護師です。なぜ子どものうちから性教育が大切なのかというと、子ども自身が、正しい知識をもつことによって、自分の身を守ることができる、というのです。
子どもの虐待は日本でもクローズアップされますが、性的虐待や性被害についてはあまり知られていません。西欧諸国では、成人の3人に1人は、子どものころになんらかの性的虐待を受けていることがわかっているといいます。ここでいう性的虐待とは、露出狂に遭ったりポルノを目にしたりということから、強姦されるということまで、さまざまな虐待を意味します。
性的虐待の加害者の調査では、子どもが激しく抵抗したり、立ち向かってきたり、大声で助けを求めたりしていたら、自分は逃げていたということでした。また、どのような子どもを狙うかというと、性の知識がなく、抵抗しない子だというのです。子どもが嫌がって泣いたとしても、「いやだ」と言わなければ、加害者は沈黙を同意ととる傾向があります。

正しい性の知識を子どもに伝えて

子どもを性的虐待や性被害から守るためには、子どもに正しい知識と「いやだ」と言うことを教える必要があるのです。
では、正しい知識とは、どういうことでしょうか。子どもに、からだにはプライベートな部分が3つあることを教えます。1つ目は、口。キスされたくない人から、むりやりキスされそうになったら、「いや!」と言っていいことを教えます。2つ目は、胸です。男の子にも女の子にも、胸は大切なところ。おっぱいをつねったりしてもいけないことも教えましょう。3つ目は、性器。性器の呼び名は、科学的な名前を教えることが大切なのです。お母さんが恥ずかしがって性器を「それ」「あれ」などと呼んでいると子どもも恥ずかしいのだと思ってしまいます。練習として、オムツ替えの時にでも、科学的な名前で言ってみることが大切です。
小さい時から、家族の会話のなかで自然に性について話されていると、子どもは言ってもいいんだというメッセージがもらえます。そうすることで、子どもは心配事を親に話すことができる、というような内容でした。
実際病院で、上のお子さんから、「赤ちゃんは、どこから産まれるの」と聞かれたらどう答えればいいのかという質問を受けます。
そんなとき、私たちが正しい知識をもって性に向きあうことができると、率直に子どもに伝えることができます。
妊娠して、自分のからだに向き合い、からだのメカニズムを実感したり、命について考えたりする時期に、生まれてくる子どもを想像して、性についても考えてほしい。命や性について、語れる親になってほしいものです。

ゲスト

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