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加部一彦:子どもの生まれる現場から
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「母子同室」それとも「母子別室」?

加部一彦:子どもの生まれる現場から

こんにちは。大雨が続いたり台風が来たりと散々な夏でしたが、調子はいかがでしょうか。

さて、先月は赤ちゃんが生まれた直後のお話をしましたが、今月はもう少し、そのお話を続けたいと思います。 出生後、赤ちゃんはお母さんからちょっと離れて、体重や身長などの計測や、呼吸・心拍の確認などのチェックを受けます。その後、新生児室のベッド(赤ちゃん用のベッドのことを「コット」と言います)に移されて、やっと一息つける…というのが一般的な流れですね。赤ちゃんは生まれてから少なくとも24時間の間、新生児室のコットの中で看護婦さんたちに定期的に呼吸の様子や心臓の様子などをチェックしてもらいながら過ごします。この間には、小児科(新生児科)の医師も診察に訪れます。

授乳は出生後6時間目くらいから開始されることが多いですが、これはお母さんや赤ちゃんの状態によって多少前後するかもしれません。「産後6時間目にはもうおっぱいなの…」と驚かれる方もいるかもしれませんが、赤ちゃんは待ってくれません。大きな泣き声をあげて、お母さんがおっぱいをふくませてくれるのを待っていることでしょう。そうそう、「母乳」については、最近環境ホルモンなどの関係もあって、色々と話題になっていますよね。このことに関しては、最近の話題も含めて、いずれ回を改めてお話ししたいと思います。

赤ちゃんが入院の間、どこで過ごすのかはその病院のシステムによって異なりますが、現在、おおまかに言うと「母子同室」と「母子別室」の2つの方式があります。前者は、出生後の決められた経過観察期間を過ごしたあと、赤ちゃんとお母さんが入院中ずっと同じ部屋で過ごす方式(赤ちゃんのコットがお母さんのベッドサイドに置かれます)、後者は赤ちゃんは「新生児室」にいて、授乳などのたびにお母さんが新生児室まで出かけてゆく、という方式です。従来、日本の産院では「母子別室」方式のところが多かったのですが、最近では徐々に「母子同室」方式のところが増えてきているようです。

「母子同室」と「母子別室」。両者にはそれぞれメリット・デメリットがあります。例えば「同室」の場合、赤ちゃんはいつもお母さんのそばにいるので、お父さんや家族が赤ちゃんに面会するにも、面会時間が限られている新生児室とは異なり時間的な制約もグッと少ない点は大切なメリットと言えるでしょう。一方、「別室」の場合には授乳はともかく、おむつ交換などの日常的なお世話の大部分は新生児室のスタッフが行いますので、産後まもないお母さんはその分、お部屋でゆっくりと休むことができますが、「同室」では、産後まもなくから赤ちゃんが泣き出すたびにすべてのお世話を自分でしなくてはなりません。赤ちゃんのお世話なんて全く初めての人にとってみれば、自分のからだの回復も十分でないうちに、赤ちゃんのこまごまとしたお世話をしなくてはならないなんて、とても大変なことかもしれないですね。でも、産院の入院期間は通常1週間前後ですから、いずれ退院後にはすべて自分でやらなくてはならないのだと考えれば、「同室」といえども、何か困ったことがあれば病院のスタッフが手伝ってくれたり、アドバイスしてくれる入院中に赤ちゃんの扱い方に慣れておくのもいいかもしれません。病院によっては、「同室」と「別室」を上手に組み合わせて入院期間を過ごすことができるようになっている(例えば最初の3日間は「別室」で過ごして、退院までの残りの期間を「同室」に…など)ところもあるようですので、ぜひ一度確認してみてください。

さて、赤ちゃんが生まれてホッとする間もなく、おむつ交換に授乳にと大忙しのお母さん。これからしばらくの間は、赤ちゃんは「泣くこと」が仕事です。自分のからだの回復もまだ十分でないのに赤ちゃんには泣かれる一方だと、ホント、悲しくなってしまうこともあるでしょう。でもね、そんな時こそ、音楽を聴いたりしてリラックスしてください。それに、お父さん! あなたもただ見ているだけではなくて、家の中にゆったりとした空気が流れるように、気をつけてあげてくださいね。 と、いうところで、今月はオシマイです。来月は、赤ちゃん自身のこと、体重減少や黄疸についてお話ししましょう。みなさんのご意見をお待ちしています。

(1998.10)

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