妊婦といえども、年末年始は何かと忙しいですね。年に一度のこの時にやっておくべきことは何かしら? 今回は、ヤンババ風お正月の過ごし方のすすめを披露します。なんと言っても<お正月は食べ物に要注意! おせち太りにならないようにしてくださいね。
おせちよりも我が家なりの正月料理を
今回は、お正月にちなんだ話題です。お正月と言っても、なんだか最近は単なる長い休み、って感じね。この間、マタニティスイミングの生徒さんに、「お雑煮を自分で作っている人」と聞いたら、作っているのは全体の4分の1くらいね。あとはみんな実家で食べているとか。おせち料理を作って、元旦には家族揃ってお雑煮を食べる、という昔ながらのお正月を迎えている人はベビカムの読者の方でも少ないんじゃないかしら。でも、ライフスタイルが変わってきているからそれは仕方のないことね。今は昔のようにお正月に一斉にお店が休みになることもないし、冷蔵庫もある。おなかに赤ちゃんのいる人がこの時期にばたばたしない方がいいと思いますよ。でも、どうしてもおせちがなくっちゃ、というのなら、できあいのを買うのではなくて、何かひとつだけでも、得意なごちそうメニューのレパートリーを持っておくといいわね。できあいの煮豆や田作りは、意外にカロリーが高いんです。妊婦さんにはちょっとおすすめできないわね(下図参照)。

私がおせち作りをすすめないのは訳があります。4人目の子どもを元旦に流産してしまったからです。年の瀬に無理をして冷えたのがいけなかったようで、以来その子に申し訳ないので、おせちは作りません。ただ、こだわりは、材料だけはいいものを使って、手作りということかしら。離乳食を食べている孫がいる時に、重宝したのがポ・ト・フ。フランスではポ・ト・フがその家の味を代表すると言われるもので、日本の味噌汁にあたるでしょうか。牛のすね肉をたっぷりの水で煮こんで、そこに丸のままのにんじん・玉ねぎ・セロリ・月桂樹などを加えて3時間以上コトコト煮詰めます(その間、ただ放っておくわけではなく、アクをすくったり、鍋の内側についたアクを拭き取ったり、これをマメにやればりっぱな「料理」と言えます)。
保存食に作っておくと便利なのは、11月号でも紹介したキャベツとにんじんのコールスロー。ちょっとつまんだり、パンにはさんでサンドイッチにしたりと、重宝します。巻寿司も我が家のお正月料理の定番ね。具は穴子と玉子・かんぴょう・にんじん・ほうれん草・小松菜・干ししいたけ。穴子は暮れも押し迫らないうちに頭つきの開いた身を買って、まず何もつけないで白焼きにします。焼いた頭の部分をダシにしてうなぎのタレのように甘辛のタレを作り、それに身の方を漬けて、タレごと一旦冷凍しておきます。使う時にさっとあぶって具にします。近所に住む関西出身の友人の、薄口しょう油を使った美しいお煮しめと、私の太巻きを交換するようになってからもう10年以上にもなります。よそのおうちの料理はおいしいし、みんなそれぞれ作り方が違うから発見があるわよね。
新しい気持ちで新しいスタートを
子どもの頃、元日の朝目を覚ますと、枕元に肌着や靴下なんかの新しいのが、きちんと揃えて置いてあってうれしかったものです。みなさん赤ちゃんのためには新しいものを用意していても、自分に何か新しいものを買っておく心の余裕もないお母さんが多いのじゃないかしら。でも、何かひとつ、小さいハンカチでもいいんです、自分のためにプレゼントしたらどうかしら。とっても落ちこんでいる時でも、新しいものって気持ちがよくて元気が出てくるじゃありませんか。
夫とのつき合い方も見直して
お正月には、気持ちも新しくなるもの。ご主人とも新しい気持ちで1年をスタートできればいいわね。ここで妊婦にひとつ提案。今年からは、疲れて帰ってくる夫に、くだらない愚痴や、言っても何も好転しないようなことを言わないこと。夜、疲れている時に金銭の話はしない、と決めて実行すれば夫婦喧嘩も少なくなるでしょ。どうしても気がすまないなら、愚痴を言い合える友だちをつくりなさい。
それから、子どもが生まれたら、手がかかって寝る間もないほど忙しいけど、あえて夫が一番大事、ということをアピールするの。芝居でもいいのよ。だって、男は赤ちゃんの誕生で、戸惑ったり、なんとなく疎外感を感じたりしているんだから。「忙しいのに手伝ってくれない」と嘆くより少しくらい甘えさせてあげなさい。それから少しずつおだてて赤ちゃんの世話なんかを手伝ってもらうことね。夫をたてるようにすれば、自分から「しっかりやらなくちゃ」という気になってくれますよ。くれぐれも、焦らないこと。誰だって、最初から父親じゃないんだから。じんわりと、父親になっていってもらうことですね。それから、あなたもゆっくりと、本当の母親になってくださいね。
直子先生のあまりにも簡単な、妊婦にやさしい調理レシピ

スダチの香りが食欲をそそる洋風なます
材料/大根 200g・にんじん 50g・ベーコン 30g・スダチ3から4個(なければレモン汁1/2個分)・塩 小さじ軽く1杯
作り方
- 1.大根とにんじんは千切りにしてボールに入れ、塩を振って水気が出るまで置く。
- 2.1の水気をぎゅっとしぼった中に、2を入れ、スダチのしぼり汁をかけて混ぜる。
- 3.1の水気をぎゅっとしぼった中に、2を入れ、スダチのしぼり汁をかけて混ぜる。
- 4.仕上げに、スダチの皮をおろし金でおろしたものを振りかけると香りよく、彩りも美しい。
大根、にんじんは、5cm位の長さに切ってから繊維に沿って薄切り。それを千切りにすると長さが揃う
仕上げにすだちの皮をおろしてでき上がり
(1998.12)