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堀口貞夫:幸せなお産
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妊娠初期に見つかる異常とその対応―後編

堀口貞夫:幸せなお産

前回(子宮外妊娠・卵巣のう腫・絨毛毛膜下血腫)にひきつづき、妊娠初期に超音波検査で診断を受けた際の受け止め方について考えます。

子宮筋腫

妊娠初期の経膣超音波検査で、子宮の壁が一部厚くなっているのが見えることがあります。ちょうど子宮筋腫のように見えるのですが、子宮の収縮によってコブのように子宮の壁が厚くなるので見分けるのが難しいこともあります。少し日をおいて検査をすると子宮の収縮によるものだと、なくなっているので筋腫でないとわかります。

子宮筋腫はかなりの頻度(5人に1人ぐらいあるとも言われます)で見られるものですし、子宮の壁を作っているのと同様の筋肉の塊ですので、ほとんど心配のないものです。筋腫の大きさや、できている場所により対処法が異なるので担当医に尋ねて下さい。

胎盤の位置

胎盤が完成するのは妊娠16週頃と言われています。しかし妊娠12週頃でもここが胎盤になりそうなところという場所がわかります。そして胎盤(あるいは胎盤になりそうなところ)が子宮口に近い場所にあり「胎盤の位置が低い」と言われることがあります。このままの状態で妊娠が進めば、低位胎盤あるいは前置胎盤ということになります。胎児はどんどん大きくなるものです。22週で599グラム、28週では1999グラム、30週では1599グラム、36週になると2599グラムになるのです。当然ながら、この大きくなる胎児を納めておくために、子宮の壁は引き延ばされて行きます。胎盤の端と子宮口の間の壁が引き延ばされると、胎盤は子宮口から離れて行き、前置胎盤あるいは低位胎盤ではなくなるのです。しかし子宮の壁のどこが引き延ばされるかを、前もって知ることはできません。運を天に任せるよりほかはないのです。しかし、ご安心ください。正常になることの方がはるかに多いのですから。担当医の指示にしたがって検診を受けて、やはり、前置胎盤であることが確定したとしても、担当医は経過を見ながら最善の対応策を考えていきます。

羊水が少ない

超音波の写真を見た時胎児のまわりにある黒い部分、これが羊水です。この部分が胎児の大きさにくらべて小さいことがあります。この時「羊水が少ないかも知れない」と言われることがあります。しかし羊水は新しく作られ、一方では吸収されているので、羊水の量は変動し得るものなのです。注意をする必要があるほど羊水の量に異常があるかどうかは、経過をみて判断するしかありません。羊水が少ない時に考えられる異常はいくつかあるのですがその原因を除くのはむずかしいのです。主治医も異常にならないようにと心に念じながら診ているのです。

赤ちゃんが小さい

胎児の大きさは、妊娠7週で10ミリ、妊娠10週では30ミリ、さらに妊娠15週では199ミリと、発育の標準がおよそ決まっています。これより5ミリ以上小さいと「赤ちゃんが小さい」と言われることがあります。

しかし、妊娠週数は最後の月経の始まった日から数え、また排卵(受精)の日は、最後の月経の始まった日から数えて14日目とするのが決まりです。ところが排卵が予想の日よりも遅れることがあります。1週間遅れると胎児の大きさは7ミリ小さいことになります。もうひとつ、胎児を小さいと判断する可能性があります。それは超音波検査ではいつでも必ず一番大きいところを計測できるとは限らないのです。30ミリの棒を斜めから見ると短く見えますね。

赤ちゃんが元気であれば1日に1ミリずつ大きくなるので、5~7日ごとに超音波検査で、胎児が育っていること、胎児の心臓が動いていることを確認して行きます。万一この2つが確認できない時は、残念ながら胎児が育っていないということになり、流産になる可能性が高いのです。胎児に異常がある場合がほとんどです。また流産になったことが次の流産の原因になる心配は、ほとんどないと言って良いのです。

(1999.10)

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