骨盤が狭いために帝王切開の人もいるし、運よく自然分娩が可能な人もいる と聞きました。私の場合は、骨盤が狭く(10センチ位)余裕がないことのほか に、仙骨が真っ直ぐで、通常の分娩では赤ちゃんが回旋異常を起こすかもしれ ないと指摘されています。「安全のために予定帝王切開」を勧める場合もある と思いますが、「安全のため」という選択肢は、具体的にどういうことを指すのでしょうか。骨盤の大きさ・形がよくないという理由による胎児の障害や死亡率が、一般的に高いからでしょうか。
帝王切開を行なう理由(専門家は「適応」と言います)はどの時期に判断するかによって、およそ次のように考えています。
1)絶対に経腟分娩が出来ない場合。
胎児が生まれてくる通り道(産道)が塞がれている場合です。この場合には、予め診断出来るので手術の予定を決めておく事が出来ます。しかし診断できる時期が病気によって異なるので、出来ればお腹を切りたくないと考えると、妊娠36週を過ぎないと決定出来ないこともあるのです。
胎盤が子宮口を完全に塞いでしまっている(全前置胎盤)
妊娠20~24週ごろに診断できます。
子宮筋腫や卵巣腫瘍が胎児の生まれてくる道(産道)を塞いでいる
子宮下節が妊娠36週前後から伸展する為に子宮筋腫の存在する場所によっては、胎児の頭より上に上がってしまい、分娩進行の邪魔にならない場合もあります。
胎児(特に頭)が大きくて産道を通れない(児頭骨盤不均衡)
胎児の頭の大きさは妊娠34週から40週にかけて15 mm位大きくなるので、判断できるのは妊娠36週を過ぎてからになるでしょう。妊娠37週を過ぎると胎児の頭の大きさは85~100 mmです。
2)経腟分娩の可能性はあるが、子どもへの危険が大きい。
次にあげる状態では、2~6回に1回以下ぐらいではありますが、赤ちゃん、あるいはお母さんの生命が危険にさらされ緊急手術が必要になったり、仮死状態で生まれたり、または障害を遺すなどの可能性があるためにより安全を考えて帝王切開が選択される場合があります。
前回の分娩が帝王切開だった(前回帝王切開)
子宮壁の前回の手術の傷の破裂
実際に破裂する可能性はそれほど高くはないのですが、それを予測するのが難しい事、起こった時は児の死亡率が高く、母親が危険なこともあるのです
多胎(双胎、品胎など)
胎位の異常(骨盤位、横位)
このふたつの場合には、新生児仮死になる可能性が高く、例えば双胎の第二子の新生児仮死率は18%、骨盤位分娩のそれは30%(頭位分娩では4%)なのです。
(2005.08)