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堀口貞夫:幸せなお産
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『胎盤とへその緒の役割とは?』赤ちゃんとママをつなぐ唯一の命綱。その役割、機能って?

堀口貞夫:幸せなお産

水栽培のヒヤシンスの球根をご存知でしょうか。

球根から出たヒヤシンスの花が胎児であると考えて下さい。根っこに当たる部分が胎盤の絨毛です。この根の中を胎児の血液が流れているのです。根っこを浸している水がお母さんの血液です。ヒヤシンスの根っこが水から水分や栄養を吸い上げるように、胎児は絨毛を通して、お母さんの血液から酸素・栄養・水分を吸収し、炭酸ガス・老廃物をお母さんの血液に排出しているのです。ヒヤシンスの花を支えている茎が臍帯(へその緒)です。

ヒヤシンスの球根と根っこ、それを浸している水、それを入れているコップが胎盤ということになります。ヒヤシンスと胎児の違いは、芽が伸びて葉と蕾となり、きれいな花を咲かせる為の栄養分の大部分を球根にためている事です。ヒトの場合は酸素と栄養を含んだ血液が次々と供給されなければなりません。この血液を供給しているのが子宮の筋肉の間を通っている血管です。正確に言うとお母さんの血液は、子宮動脈→らせん動脈→絨毛間腔→子宮静脈と流れているのです。「絨毛間腔」というのが、水栽培の水の入ったコップの部分です。毎分400~500 mlの速さで新しい血液が絨毛間腔に流れ込み、そして流れ出しているのです。

これが一個の細胞(受精卵)が40週の間に3 kgの赤ちゃんに育てるための栄養分を補給する源となっているのです。根っこの働きが悪かったり衰えてきたり(予定日を越えたとき)、血液の流れが少なくなったり(妊娠高血圧症候群=妊娠中毒症)すると胎児の発育が悪くなったり酸素が不足ぎみになったりします。陣痛が強すぎるとき、お母さんが不安や緊張でからだを固くしているときも血液の流れが少なくなります。その間一時的に酸素不足になる可能性があるのです。

お産のときに陣痛室で助産師や産科の医者が、「からだの力を抜いて」とか「肩を楽にして」とか「今からいきまないように」とか「ゆっくり息を吐きましょう」というのはこのためです。

でも、普通は胎盤の大きさが三分の二ぐらいになっても、必要な酸素を供給できるくらいの余裕があると言われています。医学の発達していなかった時代でも、91%は無事に生まれて来られたのは、この十分な余力があったからですね。

胎盤の中にはお母さんの血液が、毎分499~599mlの勢いで流れ込んでいると言いました。赤ちゃんが生まれて胎盤が出た後、この血液の流れを止めなければなりません。この役割を果たすのが強力な子宮の収縮(後陣痛=あとばら)です。これがらせん動脈を強く圧迫して取りあえず血液の流れをとめるのです。それに続いて血液が「かさぶた」のように固まることで、完全に出血しないようにしているのです。

(2005.05)

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