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2016-02-26T00:00:00+0900 2016.02.26

Q.妊娠9ヶ月。お尻から足にかけて強い痛み。自然分娩できる?

妊娠9ヶ月です。8ヶ月ぐらいから、お尻から足にかけてあたりが痛くなり、最近では座ることすら辛くなっています。整形外科に行きましたが、妊婦なので積極的にいまできることはないと言われました。

このような痛みでは自然分娩もできないかもしれないと不安になります。やはり、このような場合は、帝王切開を希望したほうがいいのでしょうか。

(35歳女性 妊娠9か月)

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「お尻から足にかけて」の痛みとのことですが、左右両方でしょうか。お尻の一番大きい筋肉(大臀筋)の下辺りから大腿後面の中央に沿った痛みでしょうか。





第4腰椎から第3仙椎までの脊髄から出た神経は骨盤の内側で集まって坐骨神経となり梨状筋や上下双子筋、内閉鎖筋大腿方形筋、大内転筋、大殿筋の間を縫うように下降します。妊娠の経過とともに胎児は発育し、子宮は大きくなっていきます。骨盤の中(小骨盤腔)で大きくなる子宮と骨盤の内壁との間、上に書いた筋肉の間で坐骨神経は圧迫される可能性があります。



このような坐骨神経の機械的圧迫が坐骨神経痛の症状が出ることがあると言われます。これらの筋肉が拘縮しないように、仰臥位で股関節の外転、内旋、外旋、屈曲、伸展をゆっくりと呼吸に合わせて痛くない範囲で5~6回づつ繰り返す動きを毎日続けると、筋肉が柔らかくなり血流も良くなるので有効です。



妊娠中にこのような痛みがあっても陣痛による血流の変化が起こりますから、経膣分娩ができないということはありません。帝王切開は、産道を胎児が通れないとか、陣痛のストレスが胎児に影響するとか、短い時間で分娩を終了させる必要があるなどの理由があった場合に選ばれる分娩法なのです。



【解説】

質問の具合からすると「座骨神経痛」という症状だと思います。ここに書いたように、妊娠という生理的な変化で時々見られる症状です。「椎間板ヘルニアとか脊椎管狭窄などが原因」と書かれていることが多いのですが、妊娠中に起こるのは上に書いたことが症状出現の原因と考えられます。







下にあげたホームページの1)は整形外科の中で調べる時の一般的なもの。2)は妊娠中のものに対する対処法を理解しやすいものです。

1) ※腰痛ナビ「坐骨神経痛の症状、原因、治療法について」



2) ※腰痛トレーニング研究所「動画 坐骨神経痛のストレッチ(体操・運動療法)」



これらの筋肉が拘縮しないように、仰臥位で股関節の外転、内旋、外旋、屈曲、伸展をゆっくりと呼吸に合わせて痛くない範囲で5~6回ずつ繰り返す動きを毎日続けると、筋肉が柔らかくなり血流も良くなるので有効です。実際にはどうすれば良いのかが問題ですね。次のような体操をすることをおすすめします。







仰臥位にリラックスして寝る。

(1)



a

右足の小指側が床につくように倒す。(一呼吸)

元に戻しつま先が天井に向くようにする。(一呼吸)

右足の親指側が床につくように倒す。(一呼吸)

元に戻しつま先が天井に向くようにする。(一呼吸)

これを3~5回ゆっくり繰り返す。





b

左脚でも同じように行う。





(2)



a

右足の小指側が床につくように倒す。膝を曲げかかとをお尻に近づける。膝を立てる足を移動して、楽に膝を立てていられる場所を探す。

b

立てた右足の裏で、床をおす。(一呼吸)

緊張をとって床を押すとその「床反力」が右の下腿・膝・上腿・腰へと伝わり右腰が少し浮きます。床を押す力を抜いて、a)の位置に戻る。(一呼吸)

これを3~5回繰り返す。

右足を滑らせて、立てた膝を伸ばす。(一呼吸)

c

左脚でもa)ーb)を繰り返す。





(3)



(2)のa,cの方法で両膝を立てる。



(2)のbの方法で右腰を浮かす。

そのまま両膝を揃えて倒し、左膝を床に近づける。(一呼吸)

床を押す力を抜き両膝を立てる。(一呼吸)

これを3~5回繰り返す。



(4)

(3)を反対側でも同じように行う(左足で床を押し、左腰を浮かし、両膝を揃えて右に倒す)。



以上が、股関節の外旋、内旋運動と軽い伸展屈曲です。外転運動は入っていませんが先ずはこれだけで良いと思います。寝ていて膝を立てる時は、かならず(2)のaの手順でやる習慣をつけると良いと思います。

2016-02-26T00:00:00+0900
  • ▼ 堀口 貞夫先生のプロフィール

    • 元愛育病院院長、元東京大学医学部講師。妊婦が安心して、自分が納得のいくお産をするために、のべ4万人という妊・産婦をあたたかく見守ってきた。「妊婦のことを親身になって考えてくれる」と評判が高い。JR四ツ谷駅前の「主婦会館クリニック からだと心の診療室」(主婦会館プラザエフ4F)元院長でもあり、女性のからだと心を両面からサポートしていた。著書に『あなただから だいじょうぶ』(赤ちゃんとママ社)、『改訂版 夫婦で読むセックスの本』(電子出版)など。

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