一口に「風邪」と言いますが、原因や症状など非常に曖昧な言い方です。「風邪」と言われている状態は、医学的には「かぜ症候群」と言う病名がつけられる状態で、ウイルス感染によって引き起こされる咳や鼻水などの症状を中心とした疾患と考えられます。 一方、抗生物質は細菌に対する作用を有する薬物ですので、ウイルスには効果がありません。その意味では「風邪に抗生物質は必要ない」と言うのは正しい認識です。ただし、「かぜを引いている状態」では、身体の抵抗力が低下しており、この様な状況ではウイルス感染に加えて細菌による感染症も合併する恐れがあると考えられ、それに対して抗生物質が用いられてきました。しかし、現在では一般の「風邪症状」に対して抗生物質は不必要であるばかりか、かえって薬剤に抵抗力をもつ耐性菌を作ってしまいかねないことから、抗生物質の使用は必要最小限にとどめるべきであるとする考え方が主流になっています。 解熱剤に関しても、そもそも小児期に使用できる解熱剤は限られていますし(日本では子どもの解熱剤としては基本的に「アセトアミノフェン」と言う薬しか処方できません)、ご質問のような生後半年未満の赤ちゃんに対しては、熱が出ている原因を慎重に見定める必要があることからも、安易に解熱剤を使用することは考えものでしょう。薬の使い方など、治療に関しては医師によって見解が異なることもあり得ます。薬を処方された際には、ぜひお母さんが納得するまで医師と話しあうことをおすすめします。治療の内容に関して質問や意見を述べると医師に「怒られる」と言った話をよく耳にしますが、そのような医師の態度は専門家の取るべき態度としては多いに疑問であると言わざるをえません。どうしても納得できる答えがえられないようであれば、別の医師に相談することも考える必要があるでしょう。
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▼ 加部 一彦先生のプロフィール
埼玉医大総合医療センター新生児科教授、小児科医。新生児集中治療室(NICU)で、主に早産のために小さく生まれたり、生まれてすぐに何らかの病気をかかえ、入院となった赤ちゃんのお世話を生業としている他、医療安全や病院建築など幅広い領域に関心を持って活動中。すでに社会人となった3人の息子達とはSNSで情報交換したり、時には飲みに行ったりと、「オトナの付き合い」ができる様になった事を喜んでいる。著書に『新生児医療は、いま』(岩波書店)、『障害を持つ子を産むということ』(中央法規出版)など。
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