
Q.帝王切開後、手術の傷がお腹の傷と癒着していないか不安です。
緊急帝王切開手術を受け、8日間の入院後、退院したばかりです。
ある育児サイトを見ていたところ、「手術で切開した傷口が治る際、お腹の傷と癒着してしまうと大変なことになります。そのため、癒着を防ぐために、翌日からガンガン動くことを推奨され、歩かされるママたちが多いのです。痛くてもどんどん動いた方が術後の経過がよくなるのです。」と書いてありました。
私の場合入院中は、病院側からそれほど歩くように言われなかったので、トイレに行くことと母乳を上げること以外は、横になってのんびり過ごしており、急に不安になりました。
退院前の診察では、特に何も言われなかったのですが、この場合はもう癒着はしていないと考え、安心して大丈夫なのでしょうか。
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このご相談を拝見しただけの印象ですが、ご覧になった育児サイトの情報は、事実を前提にしていないように思います。私はそのサイトを見たわけではありませんから、このサイトの情報が全てそうだということではないことをお断りします。が、私がそう思ったのは、次の3つの理由からです。
1)「癒着してしまうと大変なことになります」:これだけでは単なる脅しです。大変なことはどんなことかを書いていません。
2)「癒着を防ぐために、翌日からガンガン動くこと」が有効なのでしょうか?
3)「痛くてもどんどん動いた方が術後の経過がよくなる」と経過全体が良くなる書き方で、「癒着して起こる大変なこと」が起こらないとは書いていません。
確かに子宮の切開した傷とお腹の傷が癒着することは数%の頻度であります。でも具合が悪くなることはありません。次の妊娠でまた帝王切開になり、その時、手術を進めるのに苦労させられるくらい大変な癒着があることで、初めて癒着がわかることが多いのです。
例えば、帝王切開のため開腹して癒着がわかると、つい「(前の医者は)どんな手術をしたんだ」「腹膜をもっと丁寧に縫ってくれればよかったのに」「お腹を閉じる前に腹腔の血液や混濁した羊水をきれいに洗っておいてくれればよかったのに」と、担当した医師が口にすることがあります。ということは、これが癒着の原因なのです。
癒着のために起こるのは、極めて稀に月経瘻、そして稀に癒着のための痛み(「大変なこと」と言われるような強い痛みはほとんどない)や違和感くらいだと思います。上に書いた通り、次の帝王切開の際に担当する医師は、苦労することになります。
ひどい癒着があっても、上に書いたように次の開腹の時にわかるくらいですから、退院の時には何も言えません。現時点では、心配しようがないのです。
最後にひとこと。今、情報過多と言われる時代で、ネットには「?」と思われるものが混在しています。受け取る側は、選択できる力を持つ必要がありますね。難しいけれど、そのような力をつけてほしいと思います。
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▼ 堀口 貞夫先生のプロフィール
元愛育病院院長、元東京大学医学部講師。妊婦が安心して、自分が納得のいくお産をするために、のべ4万人という妊・産婦をあたたかく見守ってきた。「妊婦のことを親身になって考えてくれる」と評判が高い。JR四ツ谷駅前の「主婦会館クリニック からだと心の診療室」(主婦会館プラザエフ4F)元院長でもあり、女性のからだと心を両面からサポートしていた。著書に『あなただから だいじょうぶ』(赤ちゃんとママ社)、『改訂版 夫婦で読むセックスの本』(電子出版)など。
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