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妊娠初期(1~4ヶ月)
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2015-11-07T00:00:00+0900 2015.11.07

Q.妊娠3週目、そけい部をハチにさされ…胎児に影響は?

はじめまして。妊娠5週目になります。3週目の時に足の付け根(そけいぶ)を蜂に刺されました。大きな蜂で、焦っていたので種類をきちんと確認できませんでした。3週目は着床時期だと思いますが、子宮に近いこともあり心配です。胎児への影響はありますか?

<ママ36歳、妊娠5週>

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ハチは、春から秋にかけて活動し、種類によっても攻撃になる時期が違います。なんのハチにさされたかわからないということでしたので、7~10月にかけて活動し、毒性が強いスズメバチを参考に回答したいと思います(こちらでスズメバチの毒成分とその作用について説明しています)。都市のスズメバチ『ハチ毒の成分とその作用』>>

ハチ毒はアミノ酸をベースにした化合物で、人に対して強い生理活性を持っています。成分は大きく分けてアミン類、低分子ペプチド、酵素類の3つの区分されます。刺された時の激しい痛みはセロトニンやヒスタミンなどのアミン類や、ハチ毒キニンなどにより引き起こされます。スズメバチの毒成分には、他の生物毒に比べてセロトニンの量が多いことが特徴です。セロトニン含量が最も多いのは大型で攻撃性も強いオオスズメバチですが、濃度は「刺されると最も痛い」と言われているチャイロスズメバチが1番高くなっています。その他には、肥満細胞に作用し、ヒスタミンを遊離させる働きをする成分や、血圧降下、平滑筋収縮、組織破壊などを引き起こす成分が含まれており、これらが原因となってさまざまな症状を引き起こします。

ハチ毒にはホスホリパーゼAやヒアルウロニダーゼなど多数のアレルゲンが含まれており、分類学的に近縁関係にあるスズメバチとアシナガバチでは、共通する成分も少なくありません。毒の強さ(LD50値:mg/kg)は、意外にも攻撃性の弱いセイヨウミツバチとヒメスズメバチが 2.8と最も強く、キイロスズメバチが 3.1、オオスズメバチが 4.1となっています。ハチ刺傷により発現する症状の程度は、単に毒性の強さだけではなく、毒の量や濃度にも大きく左右されると考えられます。

さて、このような成分が身体に入って、普通はさされた局所に何らかの症状を起こすわけです。その化学物質が「血液にまで浸透し、さらに胎盤を通過して胎児に移行し、胎児に何らかの影響を与えるか」ということが問題です。血液にどのくらい移行するか。
胎盤を通過して胎児に、どのくらいの量が移行するのか。その量で胎児にどのように影響するかが解明されないとお答えできません。

よって、その解明はすごく難しいことです。ただ言えることは「蜂に刺されたお母さんの局所の症状が少なければ、化学物質の量は少ないであろう」です。それに、もう刺されてしまったのですから「順調に発育して行くかどうか経過を見て行く」ということでしょう。

もう一つこちら小児科の先生が丁寧に解説しています。参考にしてください。高見台クリニック『ハチ毒アレルギー』>>

2015-11-07T00:00:00+0900
  • ▼ 堀口 貞夫先生のプロフィール

    • 元愛育病院院長、元東京大学医学部講師。妊婦が安心して、自分が納得のいくお産をするために、のべ4万人という妊・産婦をあたたかく見守ってきた。「妊婦のことを親身になって考えてくれる」と評判が高い。JR四ツ谷駅前の「主婦会館クリニック からだと心の診療室」(主婦会館プラザエフ4F)元院長でもあり、女性のからだと心を両面からサポートしていた。著書に『あなただから だいじょうぶ』(赤ちゃんとママ社)、『改訂版 夫婦で読むセックスの本』(電子出版)など。

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