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妊娠高血圧症候群・妊娠糖尿病

妊娠高血圧症候群(旧妊娠中毒症)について

妊娠高血圧症候群とは、妊娠20週から出産後12週までに高血圧(収縮期圧≧140、拡張気圧≧90)の症状がみられるものをいいます。そのうち10〜15%の方は、血管の透過性亢進が進行して、高血圧と尿タンパク(300mg/日以上)の症状がみられる妊娠高血圧腎症へと進展します。妊娠高血圧腎症になると、胎盤機能不全や胎児発育遅延、子癇、ヘルプ症候群、常位胎盤早期剥離、DICなどの重症な合併症を引き起こすことがあり、その場合は入院による治療が必要です。

胎児発育遅延

胎児体重の妊娠週数ごとの基準値で5パーセント以下の場合を「胎児発育遅延」といいます。「胎児発育遅延」の原因は胎児の奇形や感染症が多いのですが、妊娠高血圧症候群がある場合には、胎盤機能不全による低栄養が原因であると考えられ、胎児に2週間以上発育がみられない場合には、妊娠の継続の可否を慎重に検討することになります。

子癇(しかん)

「子癇」と呼ばれるけいれん発作の先行疾患となるのが、一過性血管原性脳浮腫や高血圧性脳出血、脳梗塞による脳虚血です。前駆症状としては、頭痛、めまい、眼華閃発、視力障害、胃痛、悪心、嘔吐があり、38%の人は、こうした前駆症状を伴わないともいわれています。「子癇」の発作の特徴は、意識消失や眼球上転、全身の強直生けいれんで、間代性けいれんに移行した場合は、呼吸停止→数分で呼吸が再開→昏睡状態になる→間もなく意識回復する、という過程をたどるのが通常です。ただし、重症になると、意識が回復しないままけいれん発作を繰り返し、死に至ります。くれぐれも、脳出血や脳梗塞、てんかん、脳腫瘍、ヒステリー、尿毒症などと区別して考える必要があります。

ヘルプ症候群

「ヘルプ症候群」とは、溶血(hemolysis)、肝酵素の上昇(elevated liver enzyme)、血小板減少(low platelets)の3つの病態の頭文字を略したものをいいます。「ヘルプ症候群」は、重症な妊娠高血圧腎症の人の10〜20%に起こるといわれており、高血圧腎症の先行しないものも1〜2割あるといわれています。初発症状には胃痛、倦怠感、悪心、嘔吐があり、血液検査で血小板減少、溶血、肝機能障害が特徴的に認められる場合に、「ヘルプ症候群」と診断されます。

常位胎盤早期剥離

出産前、まだ赤ちゃんが子宮の中にいる状態で胎盤がはがれてしまうことを「常位胎盤早期剥離」といいます。胎盤がはがれることで、赤ちゃんへの酸素と栄養の供給が止まってしまうため、胎児の死亡率は60〜80%ともいわれます。出血が多い場合は、ママ自身も生命の危険にさらされるので注意が必要です。なお、常位胎盤早期剥離は妊娠高血圧症候群や妊娠高血圧腎症の合併症として起こることが多く、妊娠中に高血圧が先行しない場合もあります。

DIC(播種性血管内凝固症候群)

妊娠中は凝固機能が亢進していますが、何らかの原因で凝固線溶機能が破綻して、広範囲で全身の細小血管内で微小血栓が形成され、血液凝固障害が起こった状態を「DIC(播種性血管内凝固症候群)」といいます。先行疾患としては、常位胎盤早期剥離、羊水塞栓症、分娩時大量出血、重症感染症(敗血症性流産など)、子宮内胎児死亡の稽留があります。

妊娠糖尿病について

それまで糖尿病の症状がなかった人が、妊娠をきっかけに糖尿病を発症することを「妊娠糖尿病」といいます。妊娠糖尿病になると、妊娠高血圧症候群や羊水過多症、感染症などにかかりやすくなるだけでなく、胎児もママの糖を吸収して高血糖になるため、巨大児出産や、胎児の発育不全、さらには胎盤機能不全や妊娠高血圧症候群を引き起こす原因にもなります。出産後も、新生児低血糖症や重い新生児黄疸などの発症を心配しなければなりません。妊娠糖尿病と診断された場合は、低エネルギー食など、食事療法によるカロリー制限が必要です。

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