【BOOKレビュー】ママだって、人間
- 2014-06-20 11:00
- 一般公開
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ママだって、人間
田房 永子(著)
河出書房新社
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母性って何? 赤裸々ぶりに笑えて、
最後はホロリとするコミックエッセイ
『ママだって、人間』は、一児の母となった著者が、自身の妊娠・出産・育児についての経験や思いを綴ったコミックエッセイ。でもその赤裸々ぶりがハンパじゃない!
本書は、ややクセのある絵と、冒頭から妊娠中の性欲やセックスについてオープンに語られるため、もしかしたら苦手な方もいるかもしれません。(私も電車の中では読むのを控えました…。)
でも読んでいくうちにひきこまれるのは、著者が「ママとはこうあるべきもの」という世間的な枠に対してふと疑問を感じ、憤ったり、ときには涙を流したりする姿に「こういう気持ち、ある(あった)かも…」とじんわり共感できるから。
はじめての妊娠・出産・育児は、自分のからだに起こることも、ママとしての世間との関わり方も、戸惑うことだらけ。それまでのママたちの人生経験やアイデンティティを全てフラットにされて、「ママとはこういうもの」という型の中にはめられていくことに違和感を感じながらも、「いい母」として生まれ変わったような感覚に喜びを感じる…というくだりは、育児経験のあるママたちなら、少なからず経験があるのではないでしょうか。
そんな微妙な心境をズバッとついた本書は、これから妊娠・出産を迎える方にはぜひ一度読んでおいていただきたいもの。「妊娠中の性欲」や「産後のうつ」「とにかく夫がイヤになる」などの章は、今後もし自分がふと疑問を感じたり、不安になったときに思い出すと、少し心が軽くなるかもしれません。
また、「泣いている自分の子どもを悪く言うママ」「電車やエレベーターで、やたら低姿勢でベビーカーを押すママ」「何もしないジイさん」などの公共的・社会的な事象を、ママとなった主人公の視点を通して的確にすくいあげているもの本書の特徴。「あー、あるある!」と共感するとともに、我が身を振り返ることができそうです。
「ママだって、人間」。著者が経験を通してたどりついたこの言葉に、ママたちだけでなく、男性にも、若い人にも年配の方にも気づいてもらえたらな…読み終えてそんな感想を持った一冊です。
《著者:田房 永子》
1978年、東京都生まれ。 武蔵野美術大学短期大学部美術科卒業。2000年に漫画家デビューし、第3回アックスマンガ新人賞佳作受賞。2012年、自身の母親との関係を描いたコミックエッセイ『母がしんどい』が、大反響を巻き起こす。
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