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子育て期(生後10ヶ月~1歳6ヶ月)
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2002-03-01T00:00:00+0900 2002.03.01

Q.中耳炎が癖にならないようにするには?

1歳3ヶ月になる子供がいます。
保育園に通っているので、頻繁に風邪をもらってきます。
今年に入って、風邪から中耳炎になってしまいました。
最近また耳をいじるのですぐに病院へ連れて行くと、水が溜まってきていると言われ、様子を見ることになりました。
中耳炎は癖になるから気をつけるようにと何回も言われるのですが、何をどのように気をつけたらいいのですか?

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中耳炎は鼓膜の内側の中耳腔に細菌が入ってしまってそこに感染を引き起こしたものです。赤ちゃんが突然発熱した場合、なかでも耳を触ると痛がったり嫌がったりする場合には中耳炎が起こっていると考えられます。診断は耳の中を耳鏡でのぞいてみて、鼓膜が赤く腫れているのが確認できれば決まりです(耳の中をのぞかないで「中耳炎」の診断はできません。もし、耳を見ないで「中耳炎」と言われたら...要注意です)。治療は抗生物質を1週間から10日間内服することですが、最近は抗生物質に対する耐性を有するばい菌が増えてしまい、なかなか治療に反応しなくて経過が長引いてしまうケースが問題になっています。もし、薬を飲み始めて3日以上たっても症状が軽快しない様であれば、早めに病院にいって再度チェックしてもらって下さい。中耳腔の中に「水がたまっている」と言われるのは、通常「滲出性中耳炎」と言われる状態です。これは発熱や痛みを伴った急性中耳炎が治った後だけでなく、耳管(鼻の奥から中耳腔に通じる管)の通りが詰まったりしている場合にも起こり、普通は熱や痛みなどの具体的な症状を伴いません。滲出性中耳炎が起こると耳の聞こえが悪くなるので、そちらから診断されることもあります。滲出性中耳炎の治療に関しては外科的な方法(例えばば、耳管を塞いでいると考えられるアデノイドを取ってしまうなど)を始め、徹底的に抗生物質を服用させるなどの治療が行われていますが、決定的な治療法はありませんし、経過観察だけで自然に治ってしまう事も少なくないようです。そんな訳ですので、治療は「耳の聞こえ」の程度に応じて経過観察から鼓膜切開・チュービング(切開した鼓膜にチューブを入れて置いて、たまってくる水を排出させる)までケースバイケースで行われています。さて、それでは「中耳炎は癖になるから気をつけるように」と言う、そのココロですが.....う~ん....はっきり言って、お母さんや本人の努力で急性中耳炎はもとより、滲出性中耳炎にならない様に気をつけることはできないと僕は思います。「風邪を引かないように気をつけて」とか、「これ以上ひどくならないように気をつけて」などと、診療の場ではついつい口にしてしまう事ですが、確かに、それだけでは言われたほうは具体的に「何」に気をつけたらいいのかわからないですよネ...次回の診察時にでも、「どんな事に注意したらいいのか」具体的に聞いてみるのもいいかと思いますよ(ちょっとイジワルかな?)。

2002-03-01T00:00:00+0900
  • ▼ 加部 一彦先生のプロフィール

    • 埼玉医大総合医療センター新生児科教授、小児科医。新生児集中治療室(NICU)で、主に早産のために小さく生まれたり、生まれてすぐに何らかの病気をかかえ、入院となった赤ちゃんのお世話を生業としている他、医療安全や病院建築など幅広い領域に関心を持って活動中。すでに社会人となった3人の息子達とはSNSで情報交換したり、時には飲みに行ったりと、「オトナの付き合い」ができる様になった事を喜んでいる。著書に『新生児医療は、いま』(岩波書店)、『障害を持つ子を産むということ』(中央法規出版)など。

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