s
> > > インフルエンザは、自然に治療される感染症という考え方

子育て医学情報子育て医学情報

インフルエンザは、自然に治療される感染症という考え方

すぐに処方してもらえば効果は大

前回は抗インフルエンザウイルス薬の実力と実害について述べましたが、では、タミフルなど、抗インフルエンザウイルス薬との理想的な付き合いとは、どのようなものでしょうか?

たとえば、インフルエンザの流行期に我が子が発熱したら、すぐに医療機関に行き、インフルエンザの検査を行い、陽性ならばタミフルなどのNA阻害薬を処方してもらい、服用するというのは、回復までの期間を短くするために有効です。

NA阻害薬に耐性のあるインフルエンザウイルスも数多く確認されていますが、通常のインフルエンザなら十分な効果が期待できます。

その一方で、症状が出てから1日以上計画して、48時間に近づいている場合であれば、タミフルの恩恵にはあずかれません。医師が処方したならば、医療費の無駄遣いということになります。

ところが、日本では、患者さん側にも「タミフルなどのインフルエンザ治療薬」を欲しがる傾向があり、医師側も“何か処方しないと患者が納得しない”という判断と収益を確保する意図で、手遅れの段階でもタミフルなどを処方する例が少なくありません。

NA阻害薬は、1回分300円以上と安くない医薬品なので、他先進国では、庶民に処方されることは少ないとされます。しかし、日本ではインフルエンザが判明すると、NA阻害薬が必ずと言ってよいほど処方されます。日本での使用量は肥大し、タミフル生産量の 70 %以上を日本が使用しているという状況が長年常態化しています。

タミフル以外のNA阻害薬の使用状況もこれに準じており、2015~2016年の季節性インフルエンザに対する抗インフルエンザウイルス薬の供給予定量(2015年9月末日現在)は、タミフル約700万人分、リレンザ約390万人分、ラピアクタ約75万人分、イナビル約700万人分です。日本は世界に冠たる「インフルエンザ治療薬(NA阻害薬)消費大国」なのです。

今後さらに深刻になる日本の医療費増大傾向を抑制するという観点からも、私たち患者は、無思慮に「タミフル」を求めるべきではないですし、医師も48時間経過しようとする患者さんに「タミフル」を処方するべきではありません。

もちろん予防のための「タミフル」は、有効性も確認されており、自費での購入ですから、副作用に警戒しながらであれば、問題ないと言えるでしょう。

「インフルエンザに薬は不要」という世界的常識

ただし、さらに世界の状況を観察してみると、日本以外の先進国や途上国では、「インフルエンザは自然治癒するので、治療は不要なウイルス感染症」という認識が定着していることがわかります。日本で年間1000人以上死亡することも多いインフルエンザですから、「放っておいても治る病気」と言うのは無理がありますが、高齢の人たちや別の疾患を持っている人たち以外では、死ぬ危険性のある伝染病でないのは確かです。

2009~2010年にインフルエンザが世界的に大流行した際、世界でもっとも権威ある医学研究機関のひとつである米国疾病管理予防センター(CDC)は、「健常な成人と子どもにNA阻害薬の処方は不要」という見解を示し、注目を集めました。諸外国では「抗インフルエンザ薬は必要ない」という意見が主流なのです。

つまり、世界的常識から見れば、健康不安のない子どもや大人がインフルエンザになっても、タミフルやリレンザなどのインフルエンザ治療薬(NA阻害薬)を服用する必要はなく、処方されるのは、何らかの健康不安を持つ人々のみということになります。

無駄をなくし、効果をフルに活用する

タミフルなどのNA阻害薬は、高価な薬のため、諸外国では「お金持ちの薬」とされています。国民皆保険で医療費自己負担が少ない我が国だからこそ、だれでもNA阻害薬の恩恵にあずかることができるのです。それは、とても幸福なことです。

しかし、国民皆保険を維持するためには、医療費の増大は抑制する必要があり、無駄は絶対に許してはいけません。

タミフルやリレンザなどのインフルエンザ治療薬(NA阻害薬)に関する正しい知識を持つことは、私たちの務めです。そして、もし不要なインフルエンザ治療薬を処方する医師がいれば、それを拒絶するだけの心構えが必要です。

NA阻害薬は、インフルエンザの特効薬ではないことを前提に、個々の事情に応じて期待できる効果をフルに活用してほしいものです。

#
こどもスクールセレクト おもちゃワクワクキャンペーン 子育ておもしろエピソード入賞者発表! 第22回おひさま大賞発表!! 写真映えするベビーグッズ

おすすめ特集

PR