ベビカムおすすめの一冊を紹介するコーナーです。

「出生前診断」あなたはどう考えますか?

  • 2015-06-05 11:00
  • 一般公開
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出生前診断 出産ジャーナリストが見つめた現状と未来
河合蘭(著)
朝日新聞出版
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変わりゆく「出生前診断」
その最新事情とママたちの声


著者の河合蘭さんは、妊娠・出産、不妊治療、新生児医療を取材してきた、日本でただ一人の出産ジャーナリスト。

2013年の著書『卵子老化の真実』では、当時センセーショナルなテーマとしてに取り上げられがちだった「卵子の老化」について、偏った情報から女性たちが不安に陥ってしまうことがないよう、専門家への取材や女性たちの体験談をもとに、卵子老化と高齢出産の実態をわかりやすく伝えて話題となりました。

晩産化が進む現代の日本では、高齢での出産による染色体疾患の増加、という事実は広く知られるようになりました。ただ、従来の出生前の検査は精度のあまり高くないものだったり、精度は高くともリスクを伴うものだったりということもあり、そのニーズの高まりは緩やかなものでした。

ところが最近、安全かつ精度の高い「新型出生前診断(NIPT)」が日本でも受けられるようになったことから、一気に「検査を受けたい」「検査が受けられるなら妊娠を考えたい」という人が増えたといいます。

「胎児の障害を理由にした中絶が増加する」と、NIPTの普及を懸念する報道も頻繁にされましたが、かえって検査の存在が広く知られることとなり、よりニーズの高まりに拍車をかけました。
それに対し、NIPTを実施する十分な基準を満たした病院は非常に少なく、導入のタイミングと、日本の法規制や施設の準備が噛み合わず、いまも混乱は続いています。

また、女性たちの心情もさらに複雑になっているといえます。検査が受けやすくなったとしても、そこには「命の選別」という重い言葉が横たわります。
「受けられるなら受けたい」と思いつつも、「知ってどうする?」と、診断を受けること自体に罪悪感を持ったり、覚悟を決めることができず迷ったり…。パートナーとの考え方の違いや親族の反対など、さまざまな思惑に振り回され、妊娠の始まりが憂鬱な時間になってしまうことも少なくないようです。

この本は、「出生前診断」について賛成・反対どちらの立場でもない中立的な立場に立って書かれています。
新型出生前診断、胎児ドック(専門医が行う詳しい超音波検査)などの新しい検査、さらには胎児治療など新しい医療の波についてもわかりやすく説明されており、検査をとりまく歴史や日本の風潮の変化、法律の問題や医療の現状についてまで、あらゆる角度から、「出生前診断」の過去・現在・未来について迫っていきます。

検査や中絶の経験者も含めて、出生前診断をどうするかという問題に直面した先輩ママたちの生の声もたくさん紹介されていますので、この本を読んで、「もし自分なら?」「自分の家族なら?」と考えてみてはいかがでしょうか。

深く踏み込みにくいデリケートな問題だからこそ、妊娠中の方、2人目以降の妊娠を考えている方、そしてそのパートナーの方にもじっくり読んでいただきたい…そんな一冊です。


※ベビカムフェローブログにも、河合蘭さんご自身の想いが語られています。
出産専門ライター河合蘭さんの「お産っていいよね」はこちら>>>
※本書に掲載されているアンケートデータは「ベビカム」と河合さんの共同調査です。

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