「前の手術の傷の状態は、超音波検査か何かで、判らないのでしょうか?」という質問を以前いただいたこともあります。
超音波検査で子宮の壁はよく見えます。妊娠後半の壁の厚さは5~7mmくらいです。でも傷の部分がどうなっているか、妊娠していない時に判断するのは難しい場合があるのです。陣痛(子宮の反復する強い収縮)でも持ちこたえられるかどうかを超音波検査で判断できるかどうかは、難しい点があります。
前の帝王切開の時にどんな状態だったか、手術後の開腹が順調だったかどうか、帝王切開で出産した時の先生に相談されると良いのですが。
また、今回の妊娠で胎児が育つにつれて、子宮の壁が引き延ばされる訳ですが、そのとき前の傷に負担にならないかは、妊娠してからの経過を見なければ判りません。
破裂した時に、たまたま血管が切れれば、大出血する可能性はありますね。また子宮が破裂する場所が悪いと子宮の壁の収縮のために、胎盤の血液の流れが悪くなって、胎児に危険が及ぶこともあります。しかし破裂がゆっくり進むようなら、親子とも無事ということもあります。
「一度帝王切開をやると次の妊娠も帝王切開の方が安全」と言われることがあるのは、頻度は少ないけれどもこの子宮破裂を心配するからです。
陣痛が始まったとき、直ぐに破裂を起こすか、何時間か経ってからか、またゆっくりと破裂が進行するか、急激に進行するかは前の帝王切開の時の状態である程度予測できます。それが前の医者に診てもらうと良いという理由です。今度の妊娠中に注意深く診察を繰り返すことも大事です。
先生のプロフィール
元愛育病院院長、元東京大学医学部講師。妊婦が安心して、自分が納得のいくお産をするために、のべ4万人という妊・産婦をあたたかく見守ってきた。「妊婦のことを親身になって考えてくれる」と評判が高い。JR四ツ谷駅前の「主婦会館クリニック からだと心の診療室」(主婦会館プラザエフ4F)元院長でもあり、女性のからだと心を両面からサポートしていた。著書に『あなただから だいじょうぶ』(赤ちゃんとママ社)、『改訂版 夫婦で読むセックスの本』(電子出版)など。