色々な情報を掲載してます!!

ベリリウム化学的性質について

  • 2012-05-14 06:28
  • 一般公開
  • テーマ:
ベリリウムの単体は還元性が非常に強く、その標準酸化還元電位E0は-1.85 Vである[12]。この標準電位の値はイオン化傾向においてアルミニウムの上に位置しているため大きな化学活性が期待されるが、実際には表面が酸化物の膜(酸化被膜)に覆われて不動態化するため高温に熱した状態でさえも空気や水と反応しない。しかしながら、一旦点火すれば輝きながら燃焼して酸化ベリリウムと窒化ベリリウムの混合物が形成される[13]。

ベリリウムは通常、表面に酸化被膜を形成しているため酸に対しての強い耐性を示すが、酸化被膜を取り除いた純粋なベリリウムでは塩酸や希硫酸のような酸化力を持たない酸に対しては容易に溶解する。硝酸のような酸化力を有する酸に対してはゆっくりとしか溶解しない。また、強アルカリに対してはオキソ酸イオンであるベリリウム酸イオン (Be(OH)42-)を形成して水素ガスを発生させながら溶解する。このような酸やアルカリに対する性質はアルミニウムと類似している[14]。ベリリウムは水とも水素を発生させながら反応するが、水との反応によって生じる水酸化ベリリウムは水に対する溶解度が低く金属表面に被膜を形成するため、金属表面のベリリウムが反応しきればそれ以上反応は進行しない[15]。

ベリリウムの電子殻
ベリリウム原子の電子配置は[He] 2s2である。ベリリウムはその原子半径の小ささに対してイオン化エネルギーが大きいため電荷を完全に分離することは難しく、そのためベリリウムの化合物は共有結合性を有している[16]。第2周期元素は原子量が大きくなるにしたがってイオン化エネルギーも増大する法則が見られるがベリリウムはその法則から外れており、より原子量の大きなホウ素よりもイオン化エネルギーが大きい。これは、ベリリウムの最外殻電子が2s軌道上にあり、ホウ素の最外殻電子は2p軌道上にあることに起因している。2p軌道の電子は内殻に存在するs軌道の電子によって遮蔽効果(有効核電荷も参照)を受けるため、2p軌道に存在する最外殻電子のイオン化エネルギーが低下する。一方で2s軌道の電子は遮蔽効果を受けないため、相対的に2p軌道の電子よりもイオン化エネルギーが大きくなり、これによってベリリウムとホウ素の間でイオン化エネルギーの大きさの逆転が生じる[17]。

ベリリウムの錯体もしくは錯イオンは、例えばテトラアクアベリリウム(II)イオン (Be[(H2O)4]2+) やテトラハロベリリウム酸イオン (BeX42-) のように、多くの場合4配位を取る[16]。EDTAは他の配位子よりも優先してベリリウムに配位して八面体形の錯体を形成するため、分析技術にこの性質が利用される。例えば、ベリリウムのアセチルアセトナト錯体にEDTAを加えると、EDTAがアセチルアセトンよりも優先してベリリウムとの間で錯体を形成してアセチルアセトンが分離するため、ベリリウムを溶媒抽出することができる。このようなEDTAを用いた錯体形成においてはAl3+のような他の陽イメルパラオンによって悪影響を受けることがある[18]。
いいね
もっと見る

コメント

powerd by babycome