前期破水って?

  • 2011-09-08 10:17
  • 一般公開
  • テーマ:分娩
台風12号により被害に遭われた方々に心よりお見舞い申し上げます。
日本助産師会でも、何か支援できることがないか、あればすぐ行動に移せるよう情報を集めています。

さて、今日は「前期破水」についてお話しします。

まず、「破水」というのは、赤ちゃんを羊水ごと包んでいる薄い半透明な膜(卵膜といいます)が破れて、羊水が流れ出ることをいいます。
陣痛などで子宮が収縮すると、子宮内圧が高くなり、卵膜が破れます。
水風船を両手で包むように持って、ぎゅっと押すのをイメージすると分かりやすいですね。

陣痛が始まる前に「破水」してしまった場合には「前期破水」といいます。
前期破水の原因の多くは、膣を介しての感染(上行性感染)によるものと言われています。
膣内で細菌などが繁殖すると、膣炎→子宮頚管炎へと炎症が広がってゆきます。子宮頚管には卵膜が接しており、そこまで炎症が進むと絨毛膜羊膜炎と呼ばれる状態となります。すると卵膜が弱く脆くなり、破水しやすい状態になってしまいます。

破水すると、「パンッ!」と水風船が割れるような音がして、羊水がビシャッと出る場合もあれば、
突然、少しずつちょろちょろと流れ出てくる場合もあります。
尿漏れや水っぽいおりものと区別が難しい場合には、かかりつけの産院に電話して相談しましょう。
見た目などで区別がつかない場合には、病院で検査すれば破水かどうか分かります。

では、お産の理想的な始まり方は・・・

臨月になって、赤ちゃんがお産に向けて下の方に下りてくると、おしるし(産徴)と言って、少量の出血をします。
そして、それからすぐの場合もあるし、何日間かかかる場合もあるのですが、陣痛が始まります。
破水するのは、子宮の出口(子宮口)が十分に開いてからというのが理想的です。

何故、子宮口が開いてから破水するといいかというと、まず第一に、赤ちゃんを守ってくれるからです。

卵膜が破れて、子宮頸管~膣~外界と通じてしまうと、雑菌の侵入による赤ちゃんへの感染が心配になります。
そのため、「もしも破水したら、お風呂もシャワーもダメですよ。すぐに病院に来てください。」と医師や助産師に説明されると思います。

破水すると、それが刺激になって自然に陣痛が始まることが殆どです。

もし、なかなか陣痛が始まらないようであれば、陣痛促進剤などを使って、陣痛を起こしてお産になるようにします。
大体、24時間~72時間以内にお産になるように、という方針の病院が多いようです。
ですから、一度破水してしまったら、赤ちゃんが生まれてくるまで自然に待つのにタイムリミットができてしまいます。

破水していなければ、弱い陣痛が何日続いても、赤ちゃんが元気で産婦さんの気力・体力があれば待つことができます。

それから、陣痛が始まってからは、子宮収縮による赤ちゃんへのストレスを羊水がクッションになって和らげてくれます。

また、赤ちゃんが下に下りてくるにつれて、赤ちゃんの頭の先に羊水の水風船のようなものができて(子宮口に赤ちゃんの頭で蓋をするような感じになります)、産道を広げるお手伝いをしてくれます。赤ちゃんの頭で直接広げるより、水風船で広げる方が産婦さんも少し楽でしょう。
もうすぐ生まれるという時に破水すると、赤ちゃんが通る産道を羊水できれいに洗い流してくれるということも期待できます。

ですから、なるべくなら前期破水にならないように、
また、前期破水するとしても、臨月になってからで、すぐに陣痛が始まるように、
以下のことに気をつけましょう!

あまり重たいものを持たない(腹圧をかけない)。特に臨月に入るまではお腹が張るようなことをしない。
規則正しい生活をして、下半身を冷やしたりしないようにする。(免疫力を低下させない)
陰部は清潔に保つようにしましょうね!
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