歯の病気(はのびょうき)

歯の痛みや熱は歯髄で感じます


 歯は、上下合わせて乳歯では20本、永久歯では、親知らず(第3大臼歯)が生える人と生えない人があるので、28~32本です。
 歯の表面はエナメル質でおおわれています。エナメル質は、人のからだのなかでもっともかたい組織で、歯をしっかり守っています。この内側に象牙質があります。
 歯肉におおわれた歯根部は、表面がエナメル質ではなくセメント質で、その内側に象牙質があります。いちばん内部には歯髄があり、神経や血管が通っていて、痛みや熱を感じとります。
 セメント質はエナメル質ほどかたくありませんが、歯の根の部分は歯肉で守られています。そして、歯肉は歯根膜という線維組織によって、歯槽骨に固定されています。
 また、歯肉は、細菌や毒素が侵入してくるのを防ぎ、歯をしっかりと支えるたいせつなはたらきをしています。正常な歯肉は引き締まって弾力があり、ピンク色をしています。

よくかむことで健康に


 歯のはたらきでいちばん重要なのは、食べ物をかみくだき、消化しやすい形にすることです。かむことは、歯肉と歯の土台となっているあごの骨を強くし、唾液の分泌もうながします。
 唾液には重炭酸が含まれており、細菌などによってつくりだされた酸を中和し、歯が溶ける(脱灰)のを防ぐ役割を果たしてくれます。また、カルシウムやリン酸を豊富に含んでいるので、酸によって溶かされた歯を元にもどすはたらき(再石灰化)もしています。
 そのほかに、唾液には歯の表面を洗い流すという洗浄作用や、さまざまな細菌の生育を抑制する抗菌作用もあることがわかっています。ですから、よくかんで唾液を十分に出すことは、歯のためだけでなく、からだ全体の健康のためにもたいせつなことです。

軽くみられてきた歯の役割


 内臓の病気などとちがって、歯の病気は「たかがむし歯」と軽くみられがちですが、じつは、健康な歯は、健康なからだや心をつくる、基本となるものなのです。
 歯は食べ物をかみくだくだけではありません。たとえば、歯が悪いとうまく発音ができなかったり、話すときの表情や容姿にも影響します。むし歯があったり歯並びが悪いと、口をあけて笑えず、人と接するのが苦手になるといったことも起きてくるでしょう。
 さらに、歯が抜けていたりグラグラしていると集中力が落ちます。歯を食いしばって力を入れることができないので運動能力も落ちてきます。とくに妊娠中は歯の健康に気を配りましょう。
 おいしいものを食べ、人とかかわり、元気にからだを動かすことができることは生きる喜びです。そのためには歯が健康であることがたいせつなのです。
 歯の病気はほうっておいても自然に治るということはありません。おっくうがらずに治療を受けましょう。
 そのうえで、毎日の歯みがきをきちんとしたり、定期的に歯の健康チェックを受ければ、何歳になっても自分の歯でかむことができ、健康なからだを保つことができます。

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