
Q.K2シロップ、助産婦と方針が違っても飲ませるべき?
9月に出産予定です。助産院での出産を決めていますが、保健所の母親教室で「そこの助産院は新生児の出血予防のビタミンK2シロップを飲ませていないそうだから気をつけて」というようなことを言われてしまいました。心配で、育児書などで調べましたが、本によって「必ず飲ませてください」「出血がおこったら飲ませれば良い」など記述が様々です。次の検診で助産院の助産婦さんに質問しようと思っていますが、いろいろと考えてしまい不安が募ります。もし、その助産婦さんと方針が違っても飲ませるべきなのでしょうか?
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ビタミンKは、血液が凝固する際に不可欠なビタミンなのですが、私たちはこれを身体の中で作ることができません。赤ちゃん以外では、腸内細菌が作ったビタミンKやわずかですが食事から取ったビタミンKを利用することもできるのですが、おっぱい、特に母乳の中にはビタミンKはほとんど含まれないために、このビタミンの欠乏による出血症を起こすことがあります。ビタミンK欠乏による出血症には、生後比較的早期(おおむね1週間以内)にみられる消化管出血(吐血や下血で「新生児メレナ」と言う病名がつきます)と、生後1ヶ月近くにみられる頭蓋内出血との2つのタイプがあり、特に後者は場合によって後障害を残す可能性があります。ビタミンKシロップの赤ちゃんへの投与は、これらの病気の予防のために始められました。この予防的投与が始まってかれこれ10年近くになりますが、今ではビタミンK欠乏によるこれらの病気、とりわけ、頭蓋内出血の赤ちゃんを見ることは本当に少なくなりました。この助産婦さんがどんな理由でビタミンKの投与をされていないのかわかりませんが、赤ちゃんにビタミンKを飲ませるのには、この様な明確な理由があります。助産婦さんの方針と違ってしまうことは、なかなかストレスな事かもしれませんが、赤ちゃんの安全のために、頑張って主張して下さいね。もし、必要ならば、いつでも応援しますよ!赤ちゃんに対して、薬を飲ませることに抵抗感をおもちの方もいるかと思います。確かに現在日本の医療では不必要な薬の使われ方があることも事実なのですが、この場合には、キチンとした研究に基づいた明確な理由があり、事実、出血性疾患の減少と言う効果が上がっている事も明らかです。ここに至ってなお、「出血がおこったら飲ませればいい」と言うのは、かなり無責任な発言と言わざるを得ませんね.....
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▼ 加部 一彦先生のプロフィール
埼玉医大総合医療センター新生児科教授、小児科医。新生児集中治療室(NICU)で、主に早産のために小さく生まれたり、生まれてすぐに何らかの病気をかかえ、入院となった赤ちゃんのお世話を生業としている他、医療安全や病院建築など幅広い領域に関心を持って活動中。すでに社会人となった3人の息子達とはSNSで情報交換したり、時には飲みに行ったりと、「オトナの付き合い」ができる様になった事を喜んでいる。著書に『新生児医療は、いま』(岩波書店)、『障害を持つ子を産むということ』(中央法規出版)など。
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