今回は、2007年7月に引き続き、2年ぶりに「パパの育児休暇」についてリサーチしました。
その結果、勤め先への男性の育児休暇制度の導入率、実際に育児休暇を取ったパパの比率とも前回に比べて増加しており、少しずつですが男性の育児休暇制度も日本の社会に浸透している状況です。
そうした状況にもかかわらず、『今後、育児休暇を取る男性が増えると思うか』の問いに対しては、前回の調査ではわずかながら「はい」が過半数だったのに対し、今回の調査では「いいえ」が過半数という結果でした。
これには、『不況の中、男性が育休を取ったらリストラの口実にされそう』、『人員削減の結果、残った正社員が多忙になり、男性が育児休暇を取れる状況にない』等の、昨今の雇用や経済情勢悪化の影響が大きいものと思われます。
しかし、ママたちの意見にもある通り、特に初めての赤ちゃんが生まれたばかりの時期、不安がいっぱいなママにとって「パパがそばにいて精神的な支えになってくれる」だけでも心強いものです。
また、先日「2人目育児のときの上の子のケア」についてリサーチしたなかでは、パパが積極的に育児に関わることが、ママや上の子のストレス軽減につながっているという結果も得られました。
今後もベビカムでは、このテーマを追っていきたいと思います。
最後に、「男性の育児休暇」について寄せられたみなさんからの意見の一部をご紹介します。
■男性の育児休暇はどんどん推進していくべきだと思う。社会が「少子高齢化」といっているわりには、制度がありますよ・・・的なことしかやっておらず、社会の偏見がまだまだ大きい。自分の職場の上司も、男尊女卑の精神が根づいています。 (27歳 千葉県 初産妊娠中)
■10年前勤めていた会社は育児休暇はなかったが長期休暇を取得でき、それを利用して2人目の出産の時に育児休暇として取得した男性社員がいた。しかし、人事部の責任者と担当者が『男なのに』と笑って話しているのを聞いてショックを受けた。この会社では子どもを産んで育児と仕事は両立はできないと感じた。 (38歳 広島県 2児のママ)
■男性の育児休暇なんでとんでもない。収入面で、実際旦那が働かなければ食べていけないし、代わりに女性が育児を離れて働きに出ても、十分な収入が得られる環境でもない。 (25歳 熊本県 2児のママ)
■せめて、男性が1ヶ月くらい育児休暇を取っても大丈夫な環境を整えてくれれば、母親としてはすごく助かりますが、かえって邪魔になる人もいるかもしれないし、全員取った方がいいとは断言できないかな・・・ (39歳 群馬県 2児のママ)
■やはり男性の育児休暇は取るのが難しいのが現状。しかし、パパどうしのコミュニケーションが社内で生まれれば、育休が取りやすくなる環境づくりは可能だと思います。制度だけでなく、そういう場もあわせて作ればいいと思う。 (30歳 静岡県 1児のママ)
■休暇として長期お休みするよりも、フレックスタイムにしてくれるとか、業務を軽減してくれるとか会社側が考えてくれれば男性の育児参加が増えると思うので、育児休暇もいいけど別な形も考えてほしいです。 (35歳 神奈川県 2児のママ)
■これだけ不況で企業も個人も苦しいときに、給料をもらいながら休む社員を雇える余裕があるのは大企業しかないと思う。 (38歳 大阪府 2児のママ)
■やはり男性が取るということに本人も抵抗があるだろうし、世間や社内でも抵抗感(なじみがない)があるので増えないと思う。女性が育休で復帰後退職させられたりなどの現状もあり、男性は特に難しいと思う。 (34歳 大阪府 1児のママ)
■どんなに制度が整ってきているとはいえ、女性でも育児休暇を取るのはなかなか難しいのが現状だと思うので、男性が取るのはもっと難しいと思う。もし自分の職場で男性が育児休暇を取っていたら、やっぱり否定的な目で見てしまいそうです・・・。 (32歳 愛知県 1児のママ)
■やはり男性は育休を取りづらいのでは、と思う。女性が出産で休暇を取るのだって、無事に出産してきて・・・と願うのと同時に、『休暇中』だから頭数には入っていてもアテにはならないし、仕事で空いた穴をどうやって埋めようか・・・と、企業側は悩むらしいので。 (35歳 静岡県 1児のママ)
■その後の昇進などにかかわらないのなら取ってほしいが、自分が経営者なら男女ともに育児休暇を取られるとつらいとも思う。休暇後に「やはり辞めます」などもありうるし、復帰を見込んで、その間は補充人員を採用をしないし。複数の子どもを希望するとなると、さらに10年くらいは「あいまい社員」にならざるを得ないし・・・。 (34歳 東京都 1児のママ)
■育休を取った男性の話は聞かないが、身のまわりで、奥さんがバリバリ働いていて、子どもが病気になると旦那さんが仕事を休んで子どもの世話をしているという話は時々耳にするので。これからの時代は男女関係なく稼げる方が働いて、収入の少ない方が子育てをするようになるのかな、と思う。 (30歳 岡山県 1児のママ)
■メディアがどんなに騒いでも、中小企業の古い体質を変えることは難しい。格差社会である以上、企業努力だけでは社会の流れは変わらないし、政治家のジェンダーに対する意識改革もなされていない。たとえ若いパパの意識だけが改善されても、職場の上司に理解がなければ無駄なので、法律をもっと強める必要があると思う。 (23歳 北海道 初産妊娠中)
■男性が育休を取ることがすごいことだとは思いません。制度があるのだから、男性が取らずに女性だけが休むのは、女性なら職場に迷惑かけてもいいということなのでしょうか? それから、『育休を、とって子育て、終わりかよ』というのが私の一句です。育休をとったからどうではなく、それ以降も夕食時間に帰ってくるとか、朝は子どもを送ってくれる方がもっと助かります。パートナーは子どもが4ヶ月と7ヶ月のときに育休を2回取りましたが、それ以降は朝も夜も子どもに会わない毎日です。近所の方からは「育休父さん=理解ある父」と思われていますが、実際はまったく? です。誰もが、ゆったりと仕事できる社会を望みます。外国っていいな~! (36歳 兵庫県 2児のママ)
海外在住の方からの声も紹介します。
■ここオーストラリアでは、夫婦がそろって育児をするのは当たり前だが、日本ではそうではない。文化が違う中で、日本国内で育休を取る男性が増えるとは思えない。 (38歳 オーストラリア在住 1児のママ)
■主人の上司が、わが家の事情(私が里帰りして親に頼ることができない)をくんで、私の退院後、主人の休暇を許可してくれました。海外では、育児は親に頼らず自分たちですべてこなすので、親に頼るのが当たり前という日本の風潮がおかしい。自分たちの子どもは自分たちで何とかできる社会になってもらいたい。 (31歳 メキシコ在住 1児のママ)
■ノルウェーでは共働きの場合に限り夫婦で合計54週間の育児休暇の取得が可能で、そのうち最低6週間は男性が取ると決められています。この制度を利用して、主人が6週間の育児休暇を取りました。本人はもっと長期間の育児休暇を取りたかったようですが、私自身ができるだけ仕事のストレスから離れて育児に専念してみたかったので、夫婦で話し合って6週間にしてもらいました。男女平等の進んでいるノルウェーでも、男性の育休取得は「夫婦共働き」が原則です。男女が力を合わせて共に働き、共に家事育児をすることを目指しているからです。私も働いている以上、当然家計の半分を担っていますし・・・。ですから、男性の育児参加を求めるならば、女性の社会進出も同時に向上させて行くべきだと思います。逆を言えば、男性だから(無理してでも)がんばって家計を支えなければならないという考え方を改めなければならないと思います。 (35歳 ノルウェー在住 1児のママ)
★関連リサーチ結果
VOL.136
パパの育児休暇について <2010年版>(2010年10月調査)
VOL.91-2
2人目のお子さんについて(その2) 上の子のケアについて(2009年7月調査)
VOL.7
パパの育児休暇について <2007年版>(2009年7月調査)
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