今回は、主にベビーカー使用中に経験する「危ない思い(トラブル)」について、レポートしました。
ご自身がベビーカー使用中に「危ない思い」をしたことがある方は、ベビーカー使用経験者の51%で、半数をほんの少し超えたぐらいです。逆に言えば、半数近くの方は「危ない思い」をすることなく、ベビーカーを使っている(使っていた)ということになります。
また、ベビーカーに自分で何かをつけているか(つけていたか)どうかをお聞きしたところ、75%の方が「つけている(いた)」というお答えでした。その中でも「買物袋、バッグなどをぶら下げる(S字型)フック」は、「つけている」方の82%が使用していました。
今回、ベビーカーに自分で何かをつけているかどうかのお答え別に、ベビーカーで「危ない思い」をした経験があるかどうかを比較したところ、ベビーカーに自分で何かをつけること、なかでも
「買物袋、バッグなどをぶら下げる(S字型)フック」をつけて重たいものをぶら下げることは、危ない思い(トラブル)につながりやすいことがわかりました。
みなさんからも、こんな体験が多数寄せられました。
■荷物をかけすぎて、子どもが座っているのにベビーカーごとひっくりかえった。(25歳 神奈川県 2児のママ)
■赤ちゃんを乗せる際、荷物を取っ手にかけていたためベビーカーが転倒。赤ちゃんは無事でしたけど・・・ (36歳 熊本県 2児のママ)
■重い荷物をかけたまま子どもを降ろそうとして、抱っこしたらベビーカーがいきおいよく倒れた。(34歳 愛知県 2児のママ)
そうは言っても、荷物を持ちながらベビーカーを押す・・・というとき、フックで荷物をベビーカーのハンドル(持ち手)にかけると便利です。以下のような意見も寄せられました。
■カバンなどを掛けるためのフックはどのママも付けてる必需品! 危険なので推奨しないという理由から、標準でついているベビーカーはないけど、それでもみんな必ずつけるのだから、対応できるベビーカーを開発してほしい。(24歳 神奈川県 1児のママ)
しかし、技術的には「安全な親子3人乗り自転車」以上に難しいことのようです。
ハンドル(持ち手)など、高いところに重い荷物をぶら下げたりすれば、重心が高くなってベビーカーが不安定になるのは避けられません。重心が高くならないよう、座席の下に荷物用のバスケットやネットがついたベビーカーなどもありますが、やはり子どもの下には大きなもの(=重いもの)は載せられません。
もう1つ考えられるのは、少しくらい荷物をぶら下げたりしても、その重さで重心が高くならないようにすること、すなわち、ぶら下げた荷物の重量が増えても、子どもや荷物も含めたベビーカー全体の重量から見れば“誤差”の範囲になるくらい、ベビーカー本体を重くすることです。実際に、スーパーなどの店内専用の子どもを乗せられるショッピングカートは、そうした前提で設計されています。
しかし、この設計をお散歩、おでかけなど街乗り用のベビーカーに適用することもまた、不可能です。街中では、横断歩道(歩道と車道の境目)などちょっとした段差を乗り越えたりするためにベビーカーの前輪または後輪を持ち上げたりすることも頻繁ですが、重いベビーカーではそうした操作が難しいことは、みなさんがいちばんよくご存じでしょう。それ以上に、スロープや坂道でベビーカーが暴走してしまう危険性もあります(スーパーなどの店内専用カートは、段差を乗り越えたりせず、同じフロアを平面的に移動するだけの前提で設計しているので、子どもと荷物の両方を乗せても安定する構造が可能になっています)。
なかには、子どもをベビーカーに乗せることとたくさんの荷物を持ち歩くことの両立は難しいので、荷物をキャリーバッグに入れて、子どもはもっぱら抱っこと割り切っている方もいました。
■正直ベビーカーって、怖くてあまり使いません。以前、ベビーカーで散歩中にトラックにひかれた母子のニュースを見たことがありますが、何かあった時に抱っこやおんぶだとサッと移動できるけど、ベビーカーだとすぐに逃げたりできない気がして・・・。外出先で何かあったら怖いという思いが強くて、荷物がたくさんになればなるほど、赤ちゃんを最優先で抱いて、荷物はキャリーバッグなどで引いています。なので、お散歩のときはもっぱら抱っこひもです。買い物などでスーパーへ行ったときは、店内専用の子どもが乗せられるショッピングカートを使いますし・・・ (35歳 愛知県 2児のママ)
そうは言っても・・・、体重が10キロ以上にもなると、常に抱っこということも人によっては難しくなります。そこで、みなさん1人1人のベビーカーの使用スタイルのなかで、どうしてもベビーカーにあれこれ荷物をぶら下げがちになってしまう方は、できるだけぶら下げないようにする工夫、例えば、ママバッグを手さげタイプからショルダーバッグタイプ(の斜めがけ)やリュックタイプにする等の“自衛策”も考えてみましょう。
1年前(2008年5月)にベビーカーについてリサーチした際にも述べましたが、やはり、
みなさん1人1人の周りのバリアフリー設備の整備状況や、買物・外出のパターンに合わせて、「ベビーカーで快適に行動できる範囲をあらかじめ知っておくこと」が、結果的に移動のストレス軽減やトラブル回避につながるようです。
最後に、みなさんから寄せられた、 「ベビーカーでの危ない思い」の経験談をご紹介します。
先輩ママたちの「ベビーカーでの危ない思い」経験
【歩いているとき】
■上の子がベビーカーを押してくれた時、横断歩道の段差で、前輪を持ち上げずにそのまま行ってひっかかり、前に倒れてしまった時は危なかった。冬場で、ベビーカーに乗せていた下の子には毛布をかけていたからケガはしなかったけど、本当にびっくりした。(38歳 東京都 2児のママ)
■小さな段差に乗り上げきれずに『どん!』とつまってしまったり、急な傾斜の所で後ろへ倒れそうになったり・・・(33歳 東京都 2児のママ)
■子どもが立ち上がったりするので、大きくなればなるほどなかなか大変でした。ベビーカーから何回も落ちそうになりました。(29歳 熊本県 3児のママ)
■子どもが自分で動くようになってベビーカーから落ちたことと、踏切でタイヤが線路にはさまって身動きが取れなくなったことがあります。(27歳 埼玉県 3児のママ)
■道路のグレーチング(格子状の溝ぶた)にタイヤがはまってしまい、転倒しそうになった。(35歳 愛知県 2児のママ)
【子どもの乗せ降ろしのとき】
■ちゃんと開ききっていない状態で子どもを乗せてしまったら、その重みでベビーカーが畳まれそうになり子どもが変な体勢になった。(30歳 千葉県 1児のママ)
■ストッパーをかけるのを忘れたまま赤ちゃんを乗せようとして、ベビーカーが動いてしまい赤ちゃんを落としそうになった。(32歳 岐阜県 1児のママ)
■駐車場で、子どもをベビーカーに乗せたままで荷物を車に積んでいるとき、ストッパーを忘れていたため、わずかな傾斜と風でベビーカーが動きだし、他の車が近づいていたらと思うとひやっとした。(30歳 愛知県 1児のママ)
【電車・バスで】
■バスの乗り降りの時、ベビーカーをたたんで、荷物を持って、子どもも抱えての状態で、ステップの間隔がつかめず大変だったことがある。(29歳 神奈川県 2児のママ)
■バスの乗降時にステップを上り下りするとき、子どもを乗せた状態で重くなっているベビーカーを持ち上げて、バランスを崩して倒れそうになった。(35歳 埼玉県 2児のママ)
■電車から降りるとき、タイヤが電車とホームの間にはさまった。(32歳 埼玉県 1児のママ)
■ベビーカーのストッパーがちゃんとかかっていなくて、電車の中でひとりでに動いているのを見たことがある。(32歳 神奈川県 初産妊娠中)
【エスカレーターで】
■エスカレーターにベビーカーを乗せて上った時、降り口の段差でつっかえてしまい、転倒しそうになった。(34歳 東京都 1児のママ)
■幅の狭いエスカレーターで、前のタイヤがつっかえて私の足がベビーカーとエスカレーターにはさまれた。友達と一緒だったから、すぐに助けてもらって軽くアザになっただけで済んだけど・・・ (27歳 東京都 1児のママ)
■エスカレーターの最後の段差にうまく乗り上げられず、つっかえてしまう。(30歳 神奈川県 1児のママ)
■本当はいけないことだとわかっていますが、エスカレーターに乗り損ねて、ベビーカーを落としそうになったり、自分だけ取り残されたりしそうになったり・・・ (32歳 神奈川県 1児のママ)
⇒最近は、エスカレーターでの将棋倒し事故なども多く報じられており、やはりベビーカーでエスカレーターに乗ることは危険です。
【折りたたみのとき】
■子どもの指は、細くて小さいので、折りたたむ時にはさんでしまいそうでこわい。(26歳 兵庫県 1児のママ)
■折りたたむ際に、自分の指をはさみそうになった。(32歳 香川県 2児のママ)
★関連リサーチ結果
・VOL.43-1
ベビーカーでのお出かけ、こんなときどうする?(その1)電車・バスでのお出かけ編(2008年5~6月調査)
・VOL.43-2
ベビーカーでのお出かけ、こんなときどうする?(その2)お買い物でのお出かけ編(2008年5~6月調査)
・VOL.1
ベビーカーでのお出かけで困ったことは?(2007年6月調査)
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