妊娠中の「体重指導」については、さまざまなご経験談が寄せられました。
【非常に厳しく指導されました!】
■栄養士による指導の他、「食事はサプリメントだけでじゅうぶん」、「食事を管理できずに食べ続けた結果、体重が増え続けているのは、ある意味胎児への虐待だ」とまで言われた。(33歳 埼玉県 1児のママ・2008年出産)
■最初に体重増加は8キロまでと念押しされ、毎月の健診で1キロ以上体重が増えていると医師から「赤点!」と言われ、「難産コース希望かな?」とか「クリスマスはケーキ抜きね」と厳しく言われます。(22歳 山形県 初産妊娠中)
■体重が一気に増えたとき、まず母子手帳に「要注意」の指導ハンコが押され、口頭で注意を受けました。(25歳 千葉県 1児のママ・2007年出産)
■1か月で体重が3キロ増えたとき、朝昼晩食べたものをすべて書き出すよう、ノートを渡された。それ以降、次の健診でノートをチェックされた。(28歳 神奈川県 1児のママ・2008年出産)
【わりと厳しく指導】
■体重の増加ペースは大幅なオーバーではないので、「少し気になりますね、このままのペースだと出産時までには○キロを越えてしまうので、バランスを考えた食生活をしてください・・・」という感じに言われています。(31歳 東京都 初産妊娠中)
■自己申告でしたが健診で毎回体重のチェックがあり、医師から、「このペースなら大丈夫」とか、「赤ちゃんなんてまだ○グラムなのよ~、増えた分は全部あなたの体重ですよ~、食べすぎ注意!」などと指導されました。(27歳 千葉県 1児のママ・2008年出産)
■妊娠前の体重から10キロ増加まではよいとされましたが、オーバーしたとき、「そろそろ体重増やさないで下さいね」とやんわり言われました。(34歳 愛知県 2人目妊娠中)
■理想と実際の体重推移をグラフで照らし合わせて、理想よりもオーバーしたときは、妊娠高血圧症候群などの危険性の説明や、食事指導・運動指導などがあった。(37歳 兵庫県 2児のママ・2007年出産)
■体重増加は毎月1キロ程度と言われていましたが、3キロ増えた月に「増えすぎは気をつけないと、自分が産むときつらいよ」と言われました。(35歳 大阪府 1児のママ・2008年出産)
■助産師さんからは、妊娠前の体重から6~8キロ、最大でも10キロまでの体重増加なら問題ないと指導を受けましたが、医師は具体的な数字は挙げず、健診のたびにとにかく体重を増やすなと言われ続けました。増えすぎた場合は、「赤ちゃんが大きくなりすぎると難産になる」と注意されました。(26歳 山口県 1児のママ・2007年出産)
【健康なら問題なし】
■当初、「体重増加は10キロくらいで収めてね」と言われました。妊娠初期に食べづわりで5キロ増えてしまったときにも、「う~ん・・・、少しまずいですね」と言われたくらいでした。(40歳 大阪府 1児のママ・2008年出産)
■2人目の妊娠中は本当に太りましが、「脂肪は母乳になる」という考え方の医師だったので、私が「太りすぎですよね?」って聞いても「大丈夫」と言ってくれました。(32歳 広島県 2児のママ・2008年出産)
■「ごはんがおいしくて食がすすむのは何ら問題ないが、甘いものは控えるように」との指導だった。(36歳 東京都 2児のママ・2008年出産)
■「バランスの良い食事を、食べ過ぎないように」「あなたのひどい体重増加はおなかの赤ちゃんに負担だから、それだけを肝に命じなさい」ぐらいしか言われなかった。(33歳 東京都 1児のママ・2008年出産)
そもそも妊娠による体重増加は、どれくらいのものでしょうか?
まず、出生時の赤ちゃんの標準的な体重3キロに、大きくなった胎盤や羊水の重さをプラスすると、6~7キロぐらいの増加が想像できますね。加えて、食べづわりの症状や、おなかが大きくて十分に運動することがむずかしかったり等の事情で体重が増加傾向になるのはやむを得ない面もあり、一般的には、さらにプラス1~3キロ程度、トータルで8~10キロ程度までの体重増加を許容範囲内と考える場合が多いようです。
もっとも、これは生まれてくる赤ちゃんの体重をもとにした『概算』にしかすぎない面もあります。妊娠中の体重増が5キロにせよ10キロにせよ、もともとの体重が40キロそこそこの小柄な方に起こるのと、60キロ、70キロ・・・の大柄な方に起こるのとでは、母体への負担は同じではありませんし、個人の体質などによっても異なります。
以前の体重指導は、ともすれば個人の体格の違いを考慮せず、一律に増加体重のみに着目していた面もありました。一方、若い女性の「やせ」志向が強まるなかで、一部には妊娠中でも体重増加を極端に抑える傾向もみられ、そのことと低体重出生児の増加の関連性が指摘されたりもしました。
こうした背景から、厚生労働省では2005年から妊娠期・授乳期の適切な食習慣などについて検討を行い、2006年2月に、妊娠期における望ましい体重増加量について、
妊娠前の体格で分けた推奨体重増加量を示しました。その結果、産院等の現場でも、妊娠中の体重指導は個人の体格に応じて実施する方向に改められています。
今回の調査結果からも、2006年以降は、妊娠中の体重増加について過度に厳しく指導されるケースは少なくなっているようです。
■身長・体重をもとにしたBMI値を出して、その値により、体重増加は【5~6キロ】【7~8キロ】【10キロ程度】と大まかに区分されていました。食べづわりのため、妊娠初期ですでに5キロ増加だったのですが、助産師さんは「増えた分はもう気にせず、つわりが落ち着いてから食生活の工夫を指導していきますね」とやわらかく言ってくださいました。(38歳 大阪府 初産妊娠中)
★参考情報 厚生労働省の報道発表資料
「妊産婦のため食生活指針」の策定について
「健やか親子21」推進検討会報告書の
『「妊娠期の至適体重増加チャート」について』(PDF)
<「BMI値による推奨体重増加量の一覧表」が示されています>
さて、2005年は、日本産婦人科学会により、妊娠中、とくに妊娠後期に発生する高血圧やたんぱく尿などの一連の症状の呼び方が、「妊娠中毒症」から「妊娠高血圧症候群」に改められた時期でもありました。
呼び方が変わった背景ですが、「中毒症」という、あたかも(食中毒のように)何らかの原因毒があるかのような呼称がふさわしくない、注意すべき点が高血圧であることを明確化する等の事情からのようです。
妊娠中は一般的な効果の高い降圧薬(血圧を下げる薬)を使用できないため、ひとたび「妊娠高血圧症候群」との診断を受けると、絶対安静を指示され、多くの場合、入院を命じられます。以下に、みなさんの入院体験をご紹介します。
【妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)で入院しました】
■30週目の妊婦健診のとき、体重の増えすぎのほか、むくみ・高血圧・たんぱく尿があったため妊娠高血圧症候群と診断され、即入院になりました。(30歳 岡山県 1児のママ・2008年出産)
■妊娠10ヶ月に入ったときに妊娠高血圧症候群になってしまい、血圧が180まで上がって、むくみもあったので入院。(32歳 福岡県 2児のママ・2008年出産)
■尿たんぱくがずっと陽性だったので、妊娠7ヶ月のとき管理入院となりました。(39歳 千葉県 1児のママ・2007年出産)
■尿たんぱくの数値が異常に上昇し、妊娠高血圧腎症の可能性があるということで妊娠9ヶ月のときに入院。(39歳 東京都 2児のママ・2008年出産)
■妊娠高血圧腎症+胎児発育遅延のため、妊娠8ヶ月のときに入院。出産後、胎盤が小さかったためそのような症状が強く出たのではないか、と言われました。(31歳 埼玉県 1児のママ・2008年出産)
妊娠高血圧症候群のほか、切迫早産、切迫流産、その他いろいろな症状で入院経験のある方も、少なからずいました。
【切迫流産で入院】
■切迫流産で妊娠6ヶ月のときに入院。急に生理が始まったような出血とおなかの張りがあり、すぐに産院へ電話し診察を受けました。止血剤と張り止めの薬をもらい自宅安静となりましたが、3日後にまた少し出血したことと、引っ越してきたばかりで何かあった時に頼れる人が周りにいなかったことで、私から入院を希望しました。1週間でよくなり退院しましたが、その後も念のため自宅安静でした。(31歳 千葉県 1児のママ・2008年出産)
■子宮口開大・子宮頸管(けいかん)が短い・頸管ポリープのため切迫流産の恐れがあり、妊娠6ヶ月から出産まで5ヶ月近くの入院生活をしました。(31歳 埼玉県 2児のママ・2008年出産)
■妊娠4ヶ月のとき外出中に出血し、病院へ行ったら切迫流産との診断でそのまま入院となりました。24時間張り止めと止血剤の点滴をうち、移動は病室内のトイレと洗面のみの生活で、子宮内の血腫がなくなるまで1ヶ月半入院しました。体をふくタオルを毎日配布してもらい、洗髪は週に1度看護師さんにしてもらう生活でした。(31歳 石川県 3児のママ・2008年出産)
■まず、妊娠がわかったと同時の妊娠2か月の時に出血があり、切迫流産と診断され入院。このときは1週間で症状が落ち着いて退院し、1か月の自宅療養でした。次に妊娠7か月の時に、おなかに張りを感じて診察にいったところ、そのまま入院。妊娠37週0日で出産するまでずっと入院生活でした。ものすごく長かったです。元気なのに安静生活はつらくて、何度も泣きました。(35歳 大阪府 1児のママ・2008年出産)
【切迫早産で入院】
■切迫早産と診断され、飲み薬が効かなかったため、妊娠32週~36週までの1ヵ月間入院して、点滴治療を受けた。(29歳 岡山県 1児のママ・2008年出産)
■妊娠9ヶ月のとき、強い張りと痛みで病院に行ったら、切迫早産の診断で即入院。24時間点滴と絶対安静で、臨月になるまで2週間入院しました。(24歳 北海道 1児のママ・2008年出産)
【その他の入院経験】
■妊娠13週で、原因不明の破水があった。医学的に破水した箇所をふさぐことはできないし、まだ週数が早すぎるので、安静のため入院して、抗生剤の点滴をした。羊水の反応が消えてから後は自然に任せた。その後症状は落ち着いて、妊娠39週で自然分娩で生まれた。(39歳 神奈川県 3児のママ・2008年出産)
■妊娠2ヶ月のとき、つわりがひどく、水も飲めない状態になった。身体の中が飢餓状態になっており、妊娠糖尿病でケトン体の数値が命に危険性のあるレベルまで達していたため入院した。点滴を1週間続け、少しずつ果物やおやつ程度の食事をして、体が正常に戻ったところで退院となりました。(35歳 大阪府 2児のママ・2007年出産)
■ひどいつわりと肝機能の低下で、何も食べられない、呼吸がしにくいなどの状況になったので、妊娠3ヶ月のとき1週間くらい入院して点滴治療を受けました。(31歳 岡山県 1児のママ・2004年出産)
妊娠中の体調管理はきちんと妊婦健診を受けることに加え、ちょっとした体調の変化を敏感に感じ取れるのは自分自身なので、何か異常を感じたとき、早めに受診して適切な治療を受けることが重要なようです。
そのためにも、かかりつけの医師や助産師さんと、信頼関係を築くことが必要です。もし、体重指導や健診結果などに疑問や不安に思うところがあれば、質問できる機会に自身が納得できるよう質問し、安心して出産を迎えられるよう、心とからだの準備をしたいものですね。
★妊娠中の生活(その2) 「どのように出産を迎えましたか?」は、⇒
こちら
★VOL.105 「産前・産後の体重管理」(2009年9月調査)は、⇒
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